伯東とシャロニクスが協業、Ambarella社製SoCとAIモデルのファインチューニングで産業向けカスタムAIをワンストップ提供

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伯東とシャロニクス協業ロゴ

伯東株式会社(以下、伯東)と株式会社シャロニクス(以下、シャロニクス)は、両社の協業により、米国Ambarella社製SoC(System-on-a-Chip:システム・オン・チップ)を中心としたエッジAIハードウェアのAIモデルを、ユースケース別にファインチューニング(既存のAIモデルを特定のタスクに合わせて微調整すること)する「産業向けAIサービス」の共同提供を開始しました。この協業は、2025年12月3日に発表されています。

本サービスは、物流、製造、小売、インフラ、ヘルスケア、公共安全といった幅広い分野において、現場ごとに異なる判定基準や運用要件に合わせたAIモデルを継続的に改善できる体制を構築することを目指しています。

現場AI導入の背景と課題

生成AIやマルチモーダルAI(画像、音声、テキストなど複数の種類のデータを扱うAI)の実用化が進む一方で、実際に現場でAIを活用するには、いくつかの重要な課題が存在します。

  1. ハードウェアの選定と保守: カメラ、SoC、通信機器など、現場に適切なハードウェアを選定し、安定的に運用・保守する体制。
  2. モデルの最適化: 現場固有のデータを活用し、AIモデルを最適化するプロセス。
  3. MLOpsの仕組み: AIモデルの開発から運用、保守までを継続的に管理するMLOps(Machine Learning Operations:機械学習システムの運用)の仕組み。

AI Workstyle Lab編集部解説:
「生成AIやマルチモーダルAIが注目される現代において、AIを実際のビジネス現場で機能させるためには、ハードウェアとソフトウェア、そして運用体制の三位一体が不可欠です。特に現場固有のデータをいかにAIモデルに反映させるかが、その成否を分ける鍵となります。今回の協業は、まさにこの三位一体を実現する強力なソリューションと言えるでしょう。」

伯東は最先端のSoCと調達・設置・保守網を、シャロニクスは現場データに沿ったCLIP(Contrastive Language-Image Pre-Training)/VLM(Vision Language Model)/YOLO(You Only Look Once:リアルタイム物体検出アルゴリズム)などのAIモデルのファインチューニングと運用を担い、スピーディーに現場で機能するAIの実現を目指します。

サービスの中核となる技術

本サービスのエッジ実装には、Ambarella社製AIビジョンプロセッサCV72、N1-655(5nmプロセス、CVflow®第3世代)を搭載したAI BOXが中核として採用されています。CVflow®は、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)やDNN(Deep Neural Network:深層ニューラルネットワーク)に加えて、Transformer(自然言語処理などで使用される深層学習モデル)向けのアクセラレータを内蔵しており、高性能と低消費電力の両立を実現しています。

これにより、サーバーへの依存を避けつつオンデバイス(デバイス上で直接)で高度なAI推論を完結できるため、通信遅延の削減やプライバシー保護の強化に貢献します。推論面では、YOLOなどの従来型AIモデルに加え、CLIP、VLM、軽量LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)のエッジ動作に対応しており、ユースケースに応じてゼロショット(事前学習なしで新たなタスクを実行できる能力)特性を生かした検知から、ファインチューニングによる特化まで柔軟に選択可能です。これにより、少量データから短サイクルで現場データ起点のカスタムAIを立ち上げ、KPI(重要業績評価指標)に直結する改善を継続します。

主なユースケース例

この産業向けAIサービスは、多岐にわたる業界で具体的な課題解決に貢献することが期待されています。

物流・倉庫

  • 積み荷状態監視:荷崩れ、積載過多、はみ出し、固定不良の自動検知、パレット割れ・ラップ剥がれの早期発見、ドック滞留の可視化。

  • マルチラベル・バーコード補助:ラベル欠損時の代替判定、誤積み候補のアラート。

製造

  • 外観検査の言語化:作業標準書の文言(例:「エッジ欠け」「打痕」など)をCLIPのテキスト側へ表現し、ラインごとに異なる合否基準へ素早く追従。

  • 予防保全:摩耗・劣化の兆候を画像とメタ情報(付帯情報)でスコア化。

小売り・店舗

  • 棚版オペレーション:品出し漏れ、フェイス乱れ、売場ミスマッチの自動検出、期限間近品の棚替え提案。

  • バックヤード最適化:入出庫のヒューマンエラー抑制。

建設・プラント・インフラ

  • 安全管理:ヘルメット未着用、高所無胴綱、立入禁止域侵入などの検知、危険行動の早期警告。

  • 設備点検:腐食、液漏れ、サーマル異常(外部センサー併用)を統合監視。

ヘルスケア・見守り

  • 高齢者見守り:転倒兆候、徘徊リスクなど行動変容の検知(施設ローカル環境での推論)。

  • 機微配慮:顔の匿名化、特徴量のみ保存などのプライバシー設計も可能です。

公共安全・スマートシティ

  • 不法投棄・放置物、危険駐停車、路面異常の検出と通報フロー連携。

セキュリティとプライバシーへの配慮

本サービスでは、セキュリティとプライバシー保護を重視した設計がなされています。

  • エッジ推論を基本とし、個人情報を外部送信しない構成を採用しています。

  • 学習時には顔ぼかしやマスキング、特徴量のみの保存により、匿名化とデータ最小化を徹底しています。

  • モデル更新や検出・アラート履歴は追跡・改ざん検知可能な形で保全され、監査可能性が担保されます。

協業の意義と今後の展望

今回の協業は、両社が目指す「現場で価値を生むAI」の実装に向けた重要な一歩と位置づけられています。シャロニクスは、CLIPをはじめとするマルチモーダルAIのファインチューニングとMLOps基盤を強化し、少量データからの迅速な立ち上げと継続改善を推進します。一方、伯東は、Ambarella社製SoCを中心としたエッジデバイス群と調達・設置・保守の体制を拡充し、産業現場で求められる信頼性と拡張性を提供します。両社は「現場装置×AI」の普及を通じて、物流・製造・小売・インフラ・見守りなどにおけるKPI改善とDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速、さらには社会課題の解決と新たな価値創出に貢献してまいります。

両社からのコメント

伯東株式会社 取締役執行役員 石下裕吾氏

「シャロニクス社との協業により、ハードウェア、ソフトウェア、保守・運用までのワンストップソリューションを提供することが可能になりました。EdgeAI分野では『プライバシーの保護』、『通信負荷の低減による負荷分散』、『リアルタイム処理』の3つが重要な要素として求められています。Ambarella社の高性能生成AI BOXに、シャロニクス社のファインチューニングを組み合わせて提案することで、お客様の多様なニーズに応える高度なソリューションを提供してまいります。」

株式会社シャロニクス 代表取締役 清水雄介氏

「私たちシャロニクスは、産業・社会インフラ分野におけるAI開発において、現場が抱えるさまざまな制約の下で継続的な改善を実現していくことが重要だと考えています。本協業では、シャロニクスが培ってきたマルチモーダルAIおよびMLOpsの知見と、伯東社が強みを持つAmbarella社製SoCをはじめとするエッジAIハードウェアを組み合わせることで、現場データを起点とした伴走型ソリューションの提供を目指します。今後も伯東社とともに、AIを活用した産業現場の生産性向上と社会課題の解決に取り組んでまいります。」

伯東株式会社について

伯東は1953年の創業以来、技術商社として最新の情報や最先端の技術を提供し、また工業薬品を生みだすメーカーとして発展を遂げてきました。「人と技術で広く世界を結ぶ」をモットーに、先進のテクノロジーで産業社会の未来を切り拓くため、最適なソリューションを提供しています。エレクトロニクスとケミカル領域、商社とメーカーのハイブリッド企業としてのシナジーを発揮し、独自の価値を創出しています。

公式サイト:https://www.hakuto.co.jp

株式会社シャロニクスについて

株式会社シャロニクスは、LLM/VLMやAIエージェント開発を中核技術とし、データ収集設計からAIモデルの構築・運用まで一貫して手がけるR&Dスタートアップです。最新の研究成果や論文に基づき、業務効率化や現場DX、新サービス創出に向けたオーダーメイドのAIソリューションを提供し、企業の現場でのAI活用を支援しています。PoC(概念実証)の企画段階から本番運用・内製化支援まで伴走し、アカデミックな知見と実装力を融合させて、社会に価値あるAI導入を実現しています。

公式サイト:https://sharonix.com/

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記事の著者
AI Workstyle Lab 編集部

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