近畿大学とGoogle Cloudの包括連携が示す、高等教育におけるAI活用の未来像とは

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近畿大学がGoogle Cloudと包括連携協定を締結

近畿大学は令和8年(2026年)9月2日、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社(以下、Google Cloud)と包括連携協定を締結しました。この協定は、AI人材育成モデルの確立に加え、生成AIを活用した学生支援、大学運営、研究支援の高度化を目指すものです。

具体的な取り組みとして、全16学部の1・2年生19,033人および教職員2,105人、合わせて21,138人を対象に、教育機関向けGeminiアプリケーションの有償版である「Google AI Pro for Education」のライセンスが導入されます。また、令和8年度(2026年度)後期の授業開始に合わせ、生成AI技術を活用した学生支援窓口のオンライン化に向けたトライアルが開始される予定です。

近畿大学は、大規模かつ多様な教育・研究環境と、Google Cloudが提供する生成AI、クラウド、データ分析などの技術を組み合わせることで、教育、学生支援、大学運営、研究の各領域を横断した「AIネイティブ大学」の実現を目指しています。

「AIネイティブ大学」とは

近畿大学が目指す「AIネイティブ大学」とは、単に生成AIサービスを導入するだけでなく、学生や教職員が生成AIを日常的かつ適切に活用し、教育、学生支援、大学運営、研究の仕組みそのものを継続的に改善していく大学を指します。

これまでの近畿大学では、「ChatGPT Edu」の試験導入などを通じて、生成AIの活用方法や導入効果を検証してきました。学生の学習支援に加え、教職員による文書作成、要点整理、議事録作成、規程・マニュアルの検索・要約など、多岐にわたる場面での生成AI活用が進められてきました。今回のGoogle Cloudとの連携により、これらの生成AI活用を大学全体の変革へと発展させる方針です。

4つの領域で推進される具体的な取り組み

本協定を通じて、近畿大学はAI人材育成、学生支援、大学運営、研究支援の4領域で生成AIを活用した具体的な取り組みを進めます。これにより得られた知見は、国内の高等教育における新たなAI活用モデルの構築に役立てられるとのことです。

1. AI人材育成モデルの確立

近畿大学とGoogle Cloudの技術を組み合わせ、学生が生成AIを適切に活用し、専門教育や研究、制作活動などに応用できる力を身につけるための全学的なAI人材育成モデルの確立を目指します。

「Google AI Pro for Education」の導入に加え、令和9年(2027年)4月からは全学部で情報リテラシー関連科目を必修化します。これにより、生成AIの仕組み、ファクトチェック、著作権、情報セキュリティ、学術公正などについて学ぶ教育が全学的に推進され、学生が目的に応じて生成AIを適切に活用できる力の育成を図ります。

2. AIネイティブ大学運営モデルの共同構築

問い合わせ、申請、決裁、文書作成、情報検索、会議運営などの大学業務において、生成AIの活用を前提とした業務プロセスを再設計し、次世代の大学運営モデルを構築します。複数のシステムやデータを横断して処理する業務や、複雑な判断を伴う業務、学内LMSの活用などについて、Gemini EnterpriseのAIエージェント機能を活用した自動化・高度化の可能性が検証されます。

3. AIを活用した「24時間学生支援モデル」の構築(学生支援窓口のオンライン化)

令和8年度(2026年度)後期の授業開始に合わせて、AIチャットボット、オンライン問い合わせフォーム、予約制相談を組み合わせた、学生支援窓口のオンライン化に向けた移行トライアルが開始されます。学生が時間や場所を問わず必要な情報にアクセスできる環境を構築し、FAQ、学内規程、手続案内、シラバスなどを活用した検索・回答支援の充実が図られます。また、問い合わせ内容の把握、担当部署への振り分け、職員への引き継ぎなど、複数の業務をつなぐAIエージェントの実現可能性も検証される予定です。

4. 研究者とAIが協働する「次世代研究支援基盤」の構築

Gemini EnterpriseやBigQueryなどのGoogle Cloudのサービスを活用し、論文・研究情報の収集、先行研究の整理、研究データの分析、共同研究者の探索などを支援する全学的な研究支援基盤の構築を目指します。

両者のコメント

近畿大学長の松村到氏は、「今回のGoogle Cloudとの包括連携は、単に新しいAIサービスを導入するものではありません。Google Cloudが持つ技術と、本学の大規模かつ多様な教育・研究環境を掛け合わせ、両者が共に新しい大学のあり方を創り上げていく取り組みです」とコメントしています。また、「AIに使われるのではなく、AIを使いこなし、人にしかできない発想や判断、対話を通じて、新しい価値を生み出せる人材へと成長してほしい」と学生への期待を述べました。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 執行役員 パブリックセクター & ヘルスケア・ライフサイエンス 事業本部長の和泉綾志氏は、「Google Cloudは最先端のAI技術であるGemini、クラウド基盤そしてセキュアなデータ基盤などを提供することで、学生の皆様がこれからの時代に求められるAIスキルを実践的に学べる教育・研究環境づくりを全面的に支援いたします」と語っています。

*Google Cloud、Gemini、Gemini EnterpriseおよびBigQueryは、Google LLCの商標です。

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AI Workstyle Lab編集部コメント

近畿大学とGoogle Cloudの連携は、高等教育機関がAIを単なるツールとしてではなく、教育・研究・運営の基盤として統合していく未来像を鮮明に描いています。約2万人の学生・教職員への大規模導入は、AIを使いこなす能力を社会で必須とする時代において、大学が果たすべき役割を再定義する動きと言えるでしょう。今後は、AIの公平な利用、個人情報保護、そして生成AIがもたらす情報への批判的思考力の育成といった倫理的・教育的課題への対応が重要になります。この取り組みがどのように具体的な成果を生み出し、他の教育機関にどのような影響を与えるか、引き続き注目してまいります。

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