株式会社ブリングアウトは、生成AIの導入における成果創出の課題に対応するため、提供価値を大幅に刷新し、経営変革を支援する「AX(AI Transformation)ファーム」として新たな体制を発表しました。共通AIエージェントOSと8種の業界別エージェントをリリースするとともに、トップコンサルティングファームとエンジニア出身者で構成される専門チーム「AXチーム」を新設しています。

生成AI導入の「95%が成果ゼロ」という課題に挑む
最新の調査では、生成AI活用プロジェクトの95%が成果を生めていない現状が指摘されています。多くの企業がAI導入を進める一方で、「AIを導入したのに成果が上がらない」という課題に直面していることが浮き彫りになっています。

この背景には、AIという「手段」が目的化し、「何を目的にAIを使うのか」という経営論点が十分に定義されていない根本的な問題があるとされています。成果を生み出すためには、「何を変えるか」という変革の定義と、「どう変えるか」という具体的な実装を一気通貫で設計できる体制が必要不可欠です。
ブリングアウトは、この課題を解決するため、これまでの商談解析ツール提供から、AIによって経営変革を「常在化」させる「AXファーム」へとその提供価値を刷新しました。
AI Workstyle Lab編集部コメント
生成AIの導入は進むものの、その効果を実感できていない企業が多い現状は、まさに多くのビジネスパーソンが直面している課題ではないでしょうか。「AIを入れたら何か変わるだろう」という漠然とした期待だけでは、具体的な成果には繋がりません。ブリングアウトが指摘するように、AI活用における「目的」と「経営論点」の明確化は、AIをビジネスで活かす上で最も重要なポイントと言えるでしょう。
個別最適化から経営変革の「常在化」へ
ブリングアウトはこれまで、クライアントごとに個別カスタマイズされた商談解析ツールを提供してきました。営業商談や会議内容、顧客との対話ログを解析し、各企業が理想とする「商談の型」や「要約フォーマット」などをプロンプトエンジニアがAIモデルにチューニングして提供する形です。
しかし、このアプローチには以下のような限界があったとされています。
- 担当者ごとに「理想の商談像」や「蓄積したい情報」が異なり、組織として統一されない。
- 誤った認識のままAIを最適化すると、誤った情報や使えない情報を生成するシステムとなる。
- 部署単位の改善に留まり、経営全体の行動変容や成果創出に結びつかない。
これらの経験から、ブリングアウトは要望に基づき「AIの精度を上げる」ことよりも、「何を変えるべきか」という論点を構造化し、経営層と合意した上で、その論点をAIに一気通貫で実装させることこそが真の価値であると再定義しました。

今回のブランドリニューアルを通じて、ブリングアウトは経営変革を支援するAXファームを掲げ、個別開発型の支援から、共通基盤を軸にした構造的な経営変革支援へと移行します。

新たな提供価値:AIエージェント基盤、業界別エージェント群、AXチーム
今回のリニューアルで中核を成すのは、以下の3つの新規リリースです。
1. AIエージェント基盤
ブリングアウトのコンサルタントが社内で活用する、非構造データ解析とAI設計のための統合基盤です。商談情報収集、タスク分解、ワークフロー制御、データ接続、アクション実行、ガバナンスの機能を備え、特定した論点を「現場で動く仕組み」に変換します。
主な機能は以下の通りです。
- 会話、テキスト、画像などの非構造データを自動解析し、意味単位にブロック化。
- 要約、採点、分類、アドバイス生成などの思考タスクを汎用化させ、精度と速度を向上。選択操作で実行可能。
- 自然言語で書かれたプロンプトを自動でYAMLワークフロー化し、他ジョブと連携。
- 処理ごとに最適なLLM(大規模言語モデル)や音声書き起こしエンジンを選択。
- 分析結果をグラフやスコアとして視覚的に表現・共有。
さらに、元データに対して任意のラベルを付与し、「AIが理解できる構造化データ」に変換することで、エージェント開発・運用を高速化します。これにより、コンサルタントはデータ整理の時間を削減し、「どの論点を解くべきか」の設計に集中できるようになります。
2. ユースケース特化エージェント(8種)
汎用エージェント基盤の上で動作する、特定のユースケースに特化したAIエージェントが8種類提供されます。これらは短期間で企業固有の論点に合わせたカスタマイズ版として利用可能です。

提供されるエージェントの例は以下の通りです。
- 営業: 商談自動採点/改善案生成、過去商談に基づく足元案件の受注確度自動推定
- 人材育成: 得手不得手に応じたAIロープレ(シナリオ自動生成+実施)
- CX改善: 顧客の声に基づく自社サービスの改善点把握
- 市場理解: 顧客発話からの競合・業界動向/自社評価レポート生成
- 提案最適化: 顧客ニーズの自動カテゴライズと商材の自動マッチング
- 会議運営: 意思決定比率の自動判定とアラート
- CS/収益: 継続リスク判定およびアップセル機会のアラート

3. AXチーム
AI Transformation(AX)を実装する専門チームが新たに組成されました。McKinsey、BCG、Accentureなどのトップ戦略ファーム出身のコンサルタントに加え、Google、Amazonなどの国内外の大手テック企業でAI/ソフトウェア開発をリードしてきたエンジニアが参画しています。

このチームは、戦略設計、データ構造化、AI実装、現場運用を一気通貫で担い、企業ごとに「何を解くか」と「どう解くか」を統合的にデザインします。

AI Workstyle Lab編集部コメント
AIエージェント基盤は、非構造データを「AIが理解できる構造化データ」に変換する点が特に注目されます。これにより、データの整理に費やす時間を削減し、より本質的な「論点設計」に集中できるのは、生産性向上に直結するでしょう。また、8種類のユースケース特化エージェントは、具体的な業務課題にAIを適用するイメージを明確に示しており、多くの企業にとって導入のハードルを下げる効果が期待できます。戦略コンサルタントとAIエンジニアが一体となったAXチームは、まさに「戦略と実装の融合」を体現しており、AI導入の成功確率を高める重要な要素となるはずです。
株式会社ブリングアウト 代表取締役 中野慧氏のコメント
株式会社ブリングアウト 代表取締役の中野慧氏は、「私たちは、AIを導入する会社ではありません。変革論点の抽出と、そのAI実装、組織定着まで一気通貫して支援し、”経営変革を常在化させる”AXファームです。戦略コンサルティングの知見とAIエージェント技術を掛け合わせ、組織が変わり収益インパクトを生み出す仕組みを設計していきます」と述べています。
株式会社ブリングアウトについて

ブリングアウトは「対話をデータ化して経営を変革する」ことを掲げ、AIを活用した経営変革(AX:AI Transformation)を行うAXファームです。経営変革の焦点となる論点を定め(論点設計力)、その論点をAIプロダクトに埋め込み自走化させ(AI実装力)、設計と実装を一体で行うことでスピーディに現場へ展開します(戦略×実装の融合)。
主要な提供サービスは以下の3つです。
- 経営論点特定結果に基づく、対話設計とコンテクストエンジニアリング: 経営・組織・顧客対話の目的に応じて、会話データを構造化し、AIが理解できる文脈設計を行います。
- AIエージェント基盤: 自然言語解析・知識抽出・推論を行う独自のAI基盤を開発。AIエージェントが対話や文書を横断的に理解し、意思決定を支援します。
- カスタマイズエージェントが動くソフトウェア: 分析結果をもとに、要約・洞察・提言などを自動生成。組織が無理なくエージェントを使い続けることで、「経営変革を常在化」させます。
同社は『東洋経済 すごいベンチャー100』や『日経 未来の市場を創る100社』などに選出されており、国内大手企業を中心に導入が進んでいます。
詳細については、株式会社ブリングアウトのウェブサイトをご覧ください。
また、組織現場での対話データ活用ユースケース集もレポート形式で公開されています。

