AIエージェントは個人から組織運用へ──Metelix『RiN Family』が示す、企業のAI活用における次なる一手

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開発背景:AIエージェント活用は個人利用から組織運用の段階へ

生成AIの活用は、個人や一部業務での試行から、部門横断の業務プロセスに組み込む段階へと広がりつつあります。しかし、AIエージェントを企業の業務に組み込む際には、個人の作業効率を高めるAIアシスタントだけでは、組織全体の権限管理、データ統制、監査要件まで扱うことが難しいという構造的な課題に直面していました。

具体的には、次のような点が挙げられます。

  • 複数部門・複数権限にまたがる情報取り扱いにおける安全性

  • 社内システムとの連携、監査ログ、鍵管理などのセキュリティ要件

  • 運用時のAIトークン消費コストの最適化

  • 特定のAIモデル・実行技術へのベンダーロックインの回避

Metelixでは、これらの課題に対し、自社での運用経験を通じてRiN Familyを開発しました。

RiN Familyの主な特徴

RiN Familyは、企業ごとに専属のAIバディ「RiN」を配置できる組織常駐型AIプラットフォームです。役職員1人に1体の専属AIバディから、部署に1体、1社に1体まで、企業の規模やコストに合わせて柔軟に導入できます。

詳細ページはこちらです:https://rinfamily.ai/

1. 組織の3階層にAIバディを配置

RiN Familyの最大の特徴は、単一の共有AIを全社で利用するのではなく、全社・部署・個人という3階層に、それぞれ役割の異なるAIバディを配置できる点にあります。

階層 名称 役割
L1 全社共有RiN 全社員がアクセスする共通の窓口。社内規程・FAQ・部門横断情報の参照と一次回答
L2 部署専用RiN 営業・CS・経理・人事・法務・情シス等、部署固有のデータと業務に常駐
L3 個人専属RiN 個人専属のパートナー。本人の業務文脈・優先度を学習し、上位RiNと連携

① 安全な運用基盤:機密度の異なる複数のAIバディを一元管理

異なる機密レベルのAIバディを同一組織内で併存・運用しながら、権限管理、データ統制、監査ログ、通信制御、コスト管理を一元的に提供します。セキュリティ関門「RiN Gateway」を中核とする基盤技術により、情報の混線や権限を超えたアクセスを徹底的に防ぎ、組織でのAI安全運用を実現します。

  • 権限・認証情報の分離管理: RiNごとに分離された認証情報やAPIキーを集中管理します。

  • 通信先・操作範囲の制御: RiNごとに許可された通信先、データソース、操作範囲を強制します。

  • アクションログの記録とコスト最適化: 全RiNの全アクションを一元的に記録し、監査ログや通信・コストの管理を一元化します。

② 長く使える設計:特定のAIモデルや実行技術に依存しない

RiN Familyは、特定のAIモデルや実行技術に依存しない設計を採用しています。企業は用途、コスト、セキュリティ要件に応じて最適な構成を選択でき、特定のAIモデルへの過度な依存を抑えながら、AIエージェントを長期的かつ経済合理的に運用できる環境を提供します。

③ コスト・速度・信頼性の最適化:AIに、全部を考えさせない

判断や生成が必要な部分にはAIを使い、定型処理やシステム連携、ログ保存などは専用の実行基盤で処理する設計を採用しています。AIに任せるべきところと、システムで確実に処理すべきところを使い分けることで、AI活用のコスト、速度、信頼性を最適化します。

2. 提供モデル:プロダクトと導入支援を一体で提供

AIエージェントは組織の中で稼働することが前提であるため、業務にAIが寄り添う設計が不可欠です。RiN Familyの導入にあたっては、Metelixのエンジニアが顧客企業の業務現場に入り、業務理解、RiN設計、システム連携、運用改善まで一気通貫で伴走支援する「Forward Deployed Engineer(FDE)モデル」で提供されます。

3. 先行パートナー事例:フロンティア株式会社(社員数約300名)

フロンティア株式会社では、Founding Partnerプログラム参加企業として現在20体以上のRiNを組織内の異なる階層・領域に配置し、本番運用しています。これは、特定業務をPoC(概念実証)で試す段階を超え、AIバディがすでに組織全体に常駐・稼働している状態です。

事例1|部署専用RiN(マーケティング部門):制作量が導入前比で最大4倍に拡大

マーケティング部門に専属配置されたRiNが、KPI異常値検知、商談・受注レポートの毎朝自動配信、競合リサーチ、広告コピーのA/Bテスト案生成、トークスクリプト作成までを担っています。

  • 成果: 通常2〜3日かかっていたトークスクリプト作成を当日完了できるようになりました。この時間削減により、バナー・LP等のマーケティングクリエイティブ制作数が約2〜2.5倍、ホワイトペーパー等のDLコンテンツ制作数が約3〜4倍、ウェビナー等のイベント企画数が約1.2〜1.5倍に拡大しています。

事例2|全社共有RiN(ヘルプデスク):一次対応の窓口業務をAIが一元的に担当、対応量は1か月で約1.5倍に拡大

社内SaaSのヘルプデスク一次対応に専属配置されたRiNが、過去の回答履歴・社内ドキュメント・新規発生の質問を一体で学習し、一次対応、FAQの自動更新、未解決質問の可視化までを担っています。

  • 成果: ヘルプデスクに寄せられる一次対応の窓口業務をAIが一元的に担当する状態を実現しています。RiNが扱う対応量は、運用開始からわずか1か月で約1.5倍に拡大しました。利用者がRiNを「使える窓口」として認識するに従い、これまで顕在化していなかった質問もRiNに集まる構造ができつつあり、組織のナレッジが可視化される副次効果も生まれています。

その他の運用領域

上記2事例に加え、合計20体以上のRiNが、組織の各階層・各領域で稼働しています。機密度の異なる情報を扱う複数のRiNを同一組織内で運用しており、情報システム部門での開発・運用支援、インサイドセールス部門でのKPI管理・週次レポート自動配信、事業部メンバー数名が共有する提案書骨子作成・SEO分析支援、副社長専属の経営判断支援など、多岐にわたる活用が進んでいます。

フロンティア株式会社 CTO 増井氏のコメントでは、RiN Familyが異なる役割や機密レベルをそれぞれに設計しながら、一貫した管理下で運用できる基盤であることの価値が語られています。

今後の展望

Metelixは、RiN Familyを「AIエージェントを組織で安全に運用するための基盤」として、日本のエンタープライズ市場に本格展開していく予定です。直近1年以内には、Founding Partnerプログラムを通じて獲得した実装ノウハウをもとに、業界・業種を問わず導入可能な体制を整えます。中長期的には、企業がAIエージェントを長期にわたって安全かつ経済合理的に運用できる基盤として、導入・運用体制の拡充を進めていく方針です。

Metelixは「AIに、全部を考えさせない。人が考える余白をつくる」という思想のもと、人とAIバディが役割分担しながら働く環境を日本の企業に広げていくことを目指しています。

株式会社Metelixについて

  • 会社名: 株式会社Metelix(メテリクス)

  • 所在地: 東京都渋谷区渋谷1-7-2 VORT渋谷eastⅡ

  • 代表者: 代表取締役 久坂祐介

  • 設立: 2019年6月

  • 事業内容: AIプラットフォーム事業(RiN Family)/AIトランスフォーメーション事業/クラウド&AIインテグレーション事業

  • 認証: ISMS(ISO/IEC 27001:2022)

  • HP URL: https://metelix.jp/


AI Workstyle Lab編集部コメント

Metelixの「RiN Family」は、AIエージェントの活用が個人レベルから組織レベルへと進化する中で、企業が直面するセキュリティや管理の課題を解決する重要なソリューションです。特に、全社・部署・個人という3階層にAIバディを配置し、機密度の異なる情報を安全に扱う「RiN Gateway」の仕組みは、多くの企業にとって導入のハードルを下げるでしょう。これにより、ヘルプデスクの一次対応やマーケティング活動の効率化など、具体的な業務改善が期待できます。AIエージェントが各部門の特性に合わせて機能することで、組織全体の生産性向上が見込まれるため、ビジネスにおけるAI活用の新たなスタンダードとなる可能性を秘めていると言えます。

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記事の著者
AI Workstyle Lab 編集部

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