セカンドサイトアナリティカ株式会社、エクシオグループ株式会社、大和電設工業株式会社の3社は、病院・介護施設などの医療現場向けに開発された「摂食量自動判定AI」に関する特許を共同で取得したことを発表しました。この技術は、食前・食後の画像をAI(人工知能)が解析し、患者の摂食量を自動で推定することで、看護師による食事摂取記録の負担を軽減し、栄養マネジメントの品質向上と業務効率化を目指すものです。
開発の背景
病院や介護施設では、患者の食事摂取量を正確に把握することが、疾病の予防や治療を目的とした栄養マネジメントにおいて不可欠です。しかし、現状では看護師が病棟を巡回し、患者へのヒアリングや目測で摂食量を記録する方法が一般的であり、より正確な記録作業には大きな負担が発生していました。この課題を解決するため、食事摂取記録の自動化を図る「摂食量自動判定AI」の開発に至りました。
特許の概要と技術
今回特許を取得した「摂食量自動判定AI」は、食前画像と食後画像の2枚を比較し、食事残量をAIが自動で推定する技術です。これにより、食器への食物の盛り付け方や食べ方の変化、バラつきまで考慮し、食事の摂食状況をより高精度に推定することが可能になります。

特許番号は特許第7727289号、発明の名称は「摂食状況推定装置、推定方法およびプログラム」とされており、その要約は「食器への食物の盛りつけ方や食べ方の変化やバラツキまで考慮して、食事の摂食状況をより高精度に推定する」とされています。
AI Workstyle Lab編集部の解説
AI Workstyle Lab編集部では、この「摂食量自動判定AI」が医療・介護現場にもたらす変革に注目しています。これまで看護師の方々が多くの時間と労力を費やしてきた食事記録業務がAIによって自動化されることで、業務効率が飛躍的に向上し、患者さんとのコミュニケーションやより質の高いケアに時間を割けるようになるでしょう。AIは単なる自動化ツールに留まらず、人間がより本質的な業務に集中できる環境を創出する、まさに「AIを仕事で活かす」具体的な事例と言えます。また、高精度な摂食量データは、個々の患者さんに応じたパーソナライズされた栄養管理計画の策定にも繋がり、医療の質そのものを高める可能性を秘めています。
今後の展望
本技術は、医療・介護現場における業務効率化だけでなく、「食事データを核とした栄養マネジメントの高度化」へと発展する基盤技術と位置づけられています。今後は、摂食量データを電子カルテや栄養管理システムと連携させることで、患者一人ひとりの栄養状態を時系列で可視化し、疾病予防やリハビリ支援への応用を目指します。これにより、医療現場におけるデータ駆動型の栄養管理の実現を後押しするでしょう。
さらに、摂食量の推定結果と体重・血糖・活動量などの生体データを組み合わせることで、在宅療養者や高齢者施設における健康モニタリングへの応用も見込まれています。こうした仕組みにより、再入院リスクの早期把握やフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)予防など、地域包括ケア全体での栄養支援体制強化にも寄与することが期待されます。
また、本技術の中核である「画像比較と定量推定のAIアルゴリズム」は、食品分野以外にも応用可能です。例えば、製造業における外観検査や、物流現場での在庫差分検知など、画像による定量変化認識が求められる幅広い分野への展開が期待されています。
各社の概要
セカンドサイトアナリティカ株式会社
- 本社所在地: 東京都千代田区神田西福田町3番地 RBM神田ビル6階
- 代表者: 代表取締役社長 高山 博和
- URL: https://www.sxi.co.jp
- 事業内容: アナリティクスとテクノロジーを活用したサービスを提供する専門企業。AIの核となる機械学習やディープラーニングなど新技術のR&Dを行い、様々な業種・分野に対するアナリティクス・コンサルティングサービスと、それを動かすIT基盤やAIサービス(プロダクト)を提供しています。
エクシオグループ株式会社
- 本社所在地: 東京都渋谷区渋谷3丁目29番20号
- 代表者: 代表取締役社長 梶村 啓吾
- URL: https://www.exeo.co.jp/
- 事業内容: 通信キャリア事業、都市インフラ事業、システムソリューション事業
大和電設工業株式会社
- 本社所在地: 宮城県仙台市青葉区大町二丁目5番1号
- 代表者: 代表取締役社長 櫻田 孝喜
- URL: https://www.ddk.co.jp/index.html
- 事業内容: 通信キャリア事業、都市インフラ事業、システムソリューション事業
まとめ
セカンドサイトアナリティカ、エクシオグループ、大和電設工業の3社は、今後もAI・画像解析・データ統合技術を活用し、医療・介護・生活支援領域における業務革新と社会的価値創出を推進していく方針です。

