アイレット株式会社は2025年11月20日、AI統合ソリューション群「gaipack」に新サービス「AI 要件定義」を追加し、提供を開始しました。本サービスは、システムやアプリケーション開発の初期段階における要件定義の課題を解決し、開発プロセス全体の効率化と品質向上を目指すものです。
サービス開発の背景
近年のシステム開発では、要件定義フェーズでの「属人性の高さ」が大きな課題として認識されています。これは、顧客からのインプットデータ（資料のフォーマット、品質、量）にばらつきがあることや、要件定義のアウトプット（ドキュメント構成、記載内容、進め方）が担当者やプロジェクトによって異なることに起因するとされています。
この属人性は、プロダクトオーナー（PO）の負荷増加やプロジェクトの遅延、さらに開発側での手戻りやコスト超過、納期遅延といった深刻なリスクを引き起こす要因となっていました。
「AI Workstyle Lab編集部解説」
要件定義とは、システム開発において「何を作るべきか」を明確にする最も重要な工程です。ここに属人性が高いと、担当者によって成果物の質に差が出たり、顧客の要望が正確に伝わらなかったりするリスクが高まります。結果として、開発の途中で「思っていたものと違う」といった手戻りが発生し、時間やコストが無駄になってしまうのです。
アイレットは、このような高コストな人手による要件定義プロセスをAIベースのプロセスへ切り替えるため、本サービスを開発しました。プロダクトオーナーの負担を最小限に抑えつつ、質の高い定型的なフォーマットで要件をアウトプットすることを目指しています。
「AI 要件定義」の概要と主な特徴
本サービスは、AIを活用して顧客から提供される多様な非定型インプット（会議の文字起こし、既存ドキュメントなど）を解析し、プロダクト要件定義書（PRD）、ユーザーストーリー、受け入れ基準を短時間で自動生成します。最終的なアウトプットは、アジャイル開発で用いられるユーザーストーリー（「＜誰が＞として、＜何を＞したい。それは＜なぜならば＞」）と受け入れ基準（Given-When-Then形式）に統一されるため、要件定義プロセス全体にわたる統制を確立し、担当者による品質のばらつきを抑制することが可能です。
主な特徴
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AIエンジンによる役割分担と統制: 大量のファイルや広範囲の調査が必要な前提情報作成には「Gemini」、PRDやユーザーストーリー、受け入れ基準の生成には「Notebook LM」といったAIエンジンを使い分け、AIの特性に応じた最適なプロセスを確立しています。これにより、要件の統制が取れ、ヒアリング自体もフォーマット化されます。
「AI Workstyle Lab編集部解説」
Googleが開発した「Gemini」は、テキスト、画像、音声、動画など多様な情報を理解し生成できる大規模言語モデルです。「NotebookLM」もGoogleが開発したAIツールで、ユーザーが提供した情報源に基づいて、要約、Q&A、ドラフト作成などを行うことができます。これらのAIを適切に使い分けることで、要件定義の各ステップで最も効果的なAIの力を活用していると言えます。 -
開発品質の劇的な向上: 要件定義のアウトプット品質が向上することで、開発における手戻り（戻し）が大幅に削減されます。これにより、従来の属人化されたドキュメントと比較して、質の高い開発が可能になります。
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後続工程とのシームレスな連携: 生成されたユーザーストーリーや受け入れ基準は「Figma Make」で利用でき、プロトタイプ画面の自動生成につなげられます。成果物は、開発工程の進行度に応じて、Google ドライブまたはGitHubで管理されます。
想定されるユーザーと期待効果
本サービスは、主にプロダクトオーナー（PO）およびエンジニア（リードエンジニア）を対象としています。
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プロダクトオーナー（PO）: 多忙なPOの時間を最小限に抑えつつ要件を抽出し定義できるため、タイムパフォーマンス（タイパ）とコストパフォーマンス（コスパ）を向上させ、プロジェクトを効率的に進めるニーズに応えます。
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開発者/エンジニア: 要件定義の品質が担保されることで、作業時間を大幅に削減できます。明確な開発テンプレートを持つことで、スムーズに開発工程に進むことが可能となります。
「gaipack」について
アイレットが2025年10月15日の創立22周年を機に提供開始したAI統合ソリューション群「gaipack」は、AIとクラウドの実績を融合させ、企業のDX推進と持続的な企業価値向上に貢献します。「gaipack」は、システムの老朽化や人材不足といった課題を解決し、最大60%のコスト削減、開発スピード2倍以上といった成果を実現するとされています。
「AI Workstyle Lab編集部解説」
「gaipack」は、開発、運用、セキュリティ、ビジネス推進といった幅広い領域をカバーする全17種類（2025年11月現在）のソリューションで構成されています。今回の「AI 要件定義」の追加は、開発初期段階の課題解決に特化したもので、AIを活用してビジネスプロセスを効率化し、競争力を高めたい企業にとって重要な選択肢となるでしょう。
「gaipack」の主要ソリューション
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AI モダナイゼーション：従来のシステム開発における要件定義や設計書をAIが理解し、最新のシステムへ再構築することで、旧システムの保守維持費を大幅に削減します。
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AI 内製化支援：独自のAI開発フレームワークやリスキリング研修を提供し、高コストな外注に頼らず企業内にAI開発が自走する文化を定着させます。
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AI 新規開発：AIを利用した開発工程により、従来の開発手法で発生しがちだった納期遅延や追加コストの発生を防ぎます。
「AI 要件定義」サービスページ：
https://www.gaipack.ai/services/requirements
アイレット株式会社 公式サイト：
https://www.iret.co.jp/
