株式会社neoAIは、製造業の企業向けに生成AI活用を全社的に推進する「製造業ソリューション事業」を立ち上げました。同社の生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」を基盤とし、製造業の業務ノウハウを持つAIアシスタント群が、エンジニアリングチェーンからサプライチェーンに至る幅広い業務変革を支援するとのことです。
製造業における生成AI活用の現状と課題
総務省の「通信利用動向調査(企業編)令和6年報告書」によると、製造業における生成AIの導入率は、金融業やIT業界と比較して遅れている現状があります。主な要因としては、図面や仕様書、工程ノウハウといった機密情報の取り扱いに対するセキュリティ懸念、製造業特有の業務フローへの適用イメージの不明確さ、そして実証実験(PoC)は行うものの全社展開に至らない「PoC疲れ」が挙げられています。
さらに、製造業では製品やプロセスの複雑化に伴い、以下の課題が顕在化しています。
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膨大な規程・設計資料・過去事例から必要な知識を引き出すことの難しさ
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日報・報告書・手順書などの定型文書の作成・更新にかかる工数の増大
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ベテランの経験や勘など、言語化しにくい知識である「暗黙知」の属人化による品質のばらつきと継承の難しさ
これらの課題に対して、従来のデジタル化だけでは十分な対応が困難であり、現場に蓄積された「暗黙知」を組織全体の共有財産である「形式知」として活用することが、競争力維持の鍵となっています。

AI Workstyle Lab編集部より
製造業における「暗黙知」は、長年の経験から培われた貴重なノウハウです。これをAIによって「形式知」に変換できれば、若手社員の育成や業務品質の均一化に大きく貢献します。セキュリティ面での懸念は理解できますが、適切な対策を講じれば、AIは強力な業務改善ツールとなり得ます。
参考資料:
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総務省 通信利用動向調査(企業編)令和6年報告書: https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR202400_002.pdf
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経済産業省2024年版ものづくり白書関連資料: https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2024/pdf/honbun_1_5_2.pdf
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経済産業省 2025年版 ものづくり白書関連資料: https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/pdf/honbun_1_4_2.pdf
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独立行政法人 情報処理推進機構「DX動向2025」: https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/tbl5kb0000001mn2-att/dx-trend-2025.pdf
「neoAI Chat for 製造業」による業務改革
neoAIは、これらの課題に対応するため、生成AIを安全かつ実務的に活用できるプラットフォーム「neoAI Chat for 製造業」を提供します。これにより、製造業企業内の知識運用と業務プロセスを改革することを目指しています。
「neoAI Chat」は、これまで大手インフラ機関や金融機関への導入実績があり、高いセキュリティ要件が求められる業界でその信頼性を築いてきました。
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ANA、生成AIプラットフォーム「neoAI Chat」を航空機オペレーション部門へ横断的に本格導入: https://neoai.jp/news/article/2aQM8ksQ
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neoAI、城南信用金庫で生成AIソフトウェア「neoAI Chat」導入: https://neoai.jp/news/article/M5N-jJ_i
「neoAI Chat for 製造業」は、この実績あるプラットフォームを基盤とし、製造業の業務に特化したアシスタントテンプレート群が搭載されたソリューションです。これにより、設計、品質、生産管理、調達といった主要部門向けの業務特化型AIアシスタントを迅速に作成・展開することが可能となります。


AI Workstyle Lab編集部より
特定の業界に特化したAIアシスタントテンプレートは、導入のハードルを大きく下げます。例えば、「安全手順書Excel生成アシスタント」や「化学規制チェッカー」のように、定型的ながらも専門知識が必要な業務をAIが支援することで、従業員はより創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。
「neoAI Chat for 製造業」の主な特徴
「neoAI Chat for 製造業」は、以下の3つの特徴を持っています。
- 迅速な立ち上げ:「neoAI Chat for 製造業」のパッケージにより、素早い導入が可能です。製造業に特化したアシスタントテンプレートを活用することで、設計、品質、生産管理、調達などの主要部門へ短期間で展開できます。
- セキュアな運用:セキュリティ要件に応じて、自社クラウドやオンプレミス基盤で安全に運用できます。図面、仕様書、工程ノウハウ、サプライヤ情報といった製造業ならではの機密データを厳格に保護します。
- スケール:全社展開から部門単位のユースケースまで、1つのプラットフォームで統合管理が可能です。ニーズや実現難度に応じたカスタマイズ開発も行われます。

AI Workstyle Lab編集部より
「PoC疲れ」が課題となる中で、「迅速な立ち上げ」は企業のAI導入を加速させる重要な要素です。また、製造業にとって不可欠な「セキュアな運用」をオンプレミスを含めて提供する点は、安心して導入を検討できる大きなメリットと言えるでしょう。「スケール」の柔軟性も、企業がAI活用を段階的に拡大していく上で非常に実用的です。
今後の展望
株式会社neoAIは、「neoAI Chat for 製造業」を日本のものづくりにおけるAI活用のスタンダードとすることを目指しています。多くのDX担当者が直面するセキュリティ懸念や「PoC疲れ」、現場のナレッジ継承といった課題を、導入しやすく高性能なプロダクト力で解決する方針です。
今後も、顧客の声をもとに、図面の高度な読み取りやCAD連携など、設計から製造現場に至るものづくりプロセス全体を支援する機能の強化を継続的に進めていくとのことです。株式会社neoAIは、日本の製造業の競争力強化に貢献するパートナーとして、業務変革を支援していく考えです。
会社概要
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会社名:株式会社neoAI
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所在地:東京都千代田区
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代表者:代表取締役CEO 千葉 駿介
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事業内容:AI技術の研究・開発およびソリューション提供

