津梁ファンド初のアクセラレーションプログラム「SHINRYO Acceleration Program 2026」Demo Dayレポート
フォーシーズ株式会社が運営する津梁ファンドは、台湾・東アジア地域のシード期スタートアップを対象とした初のアクセラレーションプログラム「SHINRYO Acceleration Program 2026」を実施しました。このプログラムは、沖縄を“日本市場へのソフトランディング拠点”と位置づけ、アジアのスタートアップの日本進出、さらにはその先の世界進出を支援することを目的としています。
2026年2月5日に琉球新報ホールで開催されたDemo Dayでは、参加した8社の台湾スタートアップのうち7社がプレゼンテーションを行いました。

オープニング:沖縄が果たすべき役割
プログラムの冒頭では、津梁ファンド代表パートナーの豊里氏が「SHINRYO Acceleration Program 2026」の趣旨を説明しました。

沖縄は現在、年間1,000万人を超える観光客を迎え、そのうち約200万人がインバウンド観光客です。この地理的・経済的特性を活かし、沖縄を日本市場進出の初期実績を創出する「テストベッド」とすることで、日本企業との取引実績を築き、海外企業が直面する「信用の壁」を乗り越える役割を担うことが期待されています。特に台湾は、半導体産業に加え、ブルーエコノミーの領域でも高い成長を遂げており、沖縄との連携が重要視されています。過去には、フォーシーズが開催した「KOZAROCKS 2024」で台湾スタートアップ「CancerFree Biotech」が優勝し、OIST(沖縄科学技術大学院大学)のアクセラレーションに参加。また、自動運転技術の「Turing Drive」が宮古島で走行実証を行うなど、具体的な連携事例が生まれています。
今後は、「台湾企業を沖縄経由で日本へ」という流れだけでなく、「日本から沖縄を経由して台湾へ」進出するスタートアップも生み出すような、クロスボーダーな支援を目指していくとのことです。
台湾スタートアップ7社によるピッチ
Demo Dayには、前日から来日していた7社の台湾スタートアップが参加し、沖縄の施設や企業を訪問してネットワーキングを図った後、プログラム8週間の成果を発表しました。コメンテーターとして、グローバルな海外進出支援や事業展開に携わる3名のプロフェッショナルが参加しました。

(1) iCueスマートマット / 介護向けスマートマット

介護施設向けに、ベッドの全面に敷くスマートマットレスとセンサー、AI解析を組み合わせた見守りシステムを提供しています。体動、呼吸数、心拍、離床回数、睡眠状態などを非接触で計測し、AIがデータを意味のある情報に変換します。現在、台湾・日本・香港で100以上の施設に導入され、約2,000名分のデータを日々解析し、リスク抽出に活用されています。顧客のサービス継続率は90%以上で、日本企業での導入実績もあります。文化・言語のギャップ解消のため、病院現場との連携に強い日本企業との協業をさらに希望しています。
(2) Hanaline / AIを活用したOTA(オンライン旅行代理店)×UGC(ユーザー生成コンテンツ)×SaaSのプラットフォーム

ユーザーがデジタルツアーを簡単に作成・配信できるプラットフォームを運営しています。Canvaのようなクリエイターツールを活用し、音声、字幕、多言語、画像、アニメなどをAIで生成。ユーザー自身がツアーをアプリで販売することも可能です。観光協会や観光施設とのPoC(概念実証)を通じて、案内人不足や多言語対応といった課題をコストを抑えながら解決しています。日本の観光業における労働力不足の緩和とDX推進に寄与し、オーバーツーリズム対策として、認知度の低い地域の旅行者分散を促し、持続可能な観光の実現を目指しています。
(3) Deeli AI / 次世代技術を特定・評価・投資できるよう支援するAI

世界中の膨大な技術データ(論文、特許、スタートアップ情報など)をAIで分析し、企業が次に主流となる技術や協業すべき企業を特定できるよう支援するプラットフォームを提供しています。企業のR&Dや技術戦略の立案をサポートし、現在は半導体、素材、再生可能エネルギーの領域に注力しています。すでに半導体業界の顧客では、業務効率を10倍に向上させた実績も出ています。日本市場での企業の意思決定支援を段階的に進めており、今後は金融(M&A/投資DD)分野も強化することを視野に入れています。
(4) Cobinyiu Creativity / 膨大な製品カタログを持つ企業向け特化型のAI検索ソリューション

ECサイトを持つ大規模小売店向けに、セマンティック検索、キーワード検索、AI検索の三層構造で検索を最適化し、EC運用のコスト最適化を支援するツールです。多言語(中国語、日本語、英語)に対応し、店頭のQRコードからサイトへ誘導し、会話型でユーザーの疑問に答えます。検索利用者の15%が売上の45%を創出し、1円の投資で27円の売上という実績を上げています。日本の小売企業や観光センターでPoCを実施中。ECプラットフォームではShopifyとの連携を最優先で進めており、今後、他のプラットフォームにも対応予定です。
(5) FinedayClub / 富裕層向け旅行コミュニティ運営

台湾の上位10%の高所得者層向けに、プレミアムな旅行・ライフスタイルサービスを提供する会社です。会員課金とB2B2C連携(ラグジュアリー、自動車、金融など)で収益を上げています。内部の業務支援にはAIを活用し、会員との直接対話・関係構築を重視したサービス設計にこだわっています。沖縄と台湾の架け橋として質の高い体験をキュレーションし、精密なマーケティングで沖縄の観光業の単価向上に寄与することが期待されています。沖縄の「Hidden Gems」をストーリーで紹介し、ローカルと会員を精緻にマッチングします。
(6) dentallHiS / 歯科デジタルプラットフォーム

年間約600本の講座を提供する歯科医向けサイトを運営し、日本の歯科業界における人材不足や経営課題の解決に貢献します。日本の複雑な保険請求の仕組みにも対応済みです。生成AIを用いて歯ごとの状態を可視化し、患者ごとに問題の歯を抽出し、治療案の提示や説明資料の自動生成を行うことで、患者への病状説明時間を約1時間から約5分に短縮しています。2016年以来、台湾国内で9,000人以上の歯科医師(53%)と3,000軒以上のクリニック(43%)にサービスを提供し、圧倒的なシェアを誇ります。日本では既存プラットフォーム(電子カルテ/保険審査)との連携を重視した拡大戦略を検討中で、販売パートナー企業も見つけていきたいと意欲を見せています。
(7) ARTOGO / 文化施設向けデジタルソリューション

博物館などの文化施設向けに、リアルとオンラインを統合したコンテンツ制作・実装・マーケティング支援ソリューションを提供し、文化施設の価値向上をサポートしています。チェコ国立技術博物館でのデジタル案内は15万人以上が体験し、台北浮世絵展では音声ガイドを3ヶ月で10万人が利用しました。運営コストを80%削減しつつ、来場者のデジタルコンテンツ活用率を25%向上させ、利益創出に貢献しています。今後は、日本進出を沖縄から開始したいと述べていました。

SHINRYO Acceleration Program 2026の総括
津梁ファンド代表パートナーの豊里氏からは、「ここからがスタート」であるという総括の言葉がありました。プログラム閉会後も、参加企業との連携を継続し、日本進出に向けたフォローアップが行われる予定です。台湾企業との連携を通じて、豊かな沖縄経済、ひいては豊かな日本経済の形成に寄与していくとのことです。

「津梁ファンド」について

フォーシーズ株式会社が設立した、沖縄のスタートアップエコシステムの構築と新産業創出を目指す地域密着型ベンチャーキャピタルファンドです。ファンド名は、かつて琉球王朝が万国の架け橋として繁栄した「万国津梁」に由来しています。
津梁ファンドは、資金供給が不足しがちなシード期のスタートアップに対し、資金だけでなく専門知識やネットワークを提供しています。観光、エネルギー、ヘルスケアといった次世代成長産業を重点領域とし、沖縄を起点に県外・海外市場へ挑む「クロスボーダー展開」を強力に支援。県内資本を集約・還元する好循環を生み出し、観光業に続く沖縄の新たな基幹産業を創出することを目指しています。
フォーシーズ株式会社について

日本とアジアの成長を牽引する新たな産業を生み出すための「万国津梁」となるべく活動している、沖縄の企業です。沖縄発の独立系ベンチャーキャピタルファンド「津梁ファンド」や、沖縄市コザにあるイノベーション創出拠点「Koza Startup Arcade」、県内最大級のスタートアップカンファレンス「KOZAROCKS」などの運営を行っています。地域社会と共創しながら次世代の起業家を支援し、日本とアジアをつなぐ架け橋となることを目指しています。
AI Workstyle Lab編集部コメント
今回の津梁ファンドによるアクセラレーションプログラムは、沖縄がアジア、特に台湾のスタートアップにとって日本市場へのゲートウェイとして機能する可能性を明確に示しました。参加した各社の技術は、介護、観光、R&D、Eコマース、歯科医療、文化施設といった多岐にわたる分野で、AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するものです。日本企業がこれらの革新的なソリューションと連携することで、新たなビジネスチャンスの創出、業務効率の向上、そして顧客体験の劇的な改善が期待できます。特に労働力不足が課題となる分野では、これらのAI技術が強力な解決策となるでしょう。沖縄を起点としたクロスボーダー連携は、日本経済全体の活性化にも寄与する重要な動きと言えます。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

