リビルダーAIは、来年1月に開催される世界最大のIT展示会「CES 2026」に先立ち発表されたCESイノベーション賞において、2部門での受賞を果たしました。
CESイノベーション賞は、CESを主催する米国消費者技術協会（CTA）が、技術力と革新性に優れた製品に贈るものです。リビルダーAIは、デザインスケッチから生産までを一貫してつなぐソリューション「VRING:ON」で、ファッションテック部門と人工知能部門のイノベーション賞を同時に受賞しました。
VRING:ONが実現する製造プロセス革新
VRING:ONは、単にデザインイメージを生成する従来のAIとは異なり、「製造可能なデザイン」と「販売ペルソナを考慮したデザイン」の生成に特化している点が特徴です。これにより、市場で売れるデザインを生み出し、コストを抑えた最適な製造へとつなげることを目指しています。
同ソリューションは、特に金型設計が必須となる市場、例えば靴、化粧品パッケージ、ジュエリー、プラスチック製品、家具などをターゲットとしています。これらの分野では、デザインスケッチから実際の生産に至るまで、高度な3D CAD（コンピュータ支援設計）作業と複雑な金型設計が不可欠であり、デザインと製造可能性の間に大きなギャップが生じやすいという構造的な課題がありました。また、実際の生産コストや生産方法の検討が複雑で、多くの時間とコストが費やされていました。
VRING:ONは、このような金型産業が抱える課題に対し、一つの統合プラットフォームで対応することで、製造プロセスの革新と時間・コストの大幅な削減を実現します。
AI Workstyle Lab編集部からの解説
今回のリビルダーAIの受賞は、AI技術がファッション産業のデジタル変革（DX）を加速させる可能性を示しています。VRING:ONのようなAIソリューションは、デザインから製造に至るまでの複雑な工程を効率化し、企業が市場の変化に迅速に対応するための強力なツールとなります。
特に注目すべきは、AIが単なるデザイン生成にとどまらず、「製造可能性」や「販売ペルソナ」といったビジネスの視点を取り入れている点です。これにより、AIは単なる創造性の補助ツールではなく、企業の収益性向上に直結する戦略的なパートナーとなり得ます。金型設計が伴う製造業においては、これまで職人の経験と勘に頼る部分が大きかった工程にAIが介入することで、品質の均一化や生産リードタイムの短縮、コスト削減といった具体的なメリットが期待できます。これは、AIを仕事で活用することで、新たな価値を創出し、ビジネス競争力を高める好例と言えるでしょう。
グローバルでの技術力認定と今後の展望
リビルダーAIは今年、世界中で開催された優秀スタートアップ選定プログラムや、高い技術力を持つAIスタートアップ選定プログラムで名を連ねるなど、グローバルな舞台でその技術力を認められてきました。今回のCESイノベーション賞受賞は、こうした実績にさらなる弾みをつけるものと期待されます。
リビルダーAIの関係者は、「今回の受賞は、AI技術がデザイン・製造産業のデジタル転換を牽引できる可能性を示すものです」と述べています。今後、VRING:ONを通じて製品ブランドと製造業者がより効率的に協業し、急速に変化する市場トレンドに機敏に対応できるよう支援していく方針です。また、販売性の高いデザインに関する研究も継続し、多様なブランドに貢献していくと抱負を表明しています。
AI技術の進化が、伝統的な産業構造にどのような変革をもたらすか、今後の動向が注目されます。
