Google「Gemini 3」の契約業務AI性能とは？LegalOn Technologiesの独自検証で判明した強みと課題を解説

「Gemini 3」の進化点
契約書業務における「Gemini 3」の性能検証
- 英語タスクでの比較検証結果
- 日本語タスクでの比較検証結果
株式会社LegalOn Technologiesについて
AI Workstyle Lab編集部コメント

「Gemini 3」の進化点

Googleの主力モデルである「Gemini 3」は、従来のモデルと比較して以下の点で進化しています。

複合的な情報からの推論能力が強化: 複数の情報源を参照し、複雑な情報を分析して論理的な解決策を導き出す能力が向上しました。専門家のように深く考察した回答を生成できる点が特徴です。
多様な形式データの理解・処理能力が向上: テキスト、画像、音声、動画、コードなど、あらゆる形式の情報を一度に、かつ文脈を深く理解しながら処理できるようになりました。
一度に処理できる情報量が大幅に拡大: AIが一度に記憶し、処理できる情報量が大幅に拡大し、小説一冊分（最大100万トークン）に相当する膨大なデータを一度に読み込み、全体を把握した上で質問に回答できます。

契約書業務における「Gemini 3」の性能検証

LegalOn Technologiesは、契約書業務の主なタスクである論点抽出、契約書修正、プレイブックへのルール反映、契約に関する質問への回答について、日本語と英語の両方でモデル性能を比較検証しました。その結果、「Gemini 3」は多くのタスクで高い品質を示したものの、タスクごとに性能差が大きく、応答速度が他モデルよりも2〜4倍程度遅いという課題も明らかになりました。

この検証から、現時点ではすべての契約業務領域で一貫して優れた性能を示す「万能なモデル」は存在せず、各モデルが異なるタスクでそれぞれ異なる強みを発揮していることが判明しています。

英語タスクでの比較検証結果

英語タスクでは、「GPT-5.1」と「Gemini 3」がそれぞれ異なる分野で強みを示しました。「Gemini 3」は、構造化された推論やルールに基づく作業が求められるタスクで優れている傾向があります。

要約、抽出、翻訳といった契約業務で必要とされるスキルでは、「GPT-5.1」よりも「Gemini 3」が3〜6ポイント高い精度を記録しました。
プレイブックに基づいて自社ひな形を修正するタスクでは、「Gemini 3」が「GPT-5.1」よりも約5ポイント高い評価を得ています。一方、取引先が提示した契約書に対するプレイブック適用では両モデルはほぼ同等の精度でした。
契約書の修正タスクのうち、自社ひな形の修正では「GPT-5.1」が約30%、「Gemini 3」が約70%と高い評価を得ています。

一方で、「GPT-5.1」はリスク検知やリスクに基づく修正が必要なタスクで優勢でした。

契約書の論点抽出では、「GPT-5.1」が「Gemini 3」を僅差で上回る結果となりました。
契約書の修正業務のうち、リスクを検知、またはプレイブックに基づいて修正するタスクでは、「GPT-5.1」の方が「Gemini 3」よりも適切に修正できたケースが多いことが示されています。

また、「GPT-5.1」は全てのタスクにおいて、「Gemini 3」よりも2〜4倍の応答速度を発揮しました。

日本語タスクでの比較検証結果

日本語タスクでは、英語とは異なる結果が見られました。

Claude Sonnet 4.5: 論点抽出やプレイブックに基づいたレビューで最も高い精度を示しました。
Gemini 3: 契約書を修正するタスクで最も優れた性能を発揮しました。
GPT-5.1: 英語で強みを示した一方で、日本語では特に突出したスコアは出ませんでした。

LegalOn Technologiesは、活用場面や業務プロセスに最も適したモデルを選定するため、引き続き比較検証を行っていく方針です。

株式会社LegalOn Technologiesについて

株式会社LegalOn Technologiesは、AI分野における高度な技術力と法律・契約の専門知識を兼ね備えたグローバルリーガルAIカンパニーです。2017年の設立以来、AIを活用したリーガルAIサービスの開発に注力し、現在は「LegalOn: World Leading Legal AI」を展開しています。グローバルでの有償導入社数は、2025年9月末時点で7,500社を突破しました。2025年1月からは事業領域をコーポレート全体に拡大し、AIカウンセル「CorporateOn」の提供を開始しています。大規模言語モデル（LLM）やAIエージェントなどの最先端AI技術を製品開発に取り入れ、多様な企業課題に応えるソリューションを通じて顧客ビジネスを支援しています。

株式会社LegalOn Technologies 公式サイト: https://legalontech.jp/

AI Workstyle Lab編集部コメント

今回の検証結果は、企業がAIを契約業務に導入する上で非常に実践的な示唆を与えています。特に、構造化された推論が必要なタスクではGemini 3の導入を検討し、一方で速度やリスク検知が重視される場面ではGPT-5.1の活用が有効といった、具体的なモデル選定の指針が見えてきました。各モデルの得意分野を理解し、業務プロセスに合わせた最適なAIを組み合わせることで、法務部門全体の効率化と生産性向上が期待できるでしょう。これは、AIが単なるツールではなく、戦略的なビジネスパートナーとなり得ることを示唆しています。

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