産学官民の知が集結!摂南大学「関西ネットワークシステム定例会」が示す地域連携の新たな可能性

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摂南大学開学50周年記念事業「第84回関西ネットワークシステム定例会」開催

摂南大学は2025年11月29日、枚方キャンパスにて「第84回関西ネットワークシステム定例会」を関西ネットワークシステム(KNS)との共催で開催しました。本定例会は摂南大学開学50周年記念事業の一環として、「産学官民連携はコミュニケーションから始まる!!」をテーマに実施され、産業界、地方自治体、教育業界などから過去最多となる525人が参加しました。

当日は、教職員による話題提供に加え、産学官民の異分野メンバー203組による大規模なプレゼンテーションが行われ、摂南大学からも全9学部の教職員や学生計81人がプレゼンターとして登壇しました。

関西ネットワークシステム(KNS)とは

関西ネットワークシステム(KNS)は、関西を中心に活動する産学官民メンバーによる異分野コミュニティーです。2003年に発足して以来、「産学官民連携はコミュニケーションからはじまる」をテーマに、今回で通算1200回を数える活動を続けています。産学官民の有機的ネットワークを形成し、関西の科学技術と産業の振興、地域経済の活性化に寄与することを目指しており、メンバーの自主的かつ積極的なボランティア精神によって支えられています。定例会、ワークショップ、情報交流を通じて信頼関係を築き、ビジネスや共同研究などのさまざまなシーンでの協働を生み出しています。

KNSに関する詳細はこちらをご覧ください。
KNS公式サイト

出会いや交流会からコミュニティを形成し、コラボレーションへと発展するプロセスを示した図。良好な人間関係を築くことで、研究、プロジェクト、ビジネスにおける創造性、モチベーション向上、コミュニケーションが促進される様子が描かれている。

開催内容:話題提供と203組のプレゼンテーション

話題提供

定例会では、摂南大学の教員による2つの話題提供がありました。

農学部 農業生産学科 飯田 祐一郎 准教授「あなたの知らないカビの世界」

スーツ姿の男性がマイクとリモコンを持ってプレゼンテーションを行っています。背後のスクリーンには、イラストと日本語のテキストが表示されており、何らかの研究や技術に関する発表のようです。

飯田准教授は、世界の食料の10~15%が植物の病気によって失われ、その80%が「カビ」による病気である現状を解説しました。解決策として、化学農薬に代わる持続可能な防除法である病原菌を食べる「菌寄生菌」や、植物の免疫を活性化させる微生物の研究を紹介。さらに、カビが赤色の光に反応して活動リズムを変える特性を利用した強力な寄生菌を作る研究や、音(振動)への反応を探る最新の研究アプローチにも触れ、良いカビの力を引き出し、商品化や食料問題解決に貢献したいとの展望を語りました。

理工学部 機械工学科 堀江 昌朗 教授「見えない流れを可視化する」

スーツを着た男性が、木製の演台に立ち、マイクを手に聴衆に向かって話している様子。背景にはプロジェクタースクリーンと黒板が見え、大学の講義室やセミナー会場のような場所で講演を行っている場面です。

堀江教授は、空気や水などの「見えない流れ」を可視化する最新技術について解説しました。従来のレーザー光の反射による課題を、紫外光(不可視光)と特殊な蛍光粒子を用いることで解決し、流体の混合過程などを鮮明に映像化する技術を紹介。また、産業界や美容分野で注目される「ナノバブル」について、その微細さゆえに存在が確認しにくいという課題に対し、レーザーの散乱光パターンを解析することで、その場で手軽に計測できる簡易手法を開発したことを報告しました。これらの技術の社会実装に向けた取り組みについても言及しています。

203組のプレゼンテーション

摂南大学開学50周年を記念した今回は、過去最多となる200組を超える産学官民メンバーがプレゼンテーションを実施しました。本学からは教職員や学生ら81人がプレゼンターとして登壇し、多様なテーマが発表されました。

現代社会学部 中村光揮「大学生の話聞きに来てください!」

マスクと眼鏡をかけた男性が、マイクを持って発表している様子です。白い壁とスクリーンを背景に、セミナーか講演会のような場所でプレゼンテーションを行っています。

中村光揮さんは、母校である大阪府立懐風館高等学校の生徒募集停止という現状に触れ、後輩たちのために「高校生が社会貢献できる場」を残したいという切実な思いを語りました。生徒会長時代に全国の高校生がゴミ拾いを競い合う「スポGOMI甲子園」に参加するなど、外部と連携した活動の経験を紹介。一方で、現在の地域社会には高校生が個人で気軽に参加できるボランティアが不足している課題を指摘し、若者が社会とつながる新たな仕組みづくりへの協力を呼びかけました。

薬学部 中村武浩 講師「茶粕廃棄物の新たな可能性-水質浄化や悪臭浄化への活用-」

眼鏡と髭を蓄えた男性が白いシャツを着用し、IDカードを首から下げて話している様子です。屋内での会議やプレゼンテーションの場面と見られ、笑顔で何かを説明しているようです。

中村講師は、世界人口の約3分の1が安全な水を利用できない現状に対し、高度な設備や専門知識、多額の費用を必要としない「トリプルゼロテクノロジー」を紹介しました。「茶粕(ちゃかす)」の再利用に着目し、茶粕を汚染水に混ぜて振るだけで、有害な金属や工業用染料などが茶粕の表面に吸着され浄化されるメカニズムを解説。この吸着メカニズムを応用し、悪臭物質の除去にも効果があることを発見し、実用化に向けた研究を進めています。廃棄物という「ゼロコスト」の資源を活用し、途上国の水質改善や生活環境の向上に貢献できる可能性を語りました。

学生部 スポーツ振興センター 横山喬之 准教授「AI技術を活用した柔道形(かた)競技の練習環境を改善する取り組み」

青いジャケットを着た男性が、マイクを持って壇上でプレゼンテーションまたは講演を行っています。会議室やセミナー会場のような場所で、熱心に話している様子がうかがえます。

横山准教授は、柔道の世界形選手権で7回の優勝経験を持つ実力者です。今回のプレゼンでは、柔道の「形」競技における指導者不足の深刻さを訴えました。「形」は決まった動作の正確さを競う競技ですが、指導者がいない環境では、選手が動画を見て真似しながら練習し、自身で正確さを評価せざるを得ない現状があります。この課題を解決するため、骨格推定AI技術「Open Pose」を活用した動作評価システムを開発。トップ選手の理想的な動作データを基準とし、自分の動きをスマートフォンで撮影するだけで、ズレや改善点が即座に点数化される「カラオケの採点」のような仕組みを目指しています。科学的なフィードバックを誰でも受けられるようにすることで、練習の質を飛躍的に高め、将来的にはすべての武道の形に対応できる技術にしたいと紹介しました。

全学部からの多様な研究発表

スーツを着た男性がマイクを片手に、白いスクリーンを背景に講演を行っている様子。真剣な表情で聴衆に語りかけている。

今回の定例会では、摂南大学の全9学部から教職員・学生が参加し、それぞれの専門分野を活かした多彩な研究発表を行いました。理工学系から人文社会系まで、幅広い学問領域にわたる取り組みが紹介されています。

  • 理工学部 宮本征一 教授「居住空間の心地よさと温熱環境」
    マスクを着用した女性が講演台の前に立ち、右手を伸ばして何かを指差している。会議室のような場所でプレゼンテーションを行っている場面と見られる。

  • 現代社会学部 中澤芽衣 助教「家庭から考える環境問題-地球研コンポストの実践」
    女性がフランケンシュタインの物語構造についてプレゼンテーションをしています。スクリーンには「語りの入れ子構造」としてウォルトン船長の手紙、フランケンシュタイン、クリーチャーの物語が階層的に示され、聴衆が耳を傾けています。

  • 薬学部 伊藤優 准教授「GREEN×EXPO 2027 YOKOHAMA JAPAN」
    マイクを手に白いポディウムの前に立つ男性が、聴衆に向かって話している様子です。スーツを着用しており、講演会やセミナーでのプレゼンテーションの場面と考えられます。

  • 経済学部 植杉大 教授「都市の新陳代謝に関する研究」
    会議室で男性がプロジェクターを使ってプレゼンテーションを行っています。スライドには「既存の支援サービス」と題され、インフラ整備計画や技術開発・運用支援に関する内容、SDGsのような目標を示すアイコンが表示されています。

  • 看護学部 櫻井知賀 講師「訪問看護ステーションにおける事業承継の現状と課題」
    教室で、一人の女性がプロジェクターに映し出された図(人型のアイコンと建物)を指しながらプレゼンテーションを行っています。

その他、国際学部 池田景子 准教授による「メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』紹介」、経営学部 梅原喜政 講師による「センシングデータによる罹災判定支援への取り組み」、法学部 仲宗根京子 教授による「商法研究者になんかなりたくなかった?!!」、農学部 佐野修司 教授による「農学部×工学部のコラボによる熱画像解析の農業環境分野への展開」といった多岐にわたる研究発表が行われました。

摂南大学に関する情報はこちらからご確認ください。
摂南大学公式サイト

AI Workstyle Lab編集部コメント

「第84回関西ネットワークシステム定例会」は、産学官民の垣根を越えたコミュニケーションが新たなビジネスチャンスや共同研究を生み出す可能性を示しています。特に、柔道の形競技にAI技術を応用する取り組みや、廃棄物である茶粕を水質浄化に活用する研究などは、具体的な社会課題解決への貢献が期待されます。このような異分野交流は、技術革新を加速させ、企業の生産性向上や新たな市場開拓に繋がる重要な機会となるでしょう。

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記事の著者
AI Workstyle Lab 編集部

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