翻訳業界の環境変化とエイアンドピープルの戦略
グローバル化とDXの進展に伴い、情報量は急速に増加しています。企業や自治体から発信される情報は自動翻訳され、多様な人々が閲覧するようになりました。情報を正確に伝え、迅速に理解され、適切な判断につながるかどうかが、ビジネスの優位性を左右する時代へと変化しています。
このような状況の中、エイアンドピープルは長年にわたり、英文の構造や表現を整理し、明瞭で簡潔、理解しやすい翻訳である国際標準プレインランゲージの普及を推進してきました。同社ウェブサイトで公開されている「English Readability Analyzer」は、英語文章の読みやすさを定量的に評価するツールとして、多くの利用者に活用されています。
一方で、日本語には婉曲的な表現や、一文に複数の主旨が含まれる長文が多く、これらがISOプレインランゲージへの翻訳の障壁となっていました。また、こうした日本語を忠実に翻訳すると、英文が読みにくくなったり、意味があいまいになったりすることもあり、訴求力を損ねる表現につながっていました。
そこで同社は、プレインジャパニーズ(プレインランゲージの日本語版)の普及にも注力し、日本語の読みやすさを定量的に測るツールと書き換えツールの必要性を認識しました。そして、東京大学の協力の下、2020年に共同研究を開始したのです。
東京大学との共同開発による日本語診断ツール「ニコラ」のリリース
エイアンドピープルは、東京大学と共同開発した日本語診断ツール「ニコラ」のサービス提供を2025年8月18日より開始しました。
「ニコラ」は、ISOプレインランゲージ(日本語はプレインジャパニーズ)の基準に基づき、文章の読みやすさを診断し、改善提案を行うサービスです。AI翻訳や解析ツールとの親和性が高く、翻訳の出力精度を高めることが期待されます。さらに、ニコラで日本語文書を明瞭で読みやすく整えた後、そのまま英語(プレインイングリッシュ)へ自動翻訳できる機能が今秋に搭載される予定です。
国際基準(ISOプレインランゲージ)の指標に沿った「日本語の読みやすさ診断機能」と「AIによる書き換え機能」を備え、直感的に理解・操作できるインターフェースで文章作成をサポートします。ニコラを活用することで、プレインジャパニーズで分かりやすい文書を作成でき、明瞭・簡潔な文章でプロフェッショナルな印象を与えることが可能です。また、プレインジャパニーズで書かれた原文は多言語にも翻訳しやすくなります。
同社は、ニコラを通じて、プレインランゲージによる情報発信が活発になり、円滑なコミュニケーションや信頼構築の一助となることを目指しています。
プロフェッショナルとして多岐にわたる業務を支える臧菁氏
SAJにはIT企業だけでなく、エイアンドピープルのような各業界を代表する企業が会員として名を連ね、それぞれの分野で革新を起こす人材が集まっています。
臧菁氏は、エイアンドピープルに約11年近く在籍し、現在は翻訳会社としての専門性を活かしながら、多岐にわたるプロジェクト管理も担っています。同社はIR資料の企画制作などを手掛けており、臧氏が特に注力しているのは、プレインランゲージの指標に基づいたIR資料の提供です。プレインランゲージとは、情報の受け手が必要な情報を容易に見つけ、理解・使用しやすくするための簡潔で明瞭なコミュニケーション様式であり、ISOにも採択されています。
臧氏は、高度な専門性を伴うプロジェクトの品質管理と進行管理の特性について、「同時進行でさまざまな業務を進めるためマルチタスク能力は必須」と語っています。そのような環境で、臧氏が仕事の中で最も意識し、心がけていることは、社内・社外を問わず「言葉の扱い」だといいます。自身が外国人であるからこそ不安を感じることがある中で、プレインランゲージの理念を体現すべく、「明確さ」を徹底する姿勢を大切にしているとのことです。
チームで挑む高品質へのこだわりとフォロー制度
臧氏が考えるエイアンドピープルの強みは、社員の高いコミュニケーション能力です。「コミュニケーション力が高い方が集まっています」と述べ、イレギュラーが発生した際は「すぐ社内でコミュニケーションを取りながら解決するため、話しあう場を設けている」と、迅速な問題解決への徹底したこだわりがうかがえます。さらに、「お客様の立場に立ってプロジェクトを成功させるために、丁寧にフォロー、管理を行う」と、顧客視点を常に徹底しているとのことです。
重要な資料を扱う責任の重さから、同社では手厚い教育・フォロー体制を整えています。初期のOJT期間に加え、その後も「基本的に半年間、きちんと先輩のフォロワーを設定してチームとしてプロジェクトに対応しています」と、チーム対応へのこだわりを明かしています。
部長としての臧氏の信念も、このチーム体制を支えています。自身が過去の失敗から学んだ経験を踏まえ、「失敗が成長につながる」という考えを持っていました。だからこそ部下には積極的に業務を任せているといいます。自身は常に「社員それぞれの思いを優先して後ろでフォローしています」と述べ、失敗を恐れず、部下の成功体験を促すための後ろ盾に徹しています。臧氏のそのような姿勢は、社内で「人情味あふれる優しいリーダー」と称されています。
今後のビジョン
臧氏が今後重点的に取り組みたいビジョンは、顧客の情報発信支援と社内環境の向上の2点です。一つ目の顧客の情報発信については、「ステークホルダーとの対話を導き、信頼関係を築くためのステップにつながるコミュニケーションツールの提供を目指し、業務を行うこと」を挙げています。特にIR資料などの重要情報は、単に翻訳するだけではその役割を果たせるとは言い切れないためです。これは、「私たちエイアンドピープルの使命は、お客様のビジネスの成功の助力となる」という理念に基づいているようです。
二つ目の社内環境の向上については、「引き続き今の働きやすさをキープした上で、さらに効率化できることがあれば都度取り入れたい。良いチーム環境を作りたい」と、業務効率化を進めながら環境の柔軟な改善を目指しています。一見すると関連性がなく思われるかもしれない二つのビジョンですが、日頃の煩雑な業務に追われ、理念が薄れないためにも、同時に進める必要があると考えているそうです。
グローバルかつ情報化社会において、コミュニケーションのスタイルも変化しつつあります。効果的にコミュニケーションを実現するためには、元々の日本語をより読み手主体のスタイルに改める必要が出てきています。エイアンドピープルでは、そのサポートをする手段の一つとして、日本語の可読性を測るツール「Nikola(ニコラ)」を東京大学と共同開発しました。「日本語を変えることでグローバルスタンダードなコミュニケーション方法に近づき、より効果的な情報発信が可能となる」と、ツールの活用を通じた顧客貢献にも意欲を示しています。
臧氏が描く理想は、社員一人ひとりが「お客様サイドに立ってプロジェクトを成功に導くよう、それぞれが能動的に仕事に取り組む」チームです。エイアンドピープルは、この「伝わる」コミュニケーションのプロフェッショナル集団として、今後も企業と社会をつなぐ橋渡し役を担っていくことでしょう。
プロフィール
臧 菁(ざん じん)
株式会社エイアンドピープル グローバルコミュニケーション事業部部長。中国上海出身。同社に約10年近く勤務し、プレインランゲージを活用したIR資料の提供など、企業の高度な情報発信プロジェクトを管理しています。同社が開発したプレインランゲージ診断ツール「ニコラ」の普及を通してさらなる顧客への貢献を目指しています。
関連情報
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エイアンドピープルの戦略の詳細:
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SAJ 40周年記念サイト:
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一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ):
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株式会社エイアンドピープル 公式サイト:
AI Workstyle Lab編集部コメント
エイアンドピープルが提供する「ニコラ」は、単なる日本語の校正ツールにとどまらず、国際的なビジネスコミュニケーションの質を高める可能性を秘めています。プレインランゲージの普及は、情報の受け手にとっての理解度を向上させ、誤解の減少や意思決定の迅速化に寄与するでしょう。今後は、多言語対応の精度向上や、業界特有の専門用語への対応強化が課題として挙げられます。また、AIによる書き換え機能がどのように文脈のニュアンスを保持しつつ、簡潔性を追求できるかにも注目が集まります。企業がグローバルに情報を発信する上で、このようなツールの進化は不可欠な要素となると考えられます。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

