クアルコムQAIPIが示すエッジAIの最前線：ロボティクスからスマートシティまで変革を加速

エッジAIが切り拓く新たな可能性

デモデイでは、日本、シンガポール、韓国のスタートアップ企業が、Snapdragon® Xプロセッサー、Snapdragon® 8シリーズモバイルプラットフォーム、そしてQualcomm Dragonwing™製品を搭載したオンデバイスAIソリューションを披露しました。これらのソリューションは、リアルタイムかつ電力効率に優れたAI推論をクアルコムのプラットフォーム上で直接実行し、ロボティクス、ヘルスケア、スマートシティといった多様な分野に変革をもたらす可能性を示しています。

発表されたソリューションの応用範囲は広く、産業オペレーションにおけるロボット工学やコンピュータービジョンから、ヘルスケア分野の分析プラットフォーム、スマートシティソリューションまで多岐にわたります。デバイス内AIのイノベーションは、パーソナライズされプライバシーを保護する体験を提供し、クアルコムの強力なプラットフォームと統合されたエッジAIが、現実世界にどのような影響を与えているかを示しました。

プログラムが支援するスタートアップの成長

QAIPIプログラムは、参加スタートアップ企業に対し、6ヶ月間のメンターシップフェーズを提供しています。この期間中、クアルコムのエンジニアによる技術サポート、ハードウェア開発キットへのアクセス、導入準備を支援するビジネスワークショップが提供されます。さらに、知的財産（IP）に関するトレーニングと、最大5,000米ドルの特許出願インセンティブも含まれており、長期的な競争力強化とエコシステムの成長を促進しています。

最終選考に残った15チームは以下の通りです。

日本: AMATAMA、Cear、Guide Robotics、ModAstera、Noahlogy
シンガポール: AI Seer、Biorithm、LINGOAI、MetaOptics、Vilota
韓国: BanyaAI、MaumAI、MOTOV、SAKAK、SqueezeBits

これらの企業は、様々な業界におけるエッジAIの変革の可能性を強調しています。

クアルコムはまた、シンガポールのスタートアップ4社（Biorithm、LingoAI、MetaOptics、Vilota）を率いて、2025年10月29日から31日までシンガポールのイノベーション＆テクノロジーウィーク（SWITCH）に参加しました。これらの企業は、ヘルスケアモニタリング、リアルタイム翻訳、高度な望遠鏡光学系、ロボット認識などの分野を網羅する最先端のAIイノベーションを展示しました。

クアルコムのビジョンと今後の展開

クアルコム APAC プレシデントのO.H. Kwon氏は、「AIは世界中の産業を変革し続けており、アジア太平洋地域のイノベーターたちがこの進化をリードできるよう支援できることを大変嬉しく思います。私たちはイノベーターたちがプロトタイプ開発から実運用へと移行できるよう支援し、この地域の次世代AIエコシステムを積極的に構築することに尽力しています」と述べています。

また、クアルコム・インコーポレーテッドのエンジニアリング副社長であるSudeepto Roy氏は、「日本、シンガポール、韓国の発明家たちの深い専門知識を基盤に、高性能でエネルギー効率の高いエッジコンピューティングを構築しています。これは、多様な地域のワークフローにエンボディドAIを展開するための重要な触媒となります」と語りました。

クアルコムは、オープンソースのハードウェアおよびソフトウェアのリーディングカンパニーであるArduinoを買収し、開発者リソースとイノベーションエコシステムをさらに拡大しています。Arduino初のデュアルブレインボードである新型Arduino UNO Qは、Qualcomm Dragonwing プロセッサの力を数百万人の開発者に提供するものです。

2026年には「Qualcomm AI Program for Innovators (QAIPI) 2026 – APAC」が開催される予定で、引き続き地域全体のスタートアップを支援し、Arduinoなどのラピッドプロトタイピングプラットフォームや、デバイスレベルのAIおよび機械学習統合の拡張サポートを通じてイノベーションを推進していくとのことです。QAIPI 2026の詳細は近日中に発表されます。プログラムのウェブサイトで最新情報を確認することができます。

Qualcomm AI Program for Innovators – APAC

AI Workstyle Lab編集部コメント

今回のQAIPI 2025 – APAC Demo Dayは、エッジAIが単なる技術トレンドではなく、具体的なビジネス価値を生み出す段階に入ったことを明確に示しています。クアルコムの強力なハードウェアプラットフォームと、スタートアップの革新的なアイデアが融合することで、ロボティクス、ヘルスケア、スマートシティといった多岐にわたる分野で新たなサービスや製品が誕生するでしょう。特に、オンデバイスでのリアルタイムAI処理は、データプライバシーの保護や低遅延なサービス提供を可能にし、各産業の効率化や新たな収益源の創出に大きく貢献すると考えられます。企業や個人事業主は、エッジAIの導入による業務改善や顧客体験の向上を積極的に検討する良い機会となるでしょう。

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