背景
このプロジェクトは、ジャカルタ郊外のBSD Cityで推進されている「Hiera」において実施されています。Hieraは、インドネシア初となる公共交通指向型開発(TOD: Transit Oriented Development)をコンセプトに、住宅・商業施設・学校・病院・公園・交通結節点などの都市機能を組み合わせた、100haを超えるスマートシティ開発です。戸建住宅の販売にあたり、潜在顧客の意思決定要因や求めるライフスタイルを定量的に調査し、その結果を商品設計に反映することで、顧客の嗜好に合った住宅開発を目指しています。
この取り組みについては、日本経済新聞電子版でも紹介されています。
PoC(概念実証)に関して
今回のPoCでは、顧客体験と顧客分析の二つの側面からアプローチが行われました。

① 顧客体験
顧客は、以下の体験を通じて自身の理想とする空間を可視化できます。
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画像生成AI体験


従来の設問回答にとどまらず、画像生成AI体験というエンターテインメント性を組み込むことで、楽しみながら主体的に参加できる調査体験が設計されています。選択式やテキスト入力だけでなく、生成画像やプロンプト、対話履歴といった能動的・自由度の高いユーザー生成インプットを解析対象に含めることで、枠にとらわれない発想をデータ化しています。 -
ライフスタイルブックの作成

体験の成果として、理想イメージを可視化した「ライフスタイルブック」が個別に提供されます。これにより、参加意欲や完了率の向上を図るとともに、参加者本人にとっての価値還元が実現されます。
② 顧客分析
収集されたデータは、以下の活用と効果が期待されています。
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モデルハウス設計:内外装のテイスト、マテリアル、ゾーニングなど、顧客の選好トレンドを定量的に把握し、次期開発予定の戸建住宅の仕様に活用できます。
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販売マーケティング:潜在顧客の選好トレンドを踏まえた販売マーケティングを行うことで、顧客への訴求力強化に活用できます。
役割分担

各社の役割は以下の通りです。
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株式会社SAMURAI ARCHITECTS:本プロジェクトの主担当として、画像生成AIによる顧客体験設計、因果分析ツール「CALC」を用いたデータ分析、知見の抽出、モデルハウス設計・販売マーケティングへの還元を行います。
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三菱商事株式会社:プロジェクト全体の企画・推進、Hieraプロジェクトにおける本PoCの統括を担当します。
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PT Sinar Mitbana Mas:Hieraプロジェクトのデベロッパーとして、PoCの実施場所提供、潜在顧客へのアプローチ、分析結果の住宅開発への適用を推進します。
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クウジット株式会社(技術協力):因果情報分析技術「CALC」を核とした要因分析および潜在的課題抽出のAI機械学習・データ解析ソリューションを提供します。
各社のコメント
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株式会社SAMURAI ARCHITECTS 取締役CSO 髙山 慶太朗氏
「インドネシアの都市開発というスケールの大きな挑戦に、主担当として関われることを大変光栄に思います。当社の強みである空間デザインと画像生成AI、そして因果分析ツール『CALC』を掛け合わせ、従来は捉えにくかった潜在インサイトを“体験”から丁寧に可視化する非常に革新的な試みです。本取り組みを通じて得られた知見をモデルハウス設計や販売マーケティングに迅速に還元し、20年スパンで進むHieraのまちづくりに貢献してまいります。」 -
三菱商事株式会社 都市開発本部 アジア都市開発部 部長 大辻 俊博氏
「本PoCは、顧客参加型の生成AI体験を調査プロセスに組み込み、より踏み込んで顧客の生活スタイルやデザインに関する嗜好を抽出し、可視化する取り組みです。これからもSAMURAI ARCHITECTS様と連携しながら、急速に進歩するAI/IT技術を活用した先進的で付加価値の高い開発の形を模索してまいります。」 -
PT Sinar Mitbana Mas President Director 小林 大介氏
「今回のPoCでは、Hieraの戸建住宅の潜在顧客に対して生成AIで理想の暮らしを可視化する体験を提供し、その反応や選好データがモデルルームづくり、住宅開発に有効かを検証します。SAMURAI ARCHITECTS様の技術を活用することで、潜在顧客の嗜好を定量的に分析し、可視化できることを期待しております。」
各社概要
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株式会社SAMURAI ARCHITECTS
「Create a Better Place with Technology」をビジョンに掲げ、建築・建設・空間デザイン領域の課題に対し、生成AIをはじめとする最先端テクノロジーを用いたソリューションを提供するスタートアップ企業です。リアルタイムビジュアルコミュニケーションツール「Rendery」や不動産向けホームステージングAIサービス「knock knock AI」などを提供し、建築領域のDXを推進しています。 -
三菱商事株式会社
世界中に広がる連結対象会社と協働しながらビジネスを展開する総合商社です。地球環境エネルギー、マテリアルソリューション、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業、S.L.C.、電力ソリューションの8グループ体制で、貿易のみならず、都市開発や生産・製造など幅広いビジネスを展開しています。 -
PT Sinar Mitbana Mas
Mitbana(Mitsubishi Corporation × Surbana Jurong)とSinar Mas Landによる合弁デベロッパーです。インドネシアのジャカルタ首都圏BSD Cityにて大規模タウンシップ開発「Hiera」を推進しており、持続可能で魅力ある都市空間の実現を目指しています。 -
クウジット株式会社(技術協力)
2007年7月に、ソニーコンピュータサイエンス研究所のメンバーが中心となり設立されました。因果情報分析技術「CALC」を核にした要因分析や潜在的課題抽出、未来予測などのAI機械学習・データ解析ソリューション、実世界センシング技術を組み合わせたCPS(Cyber Physical System)アプリケーション開発を提供しています。
各種お問い合わせ
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クウジット株式会社 共創事業サイト
https://team-koozyt.com/ -
株式会社SAMURAI ARCHITECTS 公式サイト
https://www.samuraiarchitects.com/ -
株式会社SAMURAI ARCHITECTS お問い合わせフォーム
https://www.samuraiarchitects.com/contact
AI Workstyle Lab編集部コメント
今回の三菱商事とSAMURAI ARCHITECTSの取り組みは、AIがBtoCビジネスにおける顧客理解をいかに深化させるかを示す好例です。画像生成AIで顧客の潜在的な嗜好を可視化し、因果分析でその要因を定量化する手法は、不動産開発だけでなく、自動車、家電、ファッションなど、多岐にわたる製品開発やマーケティングに応用できる可能性を秘めています。データドリブンな意思決定は、市場投入の精度を高め、顧客満足度と収益性の向上に直結するでしょう。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

