FRONTEOとS-Quatre、AIで次世代型乳歯歯髄幹細胞の新規適応症探索へ

株式会社FRONTEOと株式会社S-Quatreは、次世代型ヒト乳歯歯髄幹細胞（SHED）の新規適応症探索に向けた共創プロジェクトを開始しました。FRONTEOのAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory（以下、DDAIF）」を活用し、S-Quatreが開発を進める機能強化型SHEDの新たな治療応用を目指します。

子どもの乳歯から生まれる新たな治療の可能性「SHED」
AIが切り拓く、未知の治療領域
- AI Workstyle Lab編集部からの視点
プロジェクトにかける両社の期待
S-QuatreとFRONTEOについて
- 株式会社S-Quatre
- 株式会社FRONTEO

子どもの乳歯から生まれる新たな治療の可能性「SHED」

SHED（Stem cells from Human Exfoliated Deciduous teeth）は、子どもの乳歯内部にある歯髄組織（歯の中心に存在する、神経、血管などが集まった組織）から採取される幹細胞です。従来、脱落した乳歯は活用されることなく破棄または保管されてきましたが、近年、SHEDの以下の特徴が明らかとなり、再生医療分野で注目されています。

ドナーが子どもであるため、細胞が若く増殖能力が非常に高いです。
神経や骨の形成・成長に関与するとされるタンパク質の産生能力が高いです。

S-Quatreは、このSHEDを基盤とした細胞治療（再生医療）の研究開発を推進しています。同社が独自の製法により単離（混合物から特定の要素・物質などを分離し取り出すこと）・培養した「SQ-SHED」は、増殖能力が極めて高く、各種神経成長・血管新生因子の分泌を高めることに成功しています。これまでに、脳性麻痺、脊髄損傷、難治性骨損傷、脳腫瘍など、複数の病態モデル動物において高い有効性が確認されています。さらに、S-QuatreはSQ-SHEDそのものの特性を活かした治療薬開発に加え、遺伝子導入や培養法改良により、機能強化や機能付加した次世代型SHEDの開発も精力的に進めています。

AIが切り拓く、未知の治療領域

本プロジェクトの核となるのは、FRONTEOのAI創薬支援サービス「DDAIF」です。S-Quatreが開発する次世代型SQ-SHEDに関して、これまで開発を進めてきた疾患に加え、AIを活用してアンバイアス（偏りのない）かつ網羅的に適応症（医薬品や医薬品候補物質が治療効果を発揮する疾患）を探索することにより、新たな最適適応症を発掘することを目的としています。

AI Workstyle Lab編集部からの視点

FRONTEOのDDAIFは、AIの自然言語処理技術と創薬エキスパートの知見を組み合わせ、文献情報から疾患と標的分子の関係を非連続的に発見する強みを持っています。これは、膨大な医学論文や研究データを人間が手作業で分析するよりも、はるかに高速かつ網羅的に、新たな仮説を生み出すことを可能にします。再生医療のような複雑な分野において、AIがアンバイアスな視点から適応症を探索することは、研究開発の効率化と、患者さんのアンメット・メディカル・ニーズ（有効な治療方法が見つかっていない疾患における、新しい治療薬や治療法などへのニーズ）に応える大きな一歩となるでしょう。AIの活用は、専門家の意思決定を強力にサポートし、医薬品開発のスピードを加速させる実例と言えます。

DDAIFの詳細については、以下のURLをご覧ください。

https://lifescience.fronteo.com/products/drug-discovery-ai-factory/

プロジェクトにかける両社の期待

S-Quatreの代表取締役社長である三谷泰之氏は、「当社で開発中の次世代型SQ-SHEDは、多くの疾患に対する治療薬となり得るポテンシャルを有していると考えています。FRONTEOのAI技術を活用することで、その最適な適応症を迅速かつ精度高く導き出してくれるものと期待しています」とコメントしています。

FRONTEOの取締役／CSO（Chief Science Officer）である豊柴博義氏は、「SQ-SHEDの特性をAIの自然言語処理で解析することで、これまで想定されていなかった新たな適応症を見出す可能性があります。こうした技術は他の再生医療の他領域にも展開可能であり、本共創プロジェクトが患者のQOL向上と医学の進展に寄与することを期待しています」と述べています。

本共創プロジェクトでは、FRONTEOがDDAIFを用いて次世代型SQ-SHEDに適応し得る疾患候補を抽出し、S-Quatreがその有効性を検証します。両社の知見を融合することで、次世代型SQ-SHEDの効率的な適応拡大を図り、アンメット・メディカル・ニーズの解消に貢献することを目指しています。

S-QuatreとFRONTEOについて

株式会社S-Quatre

S-Quatreは、SQ-SHEDが持つ再生医療の大きな可能性に着目し、その力を最大限に引き出し、病気や障害に苦しむ患者さま、特に子どもたちに革新的な治療薬・治療法を届けることで、希望ある社会の実現に貢献を目指しています。現在、脳性麻痺を対象とした臨床研究をはじめ、再生医療等製品の品質と安定供給を実現するための製造プロセスの高度化や、より高い安全性と治療効果を目指す次世代SHEDの研究にも挑戦し、国内外の大学や企業との連携を深めながら、一歩ずつ未来の医療を形にするべく、日々挑戦を続けています。

詳細については、以下のURLをご覧ください。

https://www.kidswellbio.com/s-quatre/

株式会社FRONTEO

FRONTEOは、自社開発の特化型AI「KIBIT（キビット）」の提供を通じて、日夜、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しています。同社独自の自然言語処理技術（日本・欧州・米国・韓国特許取得済）は、汎用型AIとは異なり、教師データの量およびコンピューティングパワーに依存することなく、高速かつ高精度での解析を可能にします。加えて、解析した情報をマップ化（構造を可視化）する特許技術を活用することで、「KIBIT」が専門家のインサイトにダイレクトに働きかけることができ、近年、KIBITの技術が創薬の仮説生成や標的探索にも生かされています。

KIBITの独自技術およびアプローチを通じて、「記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する」理念の実現に向けて、ライフサイエンスAI、リスクマネジメント（ビジネスインテリジェンス・コンプライアンス支援分野、経済安全保障分野、リーガルテックAI分野）、DX（ビジネスインテリジェンス・プロフェッショナル支援分野）の各事業で社会実装を推進しています。

詳細については、以下のURLをご覧ください。