ChatGPTからGeminiへの移行背景
オーエムネットワークでは、2024年頃から一部のメンバーがChatGPTを業務に導入し始め、2025年7月には生成AI活用プロジェクト「Re:Work.AI」を立ち上げ、全社公式ツールとしてChatGPTを本格的に推進していました。
しかし、同社のグループウェアはGoogle Workspaceであり、GmailやGoogleドライブ、Googleドキュメント、スプレッドシートなど、日常業務の多くはGoogleの基盤上で運用されていました。当初、Googleの生成AIであるGeminiも検討されましたが、当時のGeminiは回答精度や日本語の自然さ、機能の充実度においてChatGPTに及ばず、業務利用には不十分と判断されていました。
状況が一変したのは、2025年11月にリリースされたGemini 3です。Gemini 3は推論能力の飛躍的向上、日本語対応の大幅改善、マルチモーダル処理の強化を遂げ、ChatGPTと比較しても遜色のないレベルに達しました。これにより、オーエムネットワークは約3ヶ月間の社内検証を実施し、一般従業員が日常業務で使う分にはChatGPTとほぼ同等の機能を利用できるという結論に至りました。ChatGPTの年間契約が切れる2026年1月末のタイミングに合わせ、全部署を対象としたGeminiへの移行が完了しました。
「二重契約」の解消がもたらしたメリット
Google WorkspaceとChatGPTを個別に契約する「二重契約」は、契約先や請求管理、アカウント管理が分散し、運用負荷を高めていました。Geminiへの移行により、これらの管理がGoogle Workspaceに集約され、管理部門の運用負荷が大きく軽減されました。
社員にとっても、使い慣れたGoogleの画面内で生成AIを利用できるようになり、利便性が向上しました。さらに、生成AIにかかるコストは従来比で約75%削減されたとのことです。

今回の移行にあたり、Google Workspaceのプランを「Business Starter」から「Business Standard」へアップグレードしています。Gemini 3の「思考モード」は複雑な質問に対してAIが段階的に思考を重ねる機能ですが、Business Starterプランではその上限が厳しく、業務で求める品質の回答を安定的に得ることが困難でした。Business Standardへのアップグレードによりこの制約が緩和され、実用に耐えうる回答品質が確保されています。

移行で直面した課題と対応策
スムーズに見える移行の裏側には、いくつかの課題がありました。ツールの切り替えは技術的な側面だけでなく、日々の業務フローや社員の働き方にも影響を及ぼします。オーエムネットワークが直面した壁とその乗り越え方は、同様の移行を検討している企業にとって参考になるでしょう。

従業員の抵抗
ChatGPT導入初期から積極的に使いこなしていた社員ほど、移行への抵抗感が強い傾向が見られました。プロンプトの書き方や出力の癖がChatGPTに最適化されている状況での切り替えは、心理的なハードルが高いものです。これに対し、オーエムネットワークは移行の目的とメリットを丁寧に説明しつつ、全社方針として明確に打ち出すことで対応しました。経営層や管理者層が「なぜ変えるのか」を明確にし、一貫した姿勢を示すことが重要であると実感されています。
会話履歴の引き継ぎ
ChatGPTに蓄積された会話履歴やナレッジの引き継ぎも課題の一つでした。採用された方法は、ChatGPTに過去の会話内容を要約させ、その要約をGeminiに貼り付けるというシンプルなものです。これは最もスマートな方法とは言えないかもしれませんが、実務上は十分に機能したとのことです。完璧な方法を待つよりも、まず動くことを優先した判断が功を奏しました。
機能差異の洗い出しとGPTsからGemへの移管
ChatGPTとGeminiでは、細かな機能面で差異が存在します。3ヶ月間の検証期間中にこうした差異を洗い出し、代替手段の確認や運用ルールの整備が行われました。この検証期間が、機能差異への対応において大きく貢献しました。
また、ChatGPTのカスタムAI機能「GPTs」で作成されていたツールを、Geminiの「Gem」へ移管する作業も実施されました。例えば、日常的に利用されていた「メール文章添削GPTs」や「議事録作成GPTs」は、Gemでも同等の機能を再現できています。移管作業は社内のAIチームが主導し、仕様調査から手順作成、各部署へのレクチャーまでを一貫して担当しました。結果として、移管後に大きな苦情や問題報告は発生しておらず、カスタムAIの大半はGemでも再現可能であることが確認されています。
Google Workspaceを利用する企業へ、そして今後の展望
オーエムネットワークは、「Google Workspaceを使っているのに、なぜ別の生成AIツールを契約していますか?」という問いに対し、Gemini 3のリリースによりその前提が崩れたと述べています。Google Workspaceを利用している企業であれば、プランのアップグレードだけでGeminiを全社に導入できる状況になりました。追加の契約手続きやアカウント管理が不要となり、すでに持っているリソースを最大限に活用できるメリットがあります。
もちろん、業務内容や求める性能によっては最適なツールが異なるため、同社でも技術検証や特定の用途ではChatGPTをはじめとする他の生成AIツールを引き続き活用できる柔軟な体制を維持しています。特定のツールに固執せず、常に最適な選択をし続ける姿勢が重要であるとしています。
今後は、Google Workspaceとの連携をさらに深め、グループウェアやメッセージツールにおけるAI自動化・データ分析を推進する計画です。あわせて、社内ナレッジの集約・活用基盤の構築にも着手し、組織全体の生産性向上を目指していくとのことです。
3ヶ月間の検証を通じて、一般的な業務利用であればGeminiで十分対応可能だと同社は実感しており、この記事が同様の状況にある企業の参考になることを期待しています。
会社概要
会社名:オーエムネットワーク株式会社
所在地:新潟県新潟市中央区
代表取締役:山岸真也
事業内容:業務システム開発、シフト管理システム「R-Shift」
提供Web:

AI Workstyle Lab編集部コメント
オーエムネットワーク社のGemini移行事例は、Google Workspaceを活用する多くの企業にとって示唆に富むものです。生成AIの導入が進む中で、「二重契約」による管理コストや運用負荷は看過できない課題となっており、既存のITインフラとのシームレスな統合は業務効率化の鍵を握ります。Gemini 3の性能向上により、今後は文書作成、データ分析、コミュニケーション支援など、より幅広い業務領域でAIの活用が加速し、結果として収益性向上や競争力強化に繋がることが期待されます。自社の環境に合わせた最適なAIツールの選定と運用が、これからのビジネスを左右するでしょう。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

