60自治体導入実績のY4.comが示すAIヘルスケアの未来：GPTエージェントが切り拓く個別化支援

Y4.com、GPTベースの「ヘルスケアAIエージェント」提供開始

Y4.comは、自治体・保険者向けPHR（個人健康記録）ヘルスケアプラットフォーム『GENKIMIRU（ゲンキミル）』において、GPTを基盤とする次世代ヘルスケアAIエージェントの提供を開始しました。このAIエージェントは、国のガイドラインに準拠した学習済モデルを活用し、住民の健康支援と行政業務の効率化を同時に実現します。

開発背景：深刻化する現場課題への対応

現在の日本では、特定保健指導の対象者が約1,400万人に上る一方で、2022年度の実施率は約23％にとどまっています。また、保健師一人あたりの担当住民数が増加傾向にあり、個別の健康相談対応には限界が見られています。さらに、住民からは夜間や休日における健康相談窓口へのニーズが高まっていました。

『GENKIMIRU』は、すでに60以上の自治体・保険者に導入され、PHRのデータ基盤として実績を積んでいます。Y4.comは、この信頼性の高いプラットフォームに最先端のAI技術を統合することで、これまでの人手では難しかった24時間365日の個別化された健康支援の実現を目指しています。

サービス概要：GPTとガイドライン準拠、PHR連携の強み

このヘルスケアAIエージェントは、以下の3つの技術的優位性を有しています。

1. GPTベースの高度な対話能力: 最新のGPT技術を採用し、自然で人間らしいコミュニケーションを可能にしています。従来のチャットボットでは困難だった文脈理解と個別化された応答を実現します。
2. 国のガイドラインに準拠した学習済モデル: 特定保健指導プログラム、標準的な健診・保健指導プログラム、PHR活用ガイドライン、AI利用ガイドライン、個人情報保護関連法規といった国の主要ガイドラインを学習・実装しています。医療行為に該当しない自動判定機能も備わっており、診断、治療、処方に関する質問には回答せず、適切な医療機関への相談を推奨します。

3. 3層アーキテクチャによる安全設計:

   • フロント層: 住民向けの相談窓口を提供します。

   • アプリケーション層: ガイドライン判定、PHRデータの整理、キャラクター制御を行います。

   • AI層: 制御されたコンテキストに基づいて回答を生成します。
     この設計により、AIがガイドラインを逸脱することなく、常に適切な情報を提供できるよう安全性が確保されています。

主要機能と特徴：4つの価値提供

このAIエージェントは、住民の健康管理と行動変容を促すための4つの主要機能を提供します。

1. PHRデータ活用による自己認知支援: ウェアラブルデバイス（Apple Watch、Fitbitなど）から取得される歩数、活動量、心拍数、HRV（心拍変動）、睡眠時間、睡眠の質、ストレス指標などのデータをAIが分析します。「最近の睡眠の傾向は？」といった質問に対し、単なる数値表示ではなく、自己認知を促す対話形式で回答することで、データの意味を理解し、行動変容へと繋げます。

   • 回答例: 「この1週間の睡眠データをみると、平均睡眠時間が5.5時間と、推奨される7時間を大きく下回っています。また、深い眠りの時間が通常より30％少なくなっています。睡眠の質の低下と疲労感の一因かもしれません。」（※この回答は医療的判断や診断を行うものではありません。）
   • Vitalgainアプリ操作支援・FAQ即時対応: 『GENKIMIRU』およびVitalgainアプリの使い方について、人が質問するように対話形式で問い合わせが可能です。データの登録・編集方法、画面の見方・操作手順、よくある質問への即座の回答などを提供します。
   • 音声対話×3Dキャラクターによる高エンゲージメント: テキストチャットだけでなく、音声対話と身体化された3Dキャラクターが実装されており、インタラクティブな対応を実現します。行動変容理論に基づいて設計されており、目標達成時には褒め、未達成時にも励ますことで、ポジティブフィードバックを積み重ね、「続けたくなる健康管理」を支援します。
   • 回答範囲の明確化による安全性確保: 医療行為に該当する質問には回答せず、医療機関への相談を推奨することで、法規制を遵守します。データ参照型、データ解釈型、操作支援型、一般知識型の質問には100％対応しますが、診断要求型、治療相談型、処方相談型の質問には回答しません。

技術的特徴：スケーラビリティとマルチテナント設計

本AIエージェントは、ワークフロー制御基盤であるn8nワークフローエンジンを経由して動作します。AIが直接システムを操作することはなく、人が定義した処理のみを実行する設計により安全性を確保しています。また、共通ワークフローを構築しつつ、自治体ごとの違いは設定情報として分離することで、新規自治体追加時の開発負荷を最小化しています。これにより、60以上の自治体で培われた運用ノウハウを共通基盤化し、各自治体の独自ルールにも対応可能です。AWS対応のエンタープライズグレードのインフラで提供されます。

株式会社Y4.comについて

株式会社Y4.comは、2012年4月に設立され、東京都千代田区に本社を置いています。自治体向けICT・PHRプラットフォーム「GENKIMIRU」の開発・提供、ヘルスケア関連システムの企画・開発・運営を行っています。また、自治体向け健康増進プログラム、特定保健指導、重症化予防・介護予防、妊産婦支援事業などを展開しています。

• 株式会社Y4.com 公式サイト

AI Workstyle Lab編集部コメント

Y4.comが提供を開始した「ヘルスケアAIエージェント」は、一般のユーザーにとって、自身の健康管理をより身近で継続しやすいものにする大きな可能性を秘めています。ウェアラブルデバイスのデータをAIが分析し、具体的な行動変容を促す対話形式でのフィードバックは、健康意識の向上に直結するでしょう。また、24時間365日いつでも相談できる利便性は、多忙な現代人にとって非常に価値が高いと考えられます。ただし、AIは医療行為を行うものではないため、診断や治療に関する深刻な症状については、必ず専門の医療機関を受診することが重要です。このAIエージェントは、あくまで日々の健康維持と予防的な行動を支援するツールとして活用することで、その真価を発揮するでしょう。

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