NTTデータGSLの新サービス「Autonomous Enterprise」とは?AIと人が協働する自律型企業モデルを解説

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NTTデータGSLが「Autonomous Enterprise支援サービス」を提供開始

株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ(以下、NTTデータGSL)は、SAP® Business AI Platformを活用した「Autonomous Enterprise支援サービス」を2026年7月16日より提供開始しました。

このサービスは、「Autonomous Enterprise(自律型企業)」の実現を目的としています。Autonomous Enterpriseとは、人間の承認と判断をAI運用に組み込む「Human-in-the-Loop」という仕組みを通じて、AIが基幹業務を高い精度で自律的に実行するモデルを指します。NTTデータGSLは、この実現に必要な基盤構築から、人とAIの最適な役割分担のデザイン、そして基盤上で動作するエージェントの整備まで、構想策定から実装・運用までを一貫して支援します。

本サービスの提供体制を強化するため、NTTデータGSLは専門組織「Autonomous Enterprise Transformation Office」を新設しました。この組織は、SAP Business AI Platformを構成する先進技術と、SAP S/4HANA® Cloudを中心とした基幹システム導入のノウハウを統合し、全社のAI CoE(センター・オブ・エクセレンス)活動を推進することで、提供価値の最大化を図ります。NTTデータGSLは今後3年間で50社への本サービスの提供を目指しています。

サービス提供の背景

近年、人手不足の深刻化や労働人口の減少、サプライチェーンの分断、地政学リスクの高まりなど、企業を取り巻く経営環境は急速に変化しています。このような状況下で、企業には迅速かつ柔軟な意思決定が求められています。また、生成AIをはじめとするデジタル技術の進化により、業務の自動化や高度化が進む一方で、多くの企業では業務プロセスやシステムが部門ごとに分断されており、AIの活用が個人の生産性効率化に留まるケースも少なくありません。

SAP社はSAP Sapphire 2026において、AIと人が協働して基幹業務を高度化するAutonomous Enterpriseのビジョンを発表しました。これは、企業全体のデータと業務プロセスを統合し、AIを活用した状況把握、分析、意思決定、業務実行を高度に自動化することで、変化の激しい経営環境に迅速に対応できる企業モデルです。この実現には、SAPの標準エージェントの知識と各業務領域に関する深い理解に基づいたHuman-in-the-Loopによる精度の高いAI運用が不可欠です。さらに、データ品質、システム連携、権限管理、監査、セキュリティ、運用統制を含む企業レベルの基盤整備が重要とされています。

サービス概要と支援領域

NTTデータGSLは、SAP S/4HANA Cloudを中心とした基幹システムの導入・保守運用・拡張開発で培った実績と、SAP Business AI Platformを構成する各種技術要素を活用した基盤構築ノウハウを統合し、企業がAIエージェントを実業務で活用できる状態への移行を支援します。

Autonomous Enterprise支援サービス概要

本サービスでは、主に以下の4つの領域を中心に支援が行われます。

  1. Autonomous Enterprise構想策定・ロードマップ策定
    経営・業務課題、既存SAPランドスケープ、データ活用状況、AI適用余地を整理し、AIエージェント活用を見据えた業務変革テーマ、実現ステップ、投資優先度を明確化します。
  2. AI活用に向けたデータ・連携基盤設計
    SAP® Business Data Cloudによる業務データ活用と、SAP® Integration SuiteおよびSAP® Event MeshによるAPIベース連携・イベント駆動型連携を組み合わせ、AIエージェントに必要な最新データ、自律起動トリガー、システム・エージェント間の協調を支える連携基盤を設計します。NTTデータGSLは、SAP/Non-SAP、クラウド/オンプレミス混在環境でのSAP Integration Suite導入、SAP Event Meshによる業務イベントのハブ化、非同期・疎結合のリアルタイム連携、配信・購読設計のノウハウを有しています。これにより、ポイントツーポイント連携(アプリケーション間の直接接続とカスタム接続による連携で、拡張性や保守性に課題がある)に起因する遅延・複雑化・AI適用範囲の分断に対応し、プロセスチェーンを断絶させずにトランザクションを接続するAI活用基盤の構築を支援します。
  3. AIエージェントデザイン・ガバナンス設計
    社内外で利用されるAIエージェントと業務システムの関係を可視化し、利用範囲、権限、監査、セキュリティ、ライフサイクル管理を含むガバナンスを設計します。AIエージェントと人の役割分担をデザインし、顧客企業の業務に合わせたカスタムエージェントを整備します。また、必要に応じてSAP® LeanIXなどを活用し、管理外のAI利用によるリスク低減を支援します。
  4. 実装・定着化・運用支援
    概念実証(PoC)から本番導入、既存業務への組み込み、運用設計、効果測定までを一貫して支援します。NTTデータGSLのSAP導入・保守運用経験を活かし、基幹業務の安定性を確保しながら、AI活用を段階的に拡大します。

新組織「Autonomous Enterprise Transformation Office」について

2026年7月より、NTTデータGSLは「Autonomous Enterprise Transformation Office」を新設しました。この組織は、これまで社内に蓄積してきた業務知識、SAPソリューション知見、プロジェクト方法論を横断的に集約し、顧客企業の状況に応じた導入アプローチを提示します。AI時代においては、従来のSAPコンサルタントの知見に加え、「どこまでをAIに任せ、どこを人間が担うか」というAIと人の役割分担のデザイン力が重要になります。そのため、Autonomous Enterprise Transformation OfficeがAI時代におけるSAPコンサルタントの知識拡充とマインドチェンジを推進します。

NTTデータGSLは、従来個別に語られることが多かった基幹システム、データ活用、システム連携、AIガバナンスを一体で捉え、顧客企業の業務変革に直結する形でSAPの基盤戦略を具体化します。これにより、企業は既存ERP資産を活かしながら、AIエージェントを安全に活用するためのロードマップと実装基盤を整えることができます。

今後の展望

NTTデータGSLは、Autonomous Enterprise Transformation Officeを中心に、本サービスの提供体制を順次強化していく方針です。SAP S/4HANA Cloudへの移行やERPモダナイゼーションに取り組む顧客企業に対し、移行後のデータ活用、プロセス高度化、AIエージェント活用までを見据えた支援を拡充します。

今後は、財務、サプライチェーン、調達などの業務領域において、AI活用ユースケース、参照アーキテクチャ、導入テンプレートを整備する予定です。また、社内外の技術者育成やSAP関連組織との連携を進め、顧客企業の競争力強化と持続的な業務変革に貢献していくとしています。


AI Workstyle Lab編集部コメント

「Autonomous Enterprise支援サービス」は、単なるAI導入に留まらず、企業全体の業務プロセスとAIを統合する点で大きなビジネス価値を示唆しています。特に、人手不足が深刻化する日本企業にとって、AIが基幹業務を自律駆動し、人が重要な意思決定に集中できるHuman-in-the-Loopモデルは、生産性向上とコスト削減に直結するでしょう。財務、サプライチェーン、調達といった多様な業務領域でのユースケースが整備されれば、より多くの企業が具体的な導入メリットを享受できると期待されます。これは、AIが個別の業務効率化を超え、企業経営の根幹を支える時代への移行を加速する動きと言えます。

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