モビルスの子会社であるvottia株式会社は、コンタクトセンター向けAIエージェントプラットフォーム「maestra(マエストラ)」の提供を2025年11月より開始すると発表しました。
「maestra」は、複数のAIエージェントが連携して複雑な問い合わせに対応する「マルチエージェント」をノーコードで構築できるプラットフォームです。AIが複数のシステムを横断して照会や手続きを自動で行うことで、まるで人が対応しているかのような自然で高度な応対を実現します。これにより、コンタクトセンター業務の効率化、オペレーターの人材不足解消、業務担当者の負担軽減に貢献することが期待されます。
「maestra」は、2025年11月13日(木)から14日(金)に池袋サンシャインシティで開催される「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2025 in 東京」にてデモンストレーションを実施する予定です。

開発の背景と「maestra」の狙い
コンタクトセンター業界では、FAQ(よくある質問)を自動対応するチャットボットの普及により、単純な問い合わせは減少傾向にあります。しかし、その一方で、オペレーターには複数のシステムを照会したり、状況に応じた判断や手続きを代行したりするなど、より複雑で高度な対応が求められています。このような業務の効率化や自動化は、多くの企業にとって依然として課題です。
また、オペレーターの採用や育成の難しさから人手不足が深刻化しており、個人の経験に依存しない応対品質の維持と省人化への対応が急務となっています。
こうした状況の中、生成AIの進化とAIエージェント技術の発展により、利用者との複雑な対話やシステム連携を自動化できる技術基盤が整いつつあります。モビルスはAIエージェントプラットフォームの開発を目的として、2025年4月にコールセンター大手のトランスコスモス株式会社とvottia株式会社を合弁で設立しました。「maestra」は、vottiaがコンタクトセンター業務の現場知見と生成AIを組み合わせる形で共同開発を進めてきた成果です。
AI Workstyle Lab編集部コメント
コンタクトセンターにおけるAIの活用は、これまで主にチャットボットによる定型的な問い合わせ対応が中心でした。しかし、「maestra」のようなAIエージェントプラットフォームの登場は、AIがより複雑な業務プロセスに深く関与し、人間のオペレーターと同等、あるいはそれ以上の対応品質と効率性を提供する可能性を示しています。
特に注目すべきは「ノーコード」でマルチエージェントを構築できる点です。これにより、現場の担当者が直接AIを自社の業務に合わせて柔軟に設定・運用できるようになり、AI導入のハードルが大きく下がります。また、MCP(Model Context Protocol)による多様なシステム連携は、AIが企業の既存システムとシームレスに連携し、顧客対応の自動化範囲を飛躍的に広げるでしょう。AIが企業の業務に深く統合されることで、私たちはより戦略的な業務に集中できるようになるはずです。
「maestra」の主要機能
「maestra」は、SaaS(Software as a Service:インターネットを通じてソフトウェアをサービスとして利用する仕組み)型で提供され、以下の主要機能を備えています。
- マルチエージェント・アーキテクチャなシステム設計
複数のAIエージェント(人間に代わって特定のタスクや目的を自律的に実行するAIプログラム)が自律的に連携し、利用者の複雑な問い合わせに対応します。確実な手続き実行が必要な場合は、事前に定義されたワークフローに沿って対応します。 - エージェント処理のトレーシング
AIの判断プロセスやエージェント間のやり取りが全て可視化されます。これにより、業務担当者はAIの動作を理解・分析し、必要に応じて改善できます。 - 多様なシステム連携
自然言語とシステムが会話するためのMCP(Model Context Protocol)対応を拡充し、従来のAPI(Application Programming Interface)開発工数を大幅に削減します。MCPは、AIアプリケーションと外部システムを標準化された方法で接続するためのオープンスタンダードプロトコルで、AIエージェントが多様なシステムと効率的に連携することを可能にします。対応済みシステムは事前の開発なく連携が実現します。 - 高度なメモリ管理機能
利用者との対話履歴や取得したパラメーターを適切に管理し、継続的で一貫性のある対応を実現します。過去の問い合わせ内容も記憶することで、利用者一人ひとりに最適化した高度なパーソナライゼーション(個別化)を実現します。 - 音声対応・ボット間連携
vottiaが自社開発した音声LLM(大規模言語モデル:大量のテキストデータから学習し、人間のような自然な言語を理解・生成できるAIモデル)を活用した高度な音声対話インターフェースとの接続に加え、モビルス社の既存製品やサードパーティ(オリジナルの製品メーカーやその系列企業以外の企業)製品との連携も計画されています。
導入による期待効果
「maestra」の導入により、顧客体験(CX:顧客が製品やサービスを利用する際に経験する一連の体験全体)とコスト最適化の両面で大きなインパクトが期待されます。
- 迅速かつ丁寧な対応でCXを改善
AIエージェントがたらい回しすることなく、スピーディに手続き対応を行うことで、デジタルチャネルでのCXが向上します。 - AIエージェントが人に代わり複雑な手続きも対応。有人対応を削減
自動化が難しいとされていた複数のシステム照会や、状況に応じた判断などの複雑な対応をAIエージェントが担うことで、有人対応が大幅に削減されます。 - 多様な問い合わせにも対応し有人窓口の営業時間短縮
多くの問い合わせ種別に対応可能になり、無人対応の時間を拡大することで、有人窓口の営業時間短縮につながります。 - ソースコード作成不要で導入期間を短縮
SaaS型のノーコード構築により、従来のシステム開発と比較して大幅な期間短縮が可能になります。
展示会出展情報
vottiaは「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2025 in 東京」に出展し、「maestra」のデモンストレーションを実施します。
- 会期:2025年11月13日(木)~14日(金)
- 会場:池袋サンシャインシティ 文化会館(〒170-0013 東京都豊島区東池袋3-1-1)
- vottiaブース:トランスコスモス「4B-27」、モビルス「3C-14」
- 展示内容:「maestra」のデモンストレーション、機能説明、導入相談
詳細はイベント公式サイトをご覧ください。
https://www.callcenter-japan.com/tokyo/
関連情報
- 「maestra」サービスページ: https://vottia.jp/maestra/
- モビルス株式会社 公式HP: https://mobilus.co.jp
- vottia株式会社 公式URL: https://vottia.jp/

