アイレットがAI統合ソリューション「gaipack」に新サービス「AI デザインシステム」を追加

アイレットがAI駆動開発を加速する新サービス「AI デザインシステム」を提供開始
AI駆動開発におけるデザインの課題を解決
「AI デザインシステム」の概要と主な特徴
- サービスプロセス
- 主な特徴
想定されるユーザーと期待効果
AI統合ソリューション群「gaipack」について
AI Workstyle Lab編集部の解説

アイレットがAI駆動開発を加速する新サービス「AI デザインシステム」を提供開始

2025年12月5日、アイレット株式会社は、企業のAI活用を支援する統合ソリューション群「gaipack（ジーエーアイパック）」に、新たなサービス「AI UI/UX 設計サービス（略称：AI デザインシステム）」を追加し、提供を開始しました。この新サービスは、AI駆動開発（AIDD）におけるデザインの課題を解決し、手戻りのないUI（ユーザーインターフェース）開発を実現することを目指します。

AI駆動開発におけるデザインの課題を解決

近年、GitHub Copilotなどの生成AIを活用したUIの自動生成は急速に普及しています。しかし、AIにコーディングを委ねることで、ページごとにボタンの色や余白が異なるなど、「デザインの不統一」という新たな課題が顕在化していました。

従来の「全画面のデザインカンプ（Figmaなど）を事前に作成する」手法では、その制作に膨大な時間を要し、AIによる開発スピード向上のメリットが相殺されてしまうという矛盾が生じていました。このような状況において、スピードと品質の両立は困難であると考えられてきました。

アイレットは、AIによるコード生成のスピードを享受しつつ、プロダクトとしての品質（デザインの統一性）を担保するためには、人間だけでなくAIが解釈・参照可能な「デザインシステム」を構築し、それを基盤とした新しい開発プロセスが必要であるとの考えから、本サービスの開発に至りました。

「AI デザインシステム」の概要と主な特徴

「AI デザインシステム」は、UI/UXデザイナーと開発者向けに、AIが参照可能なデザインシステム（Figma、Storybook、shadcn/ui連携）と、それを活用した開発プロセス（スキーム）を提供します。目標は、「デザインシステム（Figma）だけ整備すれば、個別画面のデザイン作成は不要」な状態を実現することです。

サービスプロセス

デザインシステム構築フロー: Figma上でAI（Figma MCP）が解釈可能な形でデザインシステム（コンポーネント、変数）を設計・構築し、Storybookや実装コードと連携設定を行います。
AIによるUI生成フロー: 開発者がユーザーストーリーと受け入れ基準をAIに入力することで、AIがデザインシステムを参照してUIコードを自動生成します。
レビュー・調整: AIが生成したUIをレビューし、修正が不要な場合はフロー完了とします。修正が必要と判断された場合のみ、デザイナーがFigmaで該当画面のデザインを（この時点で初めて）作成・調整します。

主な特徴

AI参照可能なデザインシステムとFigma MCPの活用: Figma、Storybook、shadcn/ui（ベースコンポーネント）を連携させ、主にFigma MCP（Model Component Platform）を通じてAIが参照可能なデザインシステムを構築します。Figmaはデザイン定義、コンポーネント、変数（デザイントークン）管理の基点となり、AI参照のメインソースとなります。技術検証の結果、デザイントークン（変数）は正常に取得可能であることが確認されており、AIがデザインの意図を正確に認識できます。
原則Figmaデザイン不要のUI自動生成プロセスへの転換: 従来の全画面のFigmaデザイン作成を原則廃止し、ユーザーストーリーと受け入れ基準をAI（GitHub Copilot）に入力することで、デザインシステムに準拠したUIコード（React/Next.js）を直接生成するプロセスを目指します。これにより、開発速度のメリットを最大化し、工数の大幅な削減を実現します。
デザインと実装の整合性を担保: FigmaとStorybookをプラグイン経由で「リンク参照」させることで、デザイン定義と実装されたUIコンポーネントカタログ（Storybook）の間で一貫性を持たせます。また、Chromatic（GitHub連携）を利用し、UIコンポーネントの変更に対するレビュー・承認フローを管理することで、意図しないデザイン崩れ（リグレッション）を防ぎます。

想定されるユーザーと期待効果

本サービスは、主にUI/UXデザイナーおよび開発者を対象としています。

開発者: AIが参照できる信頼性の高いデザインシステムを利用することで、意図したUIを効率的に生成可能です。開発工数（特にUIコード生成）の大幅な削減が期待できます。
UI/UXデザイナー: 意図したデザイン（統一感）が、AIによる自動生成時に反映されることが担保されます。役割がデザインシステムの構築・管理と、AIが生成したUIのレビュー・調整にシフトします。

このサービスにより、AIベースの開発プロセスへの転換と持続的な競争優位性の獲得が支援されます。

AI統合ソリューション群「gaipack」について

「AI デザインシステム」は、アイレットが2025年10月15日の創立22周年を機に提供開始したAI統合ソリューション群「gaipack」の一部です。「gaipack」は、AIとクラウドの実績を融合させ、お客様のDX推進と持続的な企業価値向上に貢献します。

「gaipack」の主要ソリューションには、以下のものがあります。

AI モダナイゼーション：従来のシステム開発における要件定義や設計書をAIが理解し、最新のシステムへ再構築することで、旧システムの保守維持費を大幅に削減します。
AI 内製化支援：独自のAI開発フレームワークやリスキリング研修を提供し、高コストな外注に頼らず、企業内にAI開発が自走する文化を定着させます。
AI 新規開発：AIを利用した開発工程により、従来の開発手法で発生しがちだった納期遅延や追加コストの発生を防ぎます。

「AI デザインシステム」のサービスページはこちらです。

AI デザインシステム

AI Workstyle Lab編集部の解説

アイレットが提供を開始した「AI デザインシステム」は、AIを仕事で活用する上で重要な「標準化」と「効率化」を両立させる画期的なアプローチと言えるでしょう。

AI駆動開発（AIDD）が普及する中で、AIによるコード生成は開発スピードを飛躍的に向上させますが、同時にデザインの一貫性を保つことが課題となっていました。本サービスでは、AIが参照可能なデザインシステムを構築することで、この課題を根本から解決しようとしています。これにより、デザイナーは個別画面のデザイン作成から、AIが利用できる「デザインのルールブック」の作成と、AIが生成した結果のレビューに注力できるようになります。

これは、AIとの協業における役割分担の最適化を示しており、開発者はより迅速に、デザイナーはより戦略的に業務を進められるようになります。AIを導入する際には、単に自動化するだけでなく、そのプロセス全体を見直し、AIが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう環境を整備することが不可欠です。本サービスは、まさにそのようなAIとの新しい働き方を実現するための実務的なソリューションとして注目されます。

アイレット株式会社の詳細は、以下のウェブサイトでご確認いただけます。