次世代ロボティクスを実現する共同プラットフォーム
展示ブースでは、アドバンテックのMIC-742-ATとNVIDIA® Jetson Thor™によって高速化されたヒューマノイドロボットのデモンストレーションが披露されています。このロボットには、OrbbecのGemini 330 シリーズ3Dカメラが統合されています。2,070 TFLOPS（テラフロップス、1秒間に1兆回の浮動小数点演算を実行できる能力を示す単位で、AIの計算性能を表す際によく用いられます）のAI性能を持つ組込み型のNVIDIA® Jetson T5000モジュールを搭載することで、ロボットは大規模なトランスフォーマーモデルや視覚・言語・行動モデルをリアルタイムで実行できるようになります。これにより、高度なAI推論とOrbbecの深度知覚技術が融合し、実世界での物理的知能が実現されるとのことです。
協業が拓くロボティクスの未来
iREX 2025のテーマである「ロボティクスによる持続可能な社会」のもと、今回の協業は、倉庫物流や協働製造、そして人間とロボットの相互作用といった複雑なアプリケーションを対象に、同期化されたマルチカメラ構成を実現します。
OrbbecのAPAC地域マネージングディレクターである鄭亞飛氏は、「アドバンテックとのパートナーシップにより、安定した品質と信頼性の高い供給を備えた量産対応型のソリューションを提供できるようになりました」と述べています。さらに、「Orbbecの実績あるOEM/ODM（受託生産/設計・生産）能力とグローバルな供給ネットワークにより、パートナー企業は試作段階から量産段階までを確実に事業拡張することができます」と加えました。
一方、アドバンテックのエッジサーバグループ担当副社長であるMagic Pao氏は、「アドバンテックは、強力なエッジコンピューティングとNVIDIA®のアクセラレーテッド・コンピューティングを通じて、フィジカルAIの時代を切り拓くことに尽力しています」とコメントしています。また、「Orbbecのようなビジョンパートナーとともに、知覚・推論・行動をシームレスにつなぐ次世代のロボティクスおよびインテリジェントシステムを実現して参ります」と語りました。
その他の注目展示
アドバンテックは、産業グレードのNVIDIA® IGX Thor™を搭載した「MIC-735」を日本で初めて公開展示しています。これはリアルタイムロボット制御と機能安全アプリケーションに対応した決定論的AI（deterministic AI）処理（AIの推論結果が常に同じ入力に対して同じ出力を返す、予測可能で信頼性の高い処理）を実現するものです。AMR（自律移動ロボット）開発キットおよびSKY-602E3 GPUサーバと併せ、アドバンテックは現実世界の知覚と仮想シミュレーション、そしてAI推論をシームレスに橋渡しするエンドツーエンドアーキテクチャを紹介しています。
これに加え、OrbbecはGemini 435Le ステレオカメラと主要な国際モデルのライブ比較や、高速障害物回避から高密度3Dマッピングまでスキャンモードをシームレスに切り替える新しいPulsar ME450 マルチパターンLiDAR（レーザー光を用いて距離や形状を測定するセンサー）など、最新の3Dビジョンを実演し、高度な認識機能とエッジコンピューティングが融合し次世代のロボット工学を強化していく様子を紹介しています。
AI Workstyle Lab編集部コメント
今回のOrbbecとアドバンテックの共同発表は、AIとロボティクス技術が現実世界でどのように進化し、私たちの働き方や社会に貢献していくかを示す重要な一歩です。特にNVIDIA® Jetson Thor™のような高性能プラットフォームが、ヒューマノイドロボットに高度なAI推論と深度知覚能力をもたらすことで、倉庫物流や製造現場での自動化、さらには人間との協働といった分野で、これまでにない効率性と安全性を実現する可能性を秘めています。AI Workstyle Lab編集部としては、このような物理的知能を持つロボットが、人間がより創造的で価値の高い業務に集中できる環境を構築し、生産性向上に大きく貢献することに期待を寄せています。専門的な知識がなくても、AIを搭載したツールやロボットを仕事で活用できる時代は、もう目の前に来ていると言えるでしょう。
国際ロボット展「iREX 2025」は、東京ビッグサイトのブースW3-49にて2025年12月3日から6日まで開催されます。OrbbecとアドバンテックがどのようにフィジカルAIを次世代ロボットへと実現しているか、ぜひ会場でご確認ください。
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