調査結果サマリー
本調査結果の主なポイントは以下の通りです。
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採用への影響: 日本企業の70%が今後3年以内に新卒・若手採用を抑制すると回答しており、これは世界平均を上回ります。また、日本企業の99%がAI導入を開始しており、採用プロセスでのAI活用は64%と世界平均(52%)よりも高い水準です。
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職務の変化: 日本の組織の48%が従業員の働き方を変更し、24%がAI主導の変化の結果として、職務の大幅な再構築を実施しています。
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人材育成の課題: 日本企業の73%が「将来のリーダーの採用・育成が困難になっている」と懸念し、72%が「OJT機会の減少」を回答しています。
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リスキリング(スキル再教育): 日本では68%の企業がAI研修を実施していますが、最大の課題として53%が「従業員のエンゲージメントが限定的」と回答しています。
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求められるスキルの変化: 日本企業は新卒・若手採用で「技術認定(65%)」「問題解決力・批判的思考力(56%)」「コミュニケーション力・協働力(54%)」を重視しています。大学の学位を必須要件とする企業は日本でわずか1%です。
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AI人材の競争: 日本では44%がトップAI人材に25%以上高い給与を提示しています。さらに、人材の獲得・維持のため48%が「最先端ツールへのアクセス」、41%が「明確なキャリアパス」を提供しています。
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AIガバナンス: 日本では、国内のAI規制に「非常に熟知している」企業はわずか21%ですが、従業員のAIツール使用を指導する正式なポリシー導入率は30%と他市場よりも高い水準です。
AI導入の拡大と人材育成への影響
調査対象市場のほぼ全ての組織(99%)がAIを導入しており、その約7割が本格的な導入を進めています。この傾向は日本も同様で、ほぼ全ての企業がAI導入に着手し、68%が「上級段階」に進んでいることが示されています。
世界全体では3社に2社(66%)が今後3年以内に新卒・若手層の採用を減速する見通しを示しており、特に日本では70%の企業が同様の方針を示し、世界平均を上回っています。

AIによる新卒・若手層の採用が減速する一方、日本では人材開発とリーダー育成のパイプラインにおいて強い課題に直面しています。具体的には、72%の企業が「将来のリーダーの採用・育成が難しくなっている」と回答し、同様に72%が「若手社員の実地学習機会が減っている」と答えています。
先進企業は、生産性と人材育成のバランスを維持するため、職務の再設計、チームのリスキリング、継続的な学習文化の構築を進めている状況です。
AIによる業務変化と役割の再定義
AIの浸透により、職場の役割は世界的に再構築が進んでいます。調査では、世界企業の91%が役割の変更や職務の廃止を経験し、3分の1以上(34%)がAIの本格統合に合わせた大規模な組織再編を実施しています。
日本では、48%の企業が従業員の働き方を変革しており、従業員には分析的思考、デジタルコラボレーション、AIを活用した意思決定が求められています。職務再編はある程度進んでいるものの、部門横断や全社レベルでの再編は24%にとどまり、世界全体の数値(34%)を下回っています。

定型的な業務はAIに置き換わりつつあり、人の役割は戦略的な意思決定、AI運用の管理、クリエイティブな課題解決へと転換しています。今後は、業務設計と人材育成を統合した仕組みづくりが重要になると考えられます。
AI研修への投資は進むも、責任体制と運用面に課題
AIの影響に対応するため、世界では約3社に2社(67%)が、従業員のスキル向上や将来への備えとしてAI関連の研修・教育プログラムに投資しています。日本も68%と同水準で、AI研修への投資はすでに定着しつつあります。
一方で、世界的に共通する運用上の課題も明らかになりました。
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研修への従業員参加が限定的(57%)
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予算制約(51%)
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指導人材(専門トレーナー)の不足(45%)
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社内でAIリスキリングの責任部署が不明確(29%)
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横断チームを設置している企業はわずか3%
日本でも同様の傾向が見られ、従業員のエンゲージメントが限定的(53%)であること、予算制約(51%)がリスキリング推進の障壁トップ2として挙げられています。AIリスキリングの責任体制は多くの企業にとって依然不明確であり、日本企業で横断的なチームを設置して取り組みを調整しているのはわずか4%で、24%は「誰が担当しているか分からない」と回答しています。

エントリーレベル採用では“学歴よりスキル重視”が世界的潮流に
新卒・若手層の採用において、形式的な学歴よりも実務経験や実践的スキルを重視する傾向が世界的に進んでいます。調査では、大学学位を必須要件とする企業は世界全体で約5%、日本ではわずか1%にとどまりました。
また調査では、新卒・若手人材に求められるスキルとして、世界的に共通して次の3項目が上位に挙げられました。
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AIツールやコーディングブートキャンプなどの技術認定・資格(66%)
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問題解決力・批判的思考力(59%)
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コミュニケーション力・チームでの協働力(51%)
これは日本でも同様で、企業は「技術認定(65%)」「問題解決力・批判的思考力(56%)」「コミュニケーション力・協働力(54%)」を持つ人材を採用する傾向が明らかになりました。

新卒・若手層には、入社してAIやテクノロジーツールを使いこなしつつ、批判的思考やコミュニケーション能力を発揮することが期待されています。学歴重視から実務能力重視への劇的な転換であり、雇用主が技術的な習熟度とともに、機敏性、継続的学習、人間の創造性を重視することを示しています。
AI人材の確保と待遇面での課題
AI導入推進が加速する一方で、グローバル企業はAI導入において依然として課題に直面しています。調査によると、世界の企業の半数近く(48%)がレガシーシステムがAI統合を遅らせていると回答し、43%がAI熟練人材の不足を主要な障壁として挙げています。
競争力を維持するため、全雇用主の半数(50%)がAI専門人材に対し、同等の技術職より25〜100%高い給与を支払う意向を示しています。
日本でも状況は類似しており、43%の企業がAI人材の確保を課題として挙げています。一方で、25%以上の給与上乗せを提示している企業は44%にとどまり、過半数は25%未満の上乗せとなっており、給与面での競争力は限定的になる可能性があります。
さらに、世界的には給与以外の要素を重視する傾向が強まっており、企業の49%が「最先端ツールへのアクセス」、43%が「明確なキャリアパス」をAI人材の獲得・維持において重要な要素として挙げています。この傾向は日本でも同様に強まっており、48%が「最先端ツールへのアクセス」を、41%が「明確なキャリアパス」を用意すると回答しました。日本企業にとっては「強力な企業ミッションとバリュー(価値観)」(37%)も、トップAI人材の獲得・維持に効果的な方法のトップ3に入っています。こうした労働環境の整備は、AI人材のスキル維持やモチベーション向上に加え、競争が激化する人材獲得市場における企業の魅力向上にもつながっています。
AIガバナンス整備の遅れと内部ルールの実態
AIの導入が進む一方で、ガバナンス体制の整備は世界的に遅れが見られます。調査では、自国のAI関連規制に「非常に熟知している」と回答した企業はわずか16%で、規制が「明確でビジネスを支援するものだ」と感じている企業は24%未満でした。
日本では、自国のAI規制に「非常に熟知している」企業はわずか22%であり、AIガバナンスの理解が日本国内でも課題となっています。その一方、従業員のAIツール使用を指導する社内ポリシーの導入においては、日本が先行しています。日本の企業の約3分の1(30%)が公式かつ強制力のあるポリシーを導入しており、これは世界で最も高く、英国(27%)、米国(21%)、中国(19%)、シンガポール(18%)などの市場を上回っています。日本企業がAI活用に伴う内部統制やリスク管理に早期から取り組んでいることが明らかになりました。

DeelおよびIDCからのコメント
Deelのグローバルポリシー責任者であるニック・カティーノ氏は「AIはもはや出現しつつあるものではなく、完全に行き渡っています。それは私たちの働き方やビジネスのあり方を再形成しています。新卒・若手レベルの職務は変化し、企業が求めるスキルも同様に変化しています。労働者と企業の双方が迅速に適応する必要があります。これは競争力を維持するという問題ではなく、もはや存続に関わる問題なのです。」と述べています。
IDCアジア太平洋地域AI担当バイスプレジデントのクリス・マーシャル博士は「人工知能は、近年のどの技術シフトをも上回る、前例のないペースで世界の労働力を再形成しています。成功する組織とは、自動化と人間中心のビジョンを結びつけ、スキルアップへの投資、新卒・若手レベルの機会の再定義、そしてガバナンスと倫理がイノベーションと歩調を合わせて進化することを保証する組織です。」とコメントしています。
Deel Japanの社長執行役員カントリーマネージャーである西浦 亮氏は「AIは、日本の『働き方』『採用』、そして『グローバルな競争力』を再定義しています。あらゆる業界で、主要企業は従来の『学歴・資格主義』から、『スキルベースの採用』や『継続的な学習文化』へと移行しています。この変革は、生産性、創造性、そしてグローバルな競争力を加速させています。国境を超えて才能(タレント)と機会をつなぐプラットフォームとして、Deelは、日本企業が人とテクノロジーが共に成長し、より強くなれる『仕事の未来』を築くことを支援することに尽力しています。」と述べています。
調査方法について
本調査は、DeelがIDCに委託して実施され、世界22市場から合計5,500名のビジネスリーダーが参加しました。対象者は各規模の組織から抽出され、ビジネス戦略とデジタル戦略の両方を策定する意思決定者が含まれています。データ収集は2025年9月に実施されました。
Deelについて
Deelは、グローバルチームのために設計された、オールインワン型の人事・給与管理プラットフォームです。HRIS(人事情報システム)、給与計算、コンプライアンス、福利厚生、パフォーマンス管理、IT備品管理など、人事・労務に関わるあらゆる機能をシームレスに統合しています。AIを活用した各種ツールと自社が保有するグローバル給与インフラを通じて、150カ国以上のあらゆる雇用形態に対応し、企業がよりスマートかつ迅速、そしてコンプライアンスに準拠した形でビジネスを拡大できるよう支援しています。
詳細については、Deelのウェブサイトをご覧ください。
AI Workstyle Lab編集部コメント
今回のDeelによるグローバル調査は、日本企業がAI時代においてビジネスを成長させる上で非常に重要な示唆を与えています。新卒採用の減速や職務の再定義は、従来の採用・育成モデルからの脱却を迫るものです。今後は、学歴よりも実践的なスキルを重視した採用と、従業員の継続的なリスキリングへの投資が不可欠となるでしょう。特に、AI人材の確保には給与だけでなく、最先端技術へのアクセスや明確なキャリアパスの提示がカギとなります。AIガバナンスの整備も急務であり、これらの課題に積極的に取り組むことが、企業の競争力強化に直結すると考えられます。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

