AskDona Batch Assessmentとは？GFLOPSとJSOLが共同提供するシステムリスク評価AIの全貌と業務効率化の秘訣

システムリスクアセスメント業務の現状と課題

システムリスクアセスメントとは、情報システムに潜むリスクを調査し、その影響度を評価する重要な業務です。特に金融機関では、金融庁のガイドラインに基づき、リスクの特定と評価が義務付けられています。

NTTデータおよびSMBCグループの一員であるJSOLでは、年間約400項目にわたるシステムリスクアセスメントを年1回実施しており、これに年間約4,300時間もの工数を要していました。この業務には、以下のような具体的な課題がありました。

• 担当者によってアセスメント項目の解釈や評価に差異が生じること。

• 膨大なアセスメント項目や基準の読み込み、関連記述の探索、根拠資料の付与といった確認作業に多大な時間が必要なこと。

本検証では、JSOLの社内文書から適切な情報を検索する手段としてGFLOPSのRAG技術を応用し、AIエージェントがアセスメント項目に対する根拠を調査・評価することで、人手に依存していた一次評価の効率化を目指しました。AskDonaが提供するRAG（AskDona RAG）は、情報網羅性の高い回答生成をするAgentic RAGの技術を応用しており、データに手を加えなくても高い回答精度とチューニング不要という特性が本検証の中核技術として活用されました。

検証内容と成果

本検証は「技術検証期間」と「業務適用期間」に分けて、2025年4月から10月にかけて実施されました。

「技術検証期間」では、100を超える対象システムに関する設計・運用ドキュメントをAskDona RAGのデータベースに登録し、約400のアセスメント項目に対してAIエージェントが証跡に基づいた評価を実施できるか、その判定精度が検証されました。その結果、JSOLが前年度に実施した脆弱性評価結果を基準に、AIエージェントの判定精度は90%以上であることが確認されました。評価に必要な情報が不足している項目については、「評価不可」として不足情報が提示されます。

「業務適用期間」では、JSOLの実際のシステムリスクアセスメント業務にAskDona「Batch Assessment」を適用しました。これにより、1システムあたり平均45％、JSOL全社で年間約2,000時間の工数削減効果が確認され、従来の年間約4,300時間から約2,300時間まで業務時間を短縮できることが明らかになりました。

AskDona「Batch Assessment」がもたらす効率化

JSOLがシステムアセスメント業務の課題に対して設けている6つのステップのうち、「step3 検査項目の対象システム向け解釈」と「step4 根拠資料の収集」において、AskDona「Batch Assessment」が特に有用であることが確認されています。

詳細については、JSOL社のプレスリリースも合わせてご参考ください。

• JSOLのプレスリリース

AskDona「Batch Assessment」機能の概要

「Batch Assessment」は、事前に定義された多数のアセスメント項目に対し、AskDona RAGが参照したドキュメントや規定類などの情報をもとに、評価AIエージェントが自動で判定を行う機能です。管理者が設定した評価基準に基づき、「対応済み」「未対応」「対象外」などの区分を一括評価し、各判定の根拠となる証跡および参照箇所を提示します。情報が不足している場合には推論を行わず「判断不可」とし、不足情報を明示します。

この機能により、従来担当者の経験や解釈に依存しがちであったアセスメント業務において、判定基準の統一と評価プロセスの明確化が支援されます。評価基準と参照するナレッジを変更することで、IT統制評価やコンプライアンスチェックなど、幅広いアセスメント業務に柔軟に適用可能です。業務ごとのルールに合わせて評価の仕組みを再利用でき、さまざまな領域での効率化に寄与します。

Batch Assessmentの機能紹介ページはこちらです。

• Batch Assessment

GFLOPSが提供するAskDona「Batch Assessment」は、JSOLと共同販売パートナーとして、来年度へ向け本格提供を開始する予定です。

株式会社GFLOPSについて

株式会社GFLOPSは、「AIに任せられる業務はAIに、人は人だからこそ価値を生む業務に」という理念のもと、法人向けRAGソリューションを提供しています。機密レベルの高い文章の取り扱いも可能にするセキュアな基盤構築を目指し、AIモデルの開発と独自のRAGアーキテクチャに注力しています。

会社名：株式会社GFLOPS（英語表記：GFLOPS Co., Ltd.）
代表者名：盛本マリア 共同代表：鈴木亮祐
本社所在地：東京都渋谷区
事業内容：大規模言語モデル（LLM）生成AI技術等を活用した、AIサービスの開発・提供
会社HP：https://gflops-ai.com/

株式会社JSOLについて

株式会社JSOLは、株式会社NTTデータと株式会社日本総合研究所が出資するシステムコンサルティング・ソリューションインテグレーターです。2006年の設立以来、製造、流通サービス、金融、公共分野で培った豊富な業務ノウハウとシステム開発力、エンジニアリングサイエンス分野における先進的な解析技術に強みを持ち、お客さまの価値向上に貢献しています。

代表取締役社長： 永井 健志
本所所在地：東京都千代田区九段南1-6-5 九段会館テラス
Web：https://www.jsol.co.jp/

AI Workstyle Lab編集部コメント

「AskDona Batch Assessment」の提供開始は、システムリスクアセスメントのような複雑で時間のかかる業務をAIがいかに効率化できるかを示す好例です。金融機関をはじめ、IT統制評価やコンプライアンスチェックを要するあらゆる企業にとって、評価基準の標準化と工数削減は大きな経営メリットとなります。AIエージェントによる自動評価は、属人化しやすい業務の品質向上にも寄与し、より戦略的な業務へ人材をシフトさせるきっかけとなるでしょう。この技術は、バックオフィス業務のDXを加速させる鍵となる可能性を秘めています。

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