AIが変える政策分析:『SEISAKU DB』が示す、議論と予算の新たな関係性

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AIで企業の政策接点と公的支出を横断分析「SEISAKU DB」が公開

カボシア株式会社は2026年6月9日、日本の国会発言・行政事業・補助金・公共調達・経済安保認定を上場企業に紐付け、AIから横断分析できる政策データインフラ「SEISAKU DB」を公開しました。このサービスは、予算の設計図とも言われる「骨太の方針」がまとまる時期に合わせて提供され、最大の特徴は「議論と予算のギャップ可視化」にあります。

SEISAKU DB

例えば、2024年1月からの累計で、AI関連の国会発言が269件であるのに対し、行政事業予算は約29,580億円。一方、経済安保関連の発言が2,667件であるのに対し、予算は約23,090億円となっており、発言量と予算配分の差がテーマごとに定量的に示されています。このような発言量と予算配分の差を定量化する商用データベースは、確認された範囲では限定的とされています。

公開時点のデータ規模と公的支出の可視化

「SEISAKU DB」は、国会発言約26万件、行政事業レビュー3万件以上、補助金3,400件以上、経済安保認定114件、GPIF保有銘柄1.8万件など、多岐にわたるデータを統合しています。これらの主要データは横断検索が可能で、すべての画面・データに対応するAPI/MCP(Master Control Program)も同時に公開されています。

公開時点のデータ規模

全法人の公的支出24.0兆円を企業単位で可視化

政府は税金、補助金、公共調達などの情報を公開していますが、共通の企業IDで結ばれていないため、「この会社が国からいくら受け取ったか」を企業単位で追跡することは困難でした。「SEISAKU DB」では、支出先を法人番号で名寄せし、企業単位で一気通貫に確認できるようにしています。

行政事業レビューの支出先を全法人マスタに名寄せし、企業向けの純額として5年間で約24.0兆円(1,702社分)が集計されました。これにより、上場・非上場を問わず、特定の企業が国の事業から受け取った額を、事業名・省庁・年度の一次データまで遡って確認できます。

公的支出の行き先

政策テーマと関与企業の紐付け

半導体、防衛、GX、宇宙、蓄電池、量子、医療、経済安保、AIなど、20の政策テーマそれぞれについて、そのテーマの事業で公的支出を受けた企業を金額付きで一覧表示します。これにより、特定の政策テーマにおける資金の流れと、それに関与する企業の関係性を具体的に把握できます。公的資金が各社の売上規模に対してどれだけ大きいかという参考指標も示されます。

政策テーマと関与企業

法人番号で4つの公的資金ソースを束ねる

任意の法人番号を入力するだけで、補助金採択(gBizINFO)、国の落札と契約(調達ポータル)、政府調達と委託(NEDO委託等を含む)、競争的研究費(AMED/KAKEN)の4つの公的資金ソースを、一画面で横断表示することが可能です。これにより、特定の法人が国から受けた公的資金の接点を、各ソースの原本案件まで辿ることができます。

法人番号で公的資金ソースを束ねる

「議論×予算ギャップ」の可視化と年金GPIFとの連携

「SEISAKU DB」は、国会発言と行政事業予算のデータを突合することで、「議論は活発だが予算が薄いテーマ」や「予算は付いたが議論が静かなテーマ」を定量的に可視化します。

例えば、2024年1月からの累計では、経済安保は国会発言2,667件に対し行政事業34件・約2.31兆円、AIは発言269件に対し事業67件・約2.96兆円と、発言量と予算配分のギャップが明確に示されています。

年金GPIFと経済安保認定企業の関連

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2025年3月末時点の保有銘柄データを取り込み、経済安全保障推進法に基づく認定114件と物資別にクロスマッピングした結果、経済安保認定企業のGPIF投資総額は合計約8.4兆円に上ることが明らかになりました。具体的には、蓄電池分野で約3.4兆円(トヨタ自動車、本田技研など)、半導体分野で約1.6兆円(キヤノン、住友商事など)が投資されています。

競争的研究費と政策テーマの分類

KAKEN(科研費)、AMED(医療研究)、NEDO(産業技術)の競争的研究費31,676件が、AI、半導体、蓄電池、量子、バイオ、医療、GX、水素、原子力、宇宙、海洋、ロボット、サイバーセキュリティ、材料の14政策テーマにAI分類されています。これにより、「半導体NEDOプロジェクト一覧」や「AI関連科研費TOP」のような横断検索がMCP経由で可能になります。

公的支出の「通過構造」の可視化

国の補助金や委託費には、最終受益者に届く前に事務局や代行受託として上場企業を「通過」するものがあります。「SEISAKU DB」では、行政事業レビューの支出先データからこの通過型の支出を上場企業ごとに集約し、519社分を可視化しました。例えば、博報堂DYホールディングスグループが18件で約3.85兆円(最大は「電気・ガス価格激変緩和対策事業費補助金」の事務局関連で約3.1兆円)、三菱総合研究所が110件で約192億円などが名寄せ上位に挙げられています。

AIネイティブ設計と想定ユースケース

「SEISAKU DB」はAIネイティブ設計を採用しており、ChatGPTやClaudeなどのAIクライアントのMCPコネクタに接続するだけで、AIが政府データを直接参照できます。AIから直接つなげるAPI(23本)とMCPコネクタ(31ツール)が整備されており、ユーザーは「半導体関連の補助金・委託費で支出先として記録された上場企業TOP10」といった質問に対し、AIが出典付きの構造化データを参照して回答を得られます。

Web検索や一般的なAI回答が記事や資料(ドキュメント)を返すのに対し、「SEISAKU DB」が返すのは名寄せ・正規化・出典付けまで済んだ「構造化済みのデータ」です。主要なデータは原典(行政事業レビュー・gBizINFO等の一次データ)まで遡って確認できるため、AIの抽出・推定が混じる箇所も事実データと区別して示され、信頼性の高い情報提供が実現されます。

想定されるユースケース

  • 公共政策コンサル/シンクタンク:政策テーマと企業のマッピングを納品物に統合し、調査前段階のスクリーニングを自動化。

  • 自治体ベンダー:中央政府の予算動向から自治体への波及を早期検知し、提案先選定の根拠に活用。

  • 業界団体:国会発言・議案進捗を自動監視し、政策テーマ別の業界対応状況を把握。

  • 経済安保関連企業:認定供給確保計画の最新状況や競合企業のマッピング。

  • 機関投資家:政策イベントと上場企業の接点を横串し、テーマ株のシグナル検出。

料金プランと今後の展開

料金プランは、兄弟サービスであるEDINET DB・不動産DBと同水準で、Freeプラン(月額0円、日次100リクエスト)からEnterpriseプラン(個別見積もり)まで提供されています。公開当初のβ期間(2026年6月9日〜、終了時期は別途案内)は、Pro相当(日次1,000リクエスト)が無料で開放されます。

「SEISAKU DB」は、カボシアが公開しているデータインフラの第4弾であり、EDINET DB(上場財務)、FUDOSAN DB(不動産)、BOUSAI DB(防災)に続くものです。各DBは法人番号・証券コードで横串が引かれており、企業を起点に「政策×財務×不動産×防災」を同じIDで突き合わせることが可能です。

日本データインフラ

今後の展開としては、2026年6月〜7月にかけて自治体予算・公的支出の構造化(都道府県・政令市)を進行中で、2026年8月以降には英語版の公開も予定されています。

カボシア株式会社の代表である小池陸氏は、「税金や補助金が、どの企業にいくら流れたか——政府は公開していますが、共通の企業IDがなく、企業単位では追えませんでした。政策DBはこれを法人番号で名寄せし、一次データまで辿れる形にしました。AIが政策や予算を調べる時代に、AIが頼れる『日本の公的な事実の基準点』をつくります」とコメントしています。

会社概要

  • 社名: カボシア株式会社 (Cabocia Inc.)

  • 代表者: 小池陸

  • 所在地: 東京都

  • 事業: 日本データインフラ (EDINET DB / SEISAKU DB / FUDOSAN DB / BOUSAI DB)

  • URL: https://cabocia.jp

  • サービスURL: https://seisakudb.jp

  • X: @seisakudb

AI Workstyle Lab編集部コメント

「SEISAKU DB」の登場は、企業が政府の政策動向や公的資金の流れを把握する上で、画期的な変化をもたらすでしょう。これまで点在していた情報をAIが構造化し、法人番号で横断的に分析できるようになったことで、政策コンサルティングはもちろん、新規事業の立案、競合分析、投資戦略といった幅広いビジネス領域で具体的なインサイトを得ることが可能になります。特に、議論と予算のギャップを可視化する機能は、政策の“本気度”を測る新たな指標となり、より精度の高い事業戦略の策定に貢献すると考えられます。AIが提供する「裏が取れる構造化データ」をいかに活用するかが、今後のビジネス競争力を左右する鍵となるでしょう。

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