教育現場のAI活用を阻む壁を突破!高校内完結型「ローカルLLM」が示すAI教育の未来

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教育現場における「AI活用の壁」を技術で突破

生成AIの教育利用が急速に進む一方で、教育現場では一般的なクラウド型AIサービスにおける情報漏洩リスクが懸念されていました。生徒の個人情報や成績、内面に関わる繊細な情報が外部サーバーへ送信される可能性があるためです。

この「セキュリティの壁」に対し、TERRAISEは株式会社サードウェーブと共に、インターネットを経由せず校内サーバーのみで動作する「ローカルLLM」環境を惺山高校に構築しました。これにより、情報漏洩リスクが物理的に存在しない環境が整えられ、生徒が安心して自身のデータをAIに与え、AIを深く使いこなすための基盤が確立されています。

専門性を高める3つの実践コース

本プログラムでは、生徒が自身の志向に合わせて技術スタックを選択できる3つのコースが用意されました。事前講義、集中講義、成果発表のフェーズを通じ、要件定義から実装、デプロイメントまでのプロセスを体験しています。

  1. 【Cursor講義】AIアプリ開発実践講座
    AI搭載コードエディタ「Cursor」および「Gemini CLI」を活用し、課題解決型アプリケーションの実装が行われました。企画・要件定義では「リーンキャンバス」を用いて顧客課題と提供価値を構造化し、実装機能の優先順位を策定。実装プロセスでは、自然言語によるコード生成を活用しつつ、エラー発生時にはログを解析し、AIと対話しながらデバッグを行う反復開発が実施されました。成果として、企画から実装までを一貫して行い、実際に動作するWebアプリケーションが完成しています。

  2. 【専用AI講義】自分だけのMy AI開発講座
    LM StudioなどのローカルLLM環境を活用し、RAG(検索拡張生成)技術を用いた特化型AIエージェントの構築が行われました。データセット構築では、ライフラインチャート等を用いた自己分析データを構造化テキストとして整備。外部流出のリスクがないローカル環境であるため、個人の詳細な価値観や経験則を学習データとして組み込むことが可能となりました。システムプロンプト設計では、AIの役割、出力形式、トーン&マナーを定義するシステムプロンプトが記述され、意図した挙動になるようチューニングが実施されています。成果として、汎用モデルでは再現できない、個人の文脈を高度に理解したパーソナライズAIが実装されました。

  3. 【動画生成講義】ローカル動画生成AI講座
    オープンソースの動画生成モデル「Wan2.2」系をローカル環境で稼働させ、テキストおよび静止画からの動画生成(Text-to-Video / Image-to-Video)が行われました。技術習得では、プロンプトエンジニアリングによる映像の指示出しに加え、ステップ数やCFGスケールなどのパラメータ調整を行い、生成物の品質管理手法が習得されています。AI倫理教育も徹底され、著作権、肖像権、バイアス(偏見)に関する講義を通じて、技術的な生成能力だけでなく、コンプライアンスを遵守した運用リテラシーが教育されました。成果として、試行錯誤を繰り返し、意図した物理法則や時間的整合性を持つ映像コンテンツが生成されています。

明るいコンピューター室で、多くの学生がパソコンに向かって真剣に作業している様子

エンジニアリングへの没入

講義は単なる座学ではなく、ハンズオン形式で実施されました。当初は慣れない開発環境に戸惑う場面も見られましたが、実際にコードが動作し、アプリケーションが起動した瞬間、教室の雰囲気は一変したと報告されています。エラー画面を前に論理的に原因を推論する姿や、休み時間も惜しんでパラメータの微調整に没頭する姿は、課題解決に挑むエンジニアそのものだったと伝えられています。成果発表会では、論理的に構築されたスライドを用い、開発プロセスと技術的工夫についてプレゼンテーションが行われました。

スーツを着た若い男性が教室でプレゼンテーションを行っており、マイクを片手に笑顔で話しています

参加した生徒の声

講義を通じて、生徒たちのAIに対する認識や自己効力感に大きな変化が見られました。事後アンケートからは、以下のような声が寄せられています。

  • 「想像していたよりも簡単で、元々の知識がほとんどなかった私でも作れた。」

  • 「AIは怖いものだと思っていたけど今回授業を通してとても生活に役立つものだと知った。」

  • 「AIで動画を作れることは知っていたが、私たちにも作れることを知って楽しかった。」

  • 「AIに対してのイメージは最初はあまり分からず、いい印象がなかったのですが、今回の授業を通じて理解が深まったので、使う際の危険性や気を付けなければいけないことを改めて感じました。うまくAIと向き合っていけたらいいなと思いました。」

今後の展望:「できたらいいな」が「できる」未来へ

TERRAISEが目指すのは、生成AIによって「できたらいいな」が「できる」に変わる未来です。これまで専門的なスキルや長い訓練期間を必要とした「やりたいけれどできない」という壁を、生成AIが取り払い、すべての人の可能性を無限大に広げる力を持つと考えています。

教育を通じて届けたいのは、単なる技術スキルではなく、「自分にもできる」という確かな自信と、「自分の可能性は無限大だ」という実感です。生成AIというパワーを手にした生徒たちが、自らの人生を彩り、社会に貢献していく未来を、TERRAISEは全国の教育現場から創り出していく方針です。

教室で制服を着た大勢の日本の学生が集合写真を撮っています

株式会社TERRAISEについて

株式会社TERRAISEは、「教育×AI」の領域で、安全なインフラ構築から実践的なカリキュラム提供までを一貫して支援するスタートアップです。今後も全国の教育機関に向け、ローカルLLMを活用した安心・安全な教育DXを推進していくとしています。

【会社概要】

  • 会社名:株式会社TERRAISE(テライズ)

  • 代表者:代表取締役 舟橋 遼亮

  • 所在地:東京都三鷹市上連雀1-12-17 三鷹ビジネスパークB1F

  • 登記日時:2025年1月

  • 事業内容:教育機関向け生成AIカリキュラムの開発・運営、ローカルLLM環境構築支援

【本件に関する学校法人情報】

  • 学校名:学校法人山本学園 惺山高等学校

  • 所在地:山形県山形市城西町三丁目13−7

  • URL:https://www.seizan.ed.jp/


AI Workstyle Lab編集部コメント

惺山高等学校におけるローカルLLM導入は、教育現場における生成AI活用の新たな道筋を示しました。生徒が個人情報の漏洩を気にせず、自身の価値観や経験をAIに学習させられる環境は、AIとのより深くパーソナルな関係性を築く上で極めて重要です。この取り組みは「できたらいいな」を「できる」に変えるAIの可能性を具現化しており、今後、全国の教育機関に同様の安全なAI学習環境が広がるきっかけとなるでしょう。しかし、ローカル環境でのモデル更新や計算資源の確保、そして生成AIを扱う上での倫理教育の継続的な実施など、普及に向けた課題も存在します。AI Workstyle Lab編集部としては、今後の技術進化と教育現場での実証に注目していきます。

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この記事の情報
記事の著者
AI Workstyle Lab 編集部

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