速報：SyntheticGestaltがGENIAC採択、化学AIで開発を最大10万倍高速化へ

世界最大級の化学AIデータエコシステムを構築
事業概要と技術詳細
SyntheticGestaltの技術力
- AI Workstyle Lab編集部コメント

世界最大級の化学AIデータエコシステムを構築

本調査事業の目的は、現行世界最大の約10倍にあたる10万〜20万件規模のデータベースを構築することです。さらに、AIの活用により、計算速度を従来の3万〜10万倍にまで高速化（数時間〜数日かかる計算を数秒で完了）することを目指しています。この技術は、新薬・農薬・化学製品の開発におけるコンピューターシミュレーションを飛躍的に加速させるものとなります。

国内の製薬・農薬・化学業界を代表する8社が本プロジェクトに協力しており、日本発の世界最大級データ基盤を通じて化学産業の国際競争力強化を目指しています。

SyntheticGestalt株式会社の島田幸輝代表は、今回のプロジェクトについて「ChatGPTが言葉のAIで世界を変えたように、私たちは『分子のAI』で創薬・化学産業を変革します。日本が得意とする化学の力とAI技術を融合させ、世界をリードするデータ基盤を構築し、日本の産業競争力を取り戻す歴史的な一歩です」と述べています。

事業概要と技術詳細

この調査事業は、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業／生成AI開発加速に向けたデータ・生成AIの利活用に係る調査」の一環として実施されます。SyntheticGestalt株式会社が応募した事業名は「世界最大の分子生成AIデータエコシステムによる日本の化学力強化に関する調査」です。

具体的な調査内容としては、100種類の標的タンパク質（薬剤が作用する対象となるタンパク質）に対して10万～20万件規模のFEP計算（自由エネルギー摂動法：分子と標的タンパク質の結合強度を高精度に予測する計算化学技術）を実施し、世界最大規模の分子結合親和性（分子と標的タンパク質の相互作用の強さを定量化した指標）データベースを構築します。このデータを活用したAI予測モデルにより、創薬・農薬・化学・材料・化粧品などの分野における生成AI技術開発基盤の確立を目指します。

今回の採択結果については、NEDOの公表ページで詳細を確認できます。
https://www.nedo.go.jp/koubo/CD3_100408.html

SyntheticGestaltの技術力

2018年に創業されたSyntheticGestaltは、「人工知能で発明を量産する」ことをミッションに掲げる分子特化型AI技術開発企業です。創薬・化学産業の研究開発効率向上に貢献する技術を提供しており、世界標準の創薬ベンチマークでは、毒性予測・透過性予測・安定性予測という重要な3指標すべてで世界1位を達成しています。

同社は、NVIDIA GTC 2024/2025での招待講演やGoogle公式ブログでの紹介など、グローバルテック企業からも高く評価されています。また、100億件の化合物データで学習した世界最大の分子AIモデル「SG4D10B（分子の複雑な立体構造を考慮した予測が可能な分子特化型AI基盤モデル）」を開発しており、複数の大手企業で開発期間とコストをそれぞれ90%削減する実績を上げています。GENIACの生成AI基盤モデル開発支援事業には2期連続で採択されており、その技術力の高さがうかがえます。

AI Workstyle Lab編集部コメント

SyntheticGestaltによる世界最大級の化学AIデータエコシステム構築は、ビジネスにおいて計り知れないインパクトをもたらすでしょう。製薬、農薬、化学製品開発の現場では、FEP計算のような複雑なシミュレーションに膨大な時間とコストがかかっていました。今回のAIによる計算高速化は、新素材や新薬の発見サイクルを劇的に短縮し、市場投入までの期間を大幅に前倒しする可能性を秘めています。企業は研究開発の効率化だけでなく、これまでにない製品を迅速に生み出すことで、新たな市場機会を獲得し、競争優位性を確立できるはずです。特に、日本の得意とする化学分野とAI技術の融合は、国際的なビジネス競争において強力な武器となると考えられます。

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