株式会社アップグレードは、BtoB営業における「リサーチ・分析・提案」プロセスを全自動化する受託開発型の新サービス「営業戦略プランナーAI」を正式にリリースしました。このサービスは、顧客企業名と自社情報を入力するだけで、AIが企業の基本情報、市場環境、最新動向の調査・分析から、顧客が抱える課題の特定、さらには自社製品を絡めた最適な提案シナリオの作成までを数分で完結させることが特徴です。

公開デモサイトはこちらで確認できます。
「営業戦略プランナーAI」とは?
「営業戦略プランナーAI」は、顧客情報と自社情報を入力するだけで、AIが自律的にリサーチと分析を行い、具体的な営業提案シナリオまでをワンストップで生成する受託開発型サービスです。このサービスの最大の特徴は、単一のAIではなく、異なる役割を持つ複数の「AIエージェント」が連携して動作する点にあります。AIエージェントとは、特定のタスクを自律的に実行するAIプログラムのことで、ここでは以下の3つの役割に分かれています。

- リサーチアナリストAI: 顧客の最新動向をWebから自動収集します。
- プロダクトマーケティングAI: 自社商材の強みを分析します。
- 戦略コンサルタントAI: 両者の情報を統合して最適な提案を構築します。
これにより、トップセールスチームやコンサルティングファームが行うような、多角的かつ高度な分析プロセスをAIで再現することが可能になります。顧客の営業プロセスや利用するデータに合わせてカスタマイズし、最適な形で提供されます。
「営業戦略プランナーAI」の主な機能と特徴
1. 専門家AIエージェントによる多角的な分析・連携
本サービスには、「リサーチアナリスト」「プロダクトマーケティングマネージャー」「戦略コンサルタント」といった、特定の役割に特化したAIエージェントが搭載されています。これらのエージェントが自律的に思考・行動し、連携することで、人間による表層的な分析を超えた、深く多角的な洞察を導き出します。
2. 最新の公開情報をリアルタイムで自動リサーチ
顧客の会社名を入力するだけで、AIエージェントがGoogle SearchやWebスクレイピング(Webサイトから情報を自動的に抽出する技術)を活用し、顧客の最新プレスリリース、ニュース、市場動向、競合他社の動向などをリアルタイムで収集・分析します。これにより、手作業のリサーチ工数を大幅に削減し、常に最新の状況に基づいた戦略立案が可能になります。リサーチのトピックを指定するようなカスタマイズもできます。
3. 顧客の「課題」と自社の「強み」を紐づけた高精度な提案生成
AIが顧客の基本情報や市場環境から「顧客の強み・課題」を分析し、同時に自社の商材情報から「顧客業界における自社の強み」を抽出します。この二つの分析結果を「戦略コンサルタントAI」が突き合わせ、最もシナジー(相乗効果)の高いポイントを特定します。「背景と課題」「具体的な提案内容」「期待される効果」「客観的根拠」を含む、説得力の高い提案シナリオを複数自動生成します。
4. 独自資料の取り込みと受託開発による柔軟なカスタマイズ
Web上の公開情報だけでなく、お客様が保有する独自の商材資料、過去の提案資料、顧客から提供されたドキュメントなどをAIに読み込ませることが可能です。これにより、分析の精度をさらに高めることができます。

また、本サービスは受託開発型であるため、お客様の特定の営業プロセスや使用ツール(SFA/CRM:営業活動を支援・管理するシステム)との連携など、ニーズに応じた柔軟な機能カスタマイズが可能です。
例えば、GX(グリーン・トランスフォーメーション)特化型AIのように、GX関連の特定情報ソース(関連省庁のドキュメント、業界レポートなど)を優先的に読み込ませ、GXの文脈に沿った課題特定とソリューション提案を自動生成させるといった、専門性の高いカスタマイズもできます。


開発の背景
現代のBtoB営業、特にエンタープライズ向けのソリューション営業では、顧客企業の複雑な課題を深く理解することが不可欠です。しかし、本質を捉えた提案をするためには、顧客の最新プレスリリース、市場環境、競合動向、業界トレンドなど、膨大な情報を収集・分析する必要があり、多くの営業担当者にとって大きな負担となっていました。
従来の営業プロセスでは、以下のような課題がありました。
- リサーチに膨大な時間がかかり、本来の提案活動に集中できない。
- 分析スキルが属人化し、営業担当者によって提案の質にバラつきが出る。
- 収集した情報が断片的で、顧客の本質的な課題に即した提案が難しい。
株式会社アップグレードは、これらの課題をAI技術で解決するため、高度な分析と提案プロセスを自動化する「営業戦略プランナーAI」を開発しました。
今後の展望
「営業戦略プランナーAI」は、今後さらなる機能強化を図る予定です。具体的には、Web検索機能と連携し、市場規模や競合サービスの比較といったリサーチ結果をそのままスライド化する機能や、生成前にAIと対話しながら内容を推敲できるプロセスを追加するなど、使いやすさの向上を目指しています。また、SalesforceなどのCRM/SFAツールとのシームレスな連携を実現し、顧客データに基づいたより精度の高い分析や営業活動の記録・管理の自動化を可能にしていくとのことです。
AI Workstyle Lab編集部の解説
BtoB営業において、顧客の課題を深く理解し、的確な提案を行うことは常に求められますが、そのための情報収集や分析には多くの時間と労力がかかります。「営業戦略プランナーAI」は、この営業プロセスのボトルネックをAIで解消する画期的なサービスと言えるでしょう。複数のAIエージェントが連携して高度な分析を行う仕組みは、まるで優秀なコンサルティングチームが営業をサポートしてくれるかのようです。
特に、受託開発型であるため、企業の具体的な営業フローや既存システムに合わせてカスタマイズできる点は、導入を検討する企業にとって大きなメリットです。GX特化型AIの事例のように、特定の業界やテーマに合わせた専門性の高いAIを構築できることは、今後のビジネス競争において強力な武器となるはずです。営業担当者は、リサーチや資料作成といった定型業務から解放され、より顧客との対話や関係構築といった人間にしかできない業務に集中できるようになるでしょう。AIを賢く活用することで、営業の生産性と質を飛躍的に向上させることが期待されます。
関連情報・お問い合わせ
本サービスに関する詳細情報や導入相談、デモの閲覧希望は、株式会社アップグレードのウェブサイト内のお問い合わせフォームより連絡できます。
- 株式会社アップグレード
- URL: https://upgradeinc.co.jp/
- 生成AIソリューション事業、リスキリング事業を提供しています。
Difyについて
株式会社アップグレードは、米LangGenius社が開発するAIアプリケーションプラットフォーム「Dify」の公式パートナー企業です。Difyは、ノーコード環境で高度なAIアプリケーションの構築と運用を実現し、最新の大規模言語モデル(LLM:Large Language Models、大量のテキストデータで学習したAIモデル)の能力を最大限に引き出すことができます。これにより、チャットボットやAIエージェントなどをプログラミング知識なしに迅速かつ容易に作成可能です。

株式会社アップグレードによる技術ブログ
AI開発の現場で培った実践的なノウハウをブログで発信しています。AI Workflow設計、AI Agent開発、RAGシステム構築(Retrieval-Augmented Generation、外部情報検索と生成AIを組み合わせる技術)、各種LLMの実践的活用手法など、エンジニアやAIの最新動向に興味がある方はぜひご覧ください。

