モビルスのAIボイスボット「MOBI VOICE」がゼンリンデータコムと連携
モビルス株式会社は、AIボイスボット「MOBI VOICE(モビボイスⓇ)」と、株式会社ゼンリンデータコムが提供する「ZENRIN Maps API」との連携を開始し、新機能「ゼンリン住所データベース連携オプション」の提供を発表しました。この連携により、コンタクトセンターにおける通話音声の住所認識精度が向上し、業務効率化と利用者満足度の向上が期待されます。

コンタクトセンターの現状とボイスボットの進化
近年、コンタクトセンターでは利用者の多様なライフスタイルに対応するため、Webフォームやチャットなど様々な問い合わせ手段が提供されています。しかし、「お客さま窓口の利用実態調査2024」によると、電話での問い合わせニーズは依然として高く、特にシニア層では約4割、全体でも約3割を占めています。この調査結果は以下のリンクから確認できます。
一方で、コンタクトセンター業界はオペレーターの採用難や離職率の高さによる人手不足に直面しており、業務効率化や省人化、さらには顧客満足度(CX:Customer Experience)向上への対応が喫緊の課題となっています。このような状況下で、ボイスボットは有人オペレーターの業務を補完・代替する手段として注目を集めています。
ボイスボットの導入により、コンタクトセンターは繁忙期や夜間・休日でも自動対応が可能となり、利用者の待ち時間や「つながらない」といった不満の軽減、24時間365日の対応体制を実現できます。また、一次受付やFAQ(よくある質問)対応をボイスボットが自動化することで、オペレーターはより複雑な案件に集中できるようになり、平均通話時間(ATT:Average Talk Time、通話開始から通話終了までの時間)の短縮や後処理業務の効率化、応対品質の向上につながります。
しかしながら、従来のボイスボットには、複雑な名称や特殊な地名の読み上げに課題がありました。例えば、「青島(あおしま)」を中国の地名である「チンタオ」と誤って読み上げたり、「百々町(ドウドウチョウ、ドドチョウなど)」のように地域によって読み方が異なる地名に対応できなかったりすることがありました。これにより、利用者との認識の不一致が生じ、通話が中断されたり、正確な情報が伝わらないまま通話が終了したりするなど、利便性を損なうケースがありました。また、ボイスボットによる電話応対後も、オペレーターが手動で情報の確認や修正を行う必要があり、後処理業務の負担が増大していました。
これらの課題解決のため、モビルスは「ZENRIN Maps API」の導入を決定し、「MOBI VOICE」との連携を開始しました。
「ゼンリン住所データベース連携オプション」で実現する高精度な住所認識
今回の連携により提供される新機能「ゼンリン住所データベース連携オプション」は、AIボイスボット「MOBI VOICE」とゼンリンデータコムが提供する「ZENRIN Maps API」を組み合わせることで、通話音声からの住所認識精度を大幅に向上させます。
「MOBI VOICE」は、AIや音声認識・音声合成エンジンを活用し、電話での問い合わせに24時間365日自動で応答するAIボイスボットシステムです。「ZENRIN Maps API」は、株式会社ゼンリンが保有する日本全国の住所を網羅した詳細な住所情報と、地域ごとの正しい地名の読み方に関するデータベースを提供しています。
この連携により、ボイスボットは株式会社ゼンリンの住所データベースへ直接参照できるようになります。その結果、利用者との通話音声から得られた郵便番号や番地の数字情報のみで、マンション名を含む住所を正確に特定できるようになります。日本の難読地名や地域特有の読み方にも対応し、利用者への復唱・確認を正確に行うことで、音声認識の不一致を防ぎ、ストレスのない円滑なコミュニケーションを可能にします。

コンタクトセンターにおいても、利用者との認識齟齬が生じるたびにオペレーターが行っていた確認作業や音声認識の辞書登録が不要となり、後続処理にかかる工数が削減されます。これにより、オペレーターの負担が軽減され、業務効率が向上し、より付加価値の高い業務に専念できるようになります。
なお、この「ゼンリン住所データベース連携オプション」の利用には、「MOBI VOICE」のビジネスプラン以上と生成AIオプション(有償)の契約が必要です。
AI Workstyle Lab編集部による解説
AI Workstyle Lab編集部では、今回の「MOBI VOICE」と「ZENRIN Maps API」の連携は、AIを仕事で活用する上で非常に重要な一歩だと考えています。特に、コンタクトセンター業務において、正確な住所認識は顧客対応の質を左右する基盤となります。従来のボイスボットが抱えていた「聞き間違い」や「読み間違い」といったヒューマンエラーに近い課題が、AIと詳細なデータベースの連携によって解消されることは、業務の自動化と効率化を大きく推進するでしょう。
オペレーターが高付加価値な業務に集中できるようになることで、企業の生産性向上はもちろんのこと、利用者にとってもストレスフリーな体験が提供されることは、顧客満足度(CX)の向上に直結します。AIが単なる自動応答に留まらず、より複雑で専門的な業務をサポートする段階へと進化していることを示す好事例と言えるでしょう。この技術は、住所情報を取り扱う様々な業界での応用も期待されます。
各サービス・企業情報
AIボイスボット「MOBI VOICE(モビボイスⓇ)」について
「MOBI VOICE」は、電話の問い合わせ対応をAIで自動化するボイスボットシステムです。ピーク時のあふれ呼対応や24時間365日稼働により、顧客体験(CX)向上に貢献します。オペレーション支援AI「MooA®(ムーア)」と連携することで、対応内容を要約し、CRM(顧客管理システム)などに要約データを流すことでACW(平均後処理時間)の削減も可能です。
法人向け ゼンリン地図・位置情報開発ツール「ZENRIN Maps API」について
ゼンリングループの「ZENRIN Maps API」は、地図コンテンツや位置情報機能をWebサイトやアプリに実装するための開発ツールです。株式会社ゼンリンおよび株式会社ゼンリンデータコムが提供しています。
株式会社ゼンリンデータコムについて
代表者 :代表取締役社長 清水 辰彦
所在地 :東京都港区芝浦三丁目1番1号 msb Tamachi 田町ステーションタワー N22階
設立 :2000年4月
事業内容:ITS事業、ネットサービス事業、海外事業
モビルス株式会社について
モビルスは、クライアントの顧客のつまずきや課題へ先回りしたCX(顧客体験)のブランディング設計を行い、企業価値と経営収益向上へ貢献する会社です。オペレーション支援生成AIサービス「MooA®(ムーア)」や、顧客コミュニケーションのノンボイス化とデジタル化を推進するSaaSソリューション「モビシリーズ」を開発・提供しています。モビシリーズは500社以上に導入実績があります。同社は「すべてのビジネスに、一歩先行くCXを。」をミッションに掲げ、テクノロジーによる企業のCX向上を目的に「CX-Branding Tech. Lab」を運営しています。
- CX-Branding Tech. Lab:https://mobilus.co.jp/lab/
会社名 :モビルス株式会社
代表者 :石井智宏
所在地 :東京都品川区東五反田2丁目22番9号 住友不動産大崎ツインビル西館9階
設立 :2011年9月
上場市場:東京証券取引所 グロース(証券コード:4370)
事業内容:コンタクトセンター向けSaaSプロダクト(モビシリーズ)などのCXソリューションの提供
- 公式HP :https://mobilus.co.jp
今後の展望
モビルスは、今後も生成AIなどの先進技術活用や外部サービスとの連携を強化し、コンタクトセンターのさらなる効率化と顧客体験(CX)の向上に貢献していく方針です。

