調査概要
本調査は、2025年11月25日から12月6日にかけて、Googleフォームによるオンラインで実施されました。有効回答数は184名で、就労継続支援B型(29.3%)、就労移行支援(15.2%)、児童発達支援・放課後等デイサービス(14.7%)などに勤務する福祉従事者が主な回答者です。なお、この調査は任意回答であるため、AI活用に関心のある層が多く含まれている可能性があります。
調査の背景と目的
介護・障害福祉分野では、生成AIやChatGPTへの関心が高まる一方で、「個人情報をAIに入力しても大丈夫か」「学ぶ時間がない」といった不安の声も聞かれます。株式会社パパゲーノは、就労継続支援B型事業所の運営や、支援現場向けDXアプリ「AI支援さん」の開発を通じて、この分野でのAI活用に取り組んできました。同社は、厚生労働省の「省力化投資促進プラン」で好事例に選出されるなど、業界への情報発信も行っています。
今回の調査は、現場でのAI利用実態を把握し、「シャドーAI」(会社に無断でAIを使用し、個人情報漏洩などのリスクを生む行為)を防ぐための指針づくりに貢献することを目的としています。
介護・障害福祉現場における生成AI活用に関する調査結果
AI使用頻度と利用開始時期
回答者の半数以上(55.4%)が週3回以上AIを使用しており、週1回以上使用する人を含めると71.2%に達します。また、生成AIを使ったことがある回答者の40.7%が2025年から使い始めており、急速な利用拡大が伺えます。

個人情報漏洩リスクが高い利用環境
生成AI利用者のうち、44.4%が個人で無料版サービスを利用しています。さらに、個人で有料版に課金している人も26.5%おり、合わせて7割以上が個人利用であることが判明しました。これは、個人情報漏洩のリスクが極めて高い状態を示唆しています。

法人形態別に見ると、社会福祉法人では68%が個人で無料版サービスを利用していると回答しており、最も顕著に無断利用が見られます。

生成AIの主な利用目的
利用目的としては、プライベートな利用(趣味、雑談など)が11.2%、会議録・議事録の作成が8.5%、マニュアル・手順書の作成が7.9%などと報告されています。また、利用者に関する記録や計画書の作成に生成AIを使用したことがある人は48.2%に上り、要配慮個人情報を含む情報がAIに入力されているケースも少なくないことが推測されます。
職場のルールと「シャドーAI」の存在
職場で明確なAI活用のガイドライン・ルールがあるのはわずか19.8%に過ぎません。「ない」(69.1%)と「分からない」(11.1%)を合わせると、80.2%の職場でルールが未整備の状態です。

さらに、記録等への生成AI利用について上司に報告・相談している人は41.4%にとどまり、事業所が把握していない「シャドーAI」の存在が浮き彫りになっています。生成AIに関する職場のルールづくりが急務であると言えるでしょう。

従業員満足度への影響:AI活用ルール整備が年収アップの約2.2倍効果的
従業員満足度(eNPS)に関する重回帰分析の結果、AI活用ルールの整備が従業員満足度向上に与える影響は、年収アップの約2.2倍であることが判明しました。この結果は、「給料が低いから従業員満足度が低い」という従来の認識に新たな視点を提供するものです。AI活用ルール整備は、組織の方針の明確さや新技術への前向きな姿勢を示すことで、従業員満足度に大きく寄与すると考えられます。

研修ニーズと専門職としての懸念
回答者の92.9%が「AIの使い方を学ぶ機会が必要」と回答し、AI関連研修への参加意向も88.3%と非常に高いことが示されました。学びたい内容としては、生成AIの適切な使い方や福祉・介護現場での活用事例、個人情報保護とAIなどが挙げられています。

一方で、46.2%の回答者が、生成AIに頼りすぎると専門職としての思考力や判断力が低下すると実感していることも明らかになりました。

分析結果ダッシュボード・ローデータ
本調査のデータを可視化したTableau Publicのダッシュボードが公開されており、視覚的に調査データを確認できます。また、調査結果のローデータ・分析結果データは全てパパゲーノAI福祉研究所にて公開されており、介護福祉業界のAI活用の発展に寄与する目的であれば、出典を明記することで自由に再解析が可能です。
調査結果からの提言
今回の調査結果を踏まえ、福祉現場の経営者・管理職に対して以下の3点が提言されています。
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事業所でのAI活用ルールを明確にする
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「AI導入で大きな変更が必要」と感じさせない
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支援現場での「AIの正しい使い方」の研修に投資する
従業員が安心してAIを活用できる環境を整え、情報セキュリティリスクを低減するためにも、ルールの明確化は喫緊の課題です。特に社会福祉法人・医療法人では、AIルール整備がないことが従業員満足度の低下に繋がる可能性も示唆されています。AIは業務を根本から変えるものではなく、日々の業務を効率化するツールとして位置づけ、段階的な導入と適切な研修が求められます。
株式会社パパゲーノについて
株式会社パパゲーノは、「生きててよかった」と誰もが実感できる社会を目指し、「リカバリーの社会実装」を事業を通して行う企業です。精神・発達障害のある方を対象とした就労継続支援B型事業所「パパゲーノ Work & Recovery」の運営や、支援現場のDXアプリ「AI支援さん」の開発・提供を行っています。

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会社名: 株式会社パパゲーノ
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所在地: 東京都杉並区上高井戸1-13-1 ルート上高井戸ビル 2階A号室
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代表者: 代表取締役CEO 田中 康雅
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事業内容: 就労継続支援B型事業所「パパゲーノ Work & Recovery」の運営、AI支援さんの開発、企業のDX支援
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公式ホームページ: https://papageno.co.jp/
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公式YouTube: https://www.youtube.com/@papageno_jp
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パパゲーノAI福祉研究所: https://ai-fukushi.net/
AI Workstyle Lab編集部コメント
今回の調査結果は、介護・障害福祉現場におけるAI活用の現状と課題を浮き彫りにしています。特に注目すべきは、AI活用ルール整備が従業員満足度向上に年収アップの約2.2倍も効果的であるという点です。これは、単なる賃金だけでなく、明確な方針と新しい技術への適応支援が、組織のエンゲージメントを高める重要な要素であることを示唆しています。AIは業務効率化だけでなく、働きがいを向上させるための戦略的なツールとして、あらゆる業界の経営者が考慮すべき視点と言えるでしょう。適切なルールと研修投資は、リスク管理と従業員満足度向上を両立させるカギとなります。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

