世界初のAI技術でSMMをリアルタイム推定
今回開発された技術は、ドコモが独自に開発したグラフニューラルネットワーク(SMM推定エンジン)を用いて、SlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスチャットメッセージを解析し、チームのSMMスコアをリアルタイムに推定し、チーム状態の変化を可視化するものです。

具体的には、チャットメッセージを複数のAI(LLM)が「情報共有」「質問」「感謝」など11のカテゴリに分類します。その後、特定のカテゴリのメッセージがチーム内で誰から誰にどのように伝達されているかという指向性をSMM推定エンジンで解析することで、SMMスコアが自動的に算出されます。
この技術の特長は、従来のアンケート調査が不要であるため、コストやチームメンバーの負担を軽減し、リアルタイムで継続的なモニタリングが可能になる点です。また、人が介在しないため、チームメンバーの発言内容を他者が個別に確認・評価することなく分析でき、プライバシーが守られるという秘匿性の高さも大きな利点です。
マネージャー・リーダーへの活用
本技術を活用することで、チームのマネージャーやリーダーは、自チームのSMMスコアの低下をリアルタイムに把握できるようになります。これにより、SMMスコア向上に向けた前提知識の共有や目的の再確認といったコミュニケーション施策を適切なタイミングで実行することが可能になります。
さらに、新しいメンバーがチームに加わった際にも、時間の経過とともにSMMスコアが上昇傾向にあるか、つまりオンボーディングが順調に進んでいるかを把握するのに役立ちます。
実証実験で高い精度を確認
ドコモ社内での実証実験では、実際のビジネスチャットデータを用いて本技術の有効性を検証しました。その結果、メッセージの内容、カテゴリ、指向性の3つの情報を合わせて分析する本技術が高精度なSMMスコア推定を可能にすることが確認されました。

評価から得られた知見として、メッセージのカテゴリを考慮することがSMM推定において重要であること、メッセージの指向性だけでは効果が限定的であること、そしてメッセージの内容、カテゴリ、指向性の3つの情報を組み合わせることで最高の精度が得られることが判明しました。
今後は、ドコモ以外の企業や組織での実証実験を通じて、本手法のさらなる性能向上と技術検証を進める予定です。両者は、本技術を通じてチームが効率的にパフォーマンスを発揮できる働き方を実現し、多くの企業の事業成長や生産性向上に貢献することを目指しています。
なお、本技術に関する論文は、2026年4月13日から4月17日にスペイン・バルセロナで開催される国際会議「CHI 2026」で発表される予定です。
論文タイトル
Estimating Shared Mental Models via Communication-Categorized Directed Graphs
著者
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田中 宏昌(NTTドコモ 総務人事部 兼 クロステック開発部)
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山田 渉(NTTドコモ サービスイノベーション部 担当課長)
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落合 桂一(横浜市立大学 データサイエンス学部 准教授、NTTドコモ モバイルイノベーションテック部 主査)
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Shaowen Peng(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 助教)
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若宮 翔子(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授)
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荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授)
注釈
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Human Computer Interaction(HCI)分野:人間とコンピュータの相互作用を促進する情報科学の研究分野です。現代において、スマートフォンやタブレット端末など、人間とコンピュータとの情報のコミュニケーションのほとんどがHCIと関連しています。
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ACM CHI conference on Human Factors in Computing Systems (CHI 2026):人とコンピュータの関係を研究する分野(HCI)の世界最大級かつ最難関の国際会議です。毎年開催され、IT企業や大学の研究者がUI/UX、AIと人間の関係、デジタル社会のあり方などについて最新の研究成果を発表します。採択率は非常に低く、論文が採択されることは、その分野で高い評価を受けたことを意味します。
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SMMスコア:高いチームではチーム内でのさまざまな共通認知が形成されており、いわゆる阿吽の呼吸で効率的に仕事を進めることができます。低いチームでは業務に関するさまざまな前提知識の共有ができておらず、お互いの認識確認に時間を要し効率的に業務を進めることが難しいとされています。
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グラフニューラルネットワーク(GNN):人やモノ同士の「つながり(ネットワーク構造)」をそのまま扱って学習するAI技術です。例えば、SNSの友人関係や企業内のコミュニケーションのように、「誰と誰が関係しているか」という構造を考慮しながら、影響関係や特徴を解析できます。
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SMMアンケート調査:国際的に標準化されたSMM測定尺度(5-PSMMS)を使用し、「仕事の進め方」「役割分担」「コミュニケーション方法」「お互いの能力」「スケジュール管理」の5つの観点から、チーム内でどれだけ共通の認識が形成されているかを数値化しました。
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RMSE(Root Mean Square Error:二乗平均平方根誤差):推定値と実測値のずれの大きさを表す指標です。値が小さいほど推定の精度が高いことを意味します。
AI Workstyle Lab編集部コメント
今回の技術は、チームのコミュニケーションと生産性向上に新たな道を開くものです。特に、リモートワークが常態化する現代において、非対面でのチーム状態把握は多くの企業にとって喫緊の課題でした。本技術により、マネージャーはリアルタイムでチームのSMMスコアを把握し、適切なタイミングで介入できるため、オンボーディングの効率化やプロジェクトの円滑な進行に直結するでしょう。今後は、業種を問わず多様なビジネスシーンでの活用が期待され、企業の競争力強化に貢献する可能性を秘めています。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

