現場発のアイデアをAIで実現へ：Hexabaseが「AI駆動開発伴走セミナー」事例を公開、+81が開発内製化とPoC高速化を達成

新規事業が「動かない」共通の課題
Hexabase「現場で学ぶ、AI駆動開発伴走セミナー」の概要
+81株式会社での導入事例：開発の内製化とPoC高速化
AI駆動開発伴走セミナーの導入モデルケース
- Case 1：大手物流グループSIer
- Case 2：電力機器システム・国内トップシェアの電気機器メーカー
今後の展開：開発は「外注」から「内製」へ
株式会社Hexabase 会社概要

新規事業が「動かない」共通の課題

近年、AIの活用による業務効率化やDX（デジタルトランスフォーメーション：企業がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織を変革すること）、そして新規事業の創出が強く求められています。しかし、多くの企業では「開発コスト」「人材不足」「DXの進め方がわからない」といった課題に直面し、実際に事業を進められない状況があることが指摘されています。特に日本の中堅・中小企業では、PoCやシステム開発の初期段階においても既存のベンダーに依存せざるを得ず、内製化が進みにくい傾向にあります。これにより、開発コストやリソース不足を招き、イノベーションへの一歩を踏み出せないという共通の課題を抱えています。

AI Workstyle Lab編集部解説：
これらの課題は、多くの企業がDX推進や新規事業開発において直面する現実です。特に「費用の負担が大きい」「DXを推進する人材が足りない」という点は、取り組みの段階が進むにつれてより顕著になる傾向が見られます。外部ベンダーへの依存は、短期的なコスト削減につながる一方で、長期的に見ると自社のデジタルケイパビリティ（デジタル技術を活用する能力）の向上を妨げ、イノベーションの機会を逸失するリスクがあると考えられます。

Hexabase「現場で学ぶ、AI駆動開発伴走セミナー」の概要

Hexabaseが今夏より提供を開始した「現場で学ぶ、AI駆動開発伴走セミナー」は、IT人材不足と企業のAI活用における課題解決を目指すソリューションです。このセミナーの最大の特徴は、非エンジニア人材の育成に焦点を当て、実践的な研修プログラムを通じて「AIを使いこなす事業責任者＝AIディレクター（AIツールや技術を活用して、事業課題の解決や新しい価値創造を主導する役割）」を育成することにあります。

個社別のヒアリングに基づいてカリキュラムが構築されるため、座学で終わらず、自社の内製化につながるPoCのプロトタイプ（試作品）を実現できる点が強みです。

主な特色：

現場のビジネスサイドの人材や既存エンジニアを「AI即戦力人材」へ育成します。
プログラミング未経験者でも、AIを活用して1人でプロトタイプの作成が可能になります。
約2ヶ月の受講期間で、AIの基礎操作からプロトタイプ開発・事業検証までを実践形式で学べます。

+81株式会社での導入事例：開発の内製化とPoC高速化

新規事業の推進を核とする+81株式会社は、これまで新規事業を動かすためのPoCの初期段階フェーズで課題を抱えていました。事業責任者の根津氏は、社内の業務効率化ツールの開発を目的として、Hexabaseの「現場で学ぶ、AI駆動開発伴走セミナー」に参加しました。

短期間の受講で、以下の3つの課題がクリアになり、大きな成果へとつながっています。

高額な開発コストと体制不足
- 導入前： アイデアがあっても開発見積もりは数千万円単位に上り、必要なエンジニアリソースを確保できず、開発体制を組む段階で停滞していました。
- 導入後： AIを活用したプロトタイプ開発が高速化し、AIへの的確なプロンプト（指示）出しを習得したことで、その日のうちにプロトタイプが完成。要件定義から工数見積もりまで、事業責任者のカバー内で一気通貫の作業が可能になりました。
既存システムの刷新が困難
- 導入前： システムの仕様を理解する人材が社内におらず、ベンダー任せでコストも期間も提示される「言い値」になりがちでした。
- 導入後： 開発コスト・人員構成が抜本的に見直され、外部発注費用が従来の1/10以下に圧縮されました。10人の開発チームではなく、一人の「AIを使いこなすディレクター」がプロジェクトを動かせるようになりました。
DXの進め方がわからない
- 導入前： 何から手をつけるべきかの判断や、PoC（概念実証）の始動が停滞していました。
- 導入後： リスクを抑えた事業検証サイクルが確立され、事業検証のスピードが約6倍まで劇的に向上。月2回から週3回相当の実施計画が可能になり、リスクを最小限に抑えながら、本当に価値のある事業だけを育てられる環境が整いました。

+81 事業責任者根津氏のコメント：
「AIとの対話でシステムが目の前で組み上がることを体感できました。これまで数ヶ月、数百万円かかると覚悟していたものが、複数のアプリのプロトタイプを含めて自力で、すぐに形にできたのは衝撃的でした。」

AI Workstyle Lab編集部解説：
+81株式会社の事例は、AI駆動開発がもたらす内製化の強力なメリットを明確に示しています。特に、非エンジニアがAIを活用してプロトタイプ開発を高速化できる点は、新規事業のPoCにおける時間とコストの壁を打ち破る画期的なアプローチと言えるでしょう。これにより、事業アイデアの検証サイクルが劇的に短縮され、市場の変化に迅速に対応できる体制が構築されます。

AI駆動開発伴走セミナーの導入モデルケース

Hexabaseは、さらに2つのモデルケースを紹介しています。

Case 1：大手物流グループSIer

導入前の課題：

AIを活用した具体的な提案ができず、上流工程のビジネス機会を逸失していました。
AI開発スキルを持つ人材が不足し、顧客提示用の「動くデモ」を迅速に開発できませんでした。
結果として、PoCにかかるコストや工数が肥大化していました。

プログラム導入による成果・見込み：

AI中核人材の育成： AI駆動開発を習得し、顧客課題を直接解決できるコンサルティング型人材へ転換。
提案力の強化： 育成人材が「動くデモ」を短期間で開発できるようになり、具体的かつ説得力のある再現性を持った営業が可能に。
新規事業のさらなる推進： AIコンサルティング事業を本格化し、数億円規模の売上拡大という事業計画の実現を推進しています。

Case 2：電力機器システム・国内トップシェアの電気機器メーカー

導入前の課題：

約150万ステップのCOBOL基幹システムが、度重なる改修でブラックボックス化していました。
ドキュメントと実態が乖離し、ベテラン社員の定年を控えて「技術継承」が危機的状況にありました。
開発ナレッジが個人スキルに依存し、標準化が不十分なため品質担保にも課題がありました。
CI/CD（継続的インテグレーション/継続的デリバリー：ソフトウェア開発の効率を高めるための手法で、コードの統合、テスト、デプロイを自動化するプロセス）やコンテナ技術（アプリケーションとその実行環境をまとめてパッケージ化し、どの環境でも一貫して動作するようにする技術）など、モダンな開発手法への対応が遅れていました。

プログラム導入による成果・見込み：

脱・属人化と技術継承： AIを共通のナレッジベースとして仕様書やドキュメントを整備。ベテランの暗黙知を可視化し、誰でも開発に参加できる体制を構築。
開発プロセスの標準化： 「仕様書を基にAIがコードを書き、人間がレビューする」という統制の取れた開発フローを確立し、品質の安定化を目指しています。
生産性の飛躍的向上： コーディングやテストをAIに任せることで、3名という少数体制でも高速な開発を実現。開発者はより創造的な業務に集中することが可能になりました。

今後の展開：開発は「外注」から「内製」へ

Hexabaseが提供する「AI駆動開発伴走セミナー」は、人材不足の課題解決、コスト削減、そしてPoC実現サイクルの高速化を通じて、スピーディな経営判断に寄与するソリューションです。

同社は、これらのサービスを日本の中堅企業に留まらず、今後は地域企業、行政、大学などへの展開も視野に入れ、本ソリューションの基盤である新サービス「Hexabase.AI」のプロダクト強化に努めていくとしています。

Hexabase.AIとは：
AI開発に不可欠ながらも煩雑になりがちなインフラ構築・運用の負荷を最小限に抑え、開発者が本来注力すべきコア業務に専念できる環境を提供する、セキュアな総合AI開発基盤です。プロジェクトの迅速な立ち上げと継続的な事業推進を強力にサポートします。

株式会社Hexabase 代表取締役CEO 岩﨑英俊氏のコメント：
「AIの登場で、誰もがアイデアを形にできる『開発の民主化』が始まりました。しかし、多くの日本企業が『人材不足』『コスト』『ベンダー依存』を理由に、その恩恵を受けられず、『DXを推進したいが動けない』というジレンマを抱えています。これからのリーダーに求められるのは、AIを活用して事業を設計する力です。本ソリューションは、座学でAIを学ぶのではなく、非エンジニアの方こそがAIを武器に『AIディレクター』となり、現場のリアルな課題を解決するプロトタイプを自ら高速で生み出すための実践プログラムです。Hexabaseは、このAI駆動開発伴走セミナーを通じて日本企業の『開発内製化』を本気で支援し、イノベーションの『PoCの壁』を突破することで、日本全体の競争力強化に貢献してまいります。」

AI Workstyle Lab編集部解説：
岩﨑CEOのコメントは、AIがもたらす「開発の民主化」の可能性と、それを阻む課題への危機感を明確に示しています。AI駆動開発伴走セミナーは、まさにこのギャップを埋めるための実践的なアプローチと言えるでしょう。非エンジニアが「AIディレクター」としてプロトタイプ開発を主導できるようになることで、企業は外部依存から脱却し、自律的なイノベーションサイクルを確立することが期待されます。これは、AIを単なるツールとしてではなく、組織の競争力強化の核として位置づける新たな働き方を提唱していると言えます。