Session3「海の道を維持するために」by キャンパスクリエイト
本セッションでは、深刻な船員不足による減便問題が日本列島に与える影響と、世界第6位の広さを持つ海洋エリアにおける文化的営みを維持する方法が問いかけられました。登壇者は以下の通りです。
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叶雅仁氏(国土交通省海事局内航課 課長)
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山本忠和氏(伊豆諸島開発 代表取締役)
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木村裕人氏(株式会社エイトノット 代表取締役CEO)
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行平真也氏(九州産業大学 准教授)
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進行:鯨本あつこ氏(認定NPO法人離島経済新聞社 代表理事)
議論の概要
日本の約400の有人離島を結ぶ「海の道」は、地域の暮らしと経済を支える重要なライフラインです。しかし現在、船員不足や船舶の老朽化により、航路の減便・運休・廃止が相次ぎ、危機的な状況にあります。本セッションでは、国、事業者、研究者、技術者のそれぞれの立場から、離島航路を持続可能にするための方策が議論されました。

九州産業大学の行平准教授は、全国276航路のうち約半数が国庫補助を受けているにもかかわらず、船員不足(有効求人倍率4.78倍)やコスト増によって事業環境が急速に悪化し、補助航路の欠損額が過去20年で倍増している現状を報告し、離島航路が“限界点”にあると指摘しました。
国土交通省の叶課長は、「持続可能な経営基盤の欠如」が根本にあると述べ、以下の3点を挙げました。
- 輸送需要に応じた船舶の小型化によるコスト削減
- 海上自衛隊退職者の再就職支援や自治体による職業紹介制度の創設など、人材確保策の強化
- 地域住民の理解を得た運賃改定や体制見直しの必要性
また、航路維持のためには、地域内で船員不足・減便問題を共有し、運賃や船のダウンサイジングなど、ある程度の受忍が必要であると語りました。
現場の伊豆諸島開発の山本氏は、船員不足による長期乗船・短期休暇の常態化が待遇面の不利を生み、人材確保を阻害していると訴えました。一方、株式会社エイトノットの木村氏は、AIや自動航行技術が船員を支援し、安全性と効率を高める“共働の技術”として航路維持の鍵となると提起しました。専門技能への依存を和らげ、多様な人材が関われる産業への転換が可能であると述べました。
議論の結びでは、航路を未来へつなぐために「政策・技術・地域」の三位一体の連携が不可欠であるとの認識が共有されました。人材育成と制度改革、AIを活用した効率化、そして地域の理解と協働により、島々を結ぶ海の道を次世代へ継承していく重要性が確認されました。
より詳細なレポート記事は下記をご参照ください。
株式会社キャンパスクリエイトの協賛背景
株式会社キャンパスクリエイトは、東京都の「次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業(Tokyo NEXT 5G Boosters Project ※1)」の採択を受け、5G技術をはじめとする次世代通信技術を活用するスタートアップの開発・事業化を支援しています。支援先スタートアップである株式会社エイトノットは、小型船舶向け自律航行技術を開発しており、衛星通信技術を組み合わせることで、電波圏外や電波が届きづらい離島航路等においても安定した自律航行が可能となります。
同社は、株式会社エイトノットの取り組みが日本全国の離島航路問題の解決に貢献していく社会実現を目指し、今回のセッション「海の道を維持するために」を設けました。離島航路の持続化問題や自律航行技術、衛星通信技術による解決性、株式会社エイトノットについては下記Webサイトにて紹介されています。
未来のシマ共創会議について

人口減少に伴う人手不足や財源不足、インフラ更新危機が顕在化する中、離島地域では船員不足による主要航路の減便が急増しています。「なりゆきの未来」では、日本列島を形づくってきた豊かなローカルが次々と無人化していく可能性があります。2024年に初開催され好評を博した「未来のシマ共創会議」の2025年度テーマは「意志ある未来をシマから創ろう」。
世界第6位の広さを誇る海洋面積の50%を守る有人離島を島国の宝として守り、持続可能な未来をつくるにはどうすればよいか、交通・医療・教育・仕事・住まいなどの重要インフラを維持するため、ひと・もの・こと・情報・お金をいかに掛け合わせればよいか、を議論する場です。しなやかでミニマムなシマ(人と人が支え合うコミュニティ)の価値観と、先端技術とアイデアを融合させた「意志ある未来」をつくるべく、産官学民の共創を創発します。
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名称:未来のシマ共創会議
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会期:本番:2025年10月8日(水)、前日特別セッション:10月9日(木)
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会場:10月8日(水)オンライン配信+リアル会場(Yahoo LODGE)、10月9日(木)オンライン配信+リアル会場(Tokyo Innovation Base)
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参加者数:1,051名(リアル・オンライン合計)
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主催:認定NPO法人離島経済新聞社
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協賛:大和リース株式会社、株式会社キャンパスクリエイト、eiicon株式会社、日本航空株式会社ほか
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協力:LINEヤフー株式会社、離島医療会議
株式会社キャンパスクリエイトについて

株式会社キャンパスクリエイトは、「お客様の課題解決をオープンイノベーションで実践する広域TLO」をスローガンに掲げています。国立大学法人電気通信大学TLOとして経済産業省・文部科学省の承認・認定を受け、企業の技術ニーズと大学研究者、あるいは大学の技術シーズと活用可能な企業をマッチングする産学官連携業務を実施しています。また、企業のオープンイノベーション支援として、関心技術分野における大学の技術シーズ調査や、新規事業テーマのコンサルティング業務なども手掛けています。
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会社名:株式会社キャンパスクリエイト
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代表者:代表取締役 髙橋めぐみ
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本社所在地:東京都調布市調布ヶ丘1-5-1 電気通信大学内
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設立:1999年9月
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事業内容:技術移転マネジメント事業、ソリューション事業、産業振興事業 等
次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業(Tokyo NEXT 5G Boosters Project)とは

東京都が推進する本事業は、都内スタートアップ企業が東京の多様なフィールドを活かし、5Gをはじめとする次世代通信技術を活用した新たなビジネスやイノベーションを創出することを支援するものです。都民のQOL(Quality of life)向上に寄与する有益なサービス創出と、スタートアップ企業の企業価値向上を目指しています。
東京都と協働する開発プロモーターが、連携事業者(通信事業者、実証フィールド提供者、研究機関、VC・金融機関等)と連携し、資金的・技術的支援やマッチング支援を行います。支援先スタートアップ企業は、開発プロモーターの支援を受けながら、次世代通信技術等を活用した製品・サービスの開発および事業上市を目指します。
- 詳細はこちらをご参照ください:https://next-5g-boosters.metro.tokyo.lg.jp/
AI Workstyle Lab編集部コメント
「未来のシマ共創会議2025」での議論は、AI技術が単なる効率化ツールに留まらず、社会インフラの維持という喫緊の課題解決に貢献し得ることを明確に示しました。特に、自律航行技術は船員不足という構造的な問題に対し、新たな人材の活用や運航の安定化をもたらす可能性を秘めています。これは離島航路事業者にとって、コスト削減とサービス品質向上を両立させるビジネスチャンスとなり得ます。AI Workstyle Lab編集部としては、このような先端技術と地域社会の連携が、他のインフラ分野における課題解決モデルとしても注目されるでしょう。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

