IEEE国際会議「CIFEr 2026」で金融AI論文を発表
ニポティカ株式会社の研究チームは、金融分野の計算知能に関する2本の論文が、IEEE(電気電子学会)が主催する国際会議「IEEE Computational Intelligence in Financial Engineering and Economics (CIFEr) 2026」に採択されたことを発表しました。本会議は2026年9月10日から11日にかけて、東京都の成蹊大学で開催される予定です。
IEEEは、電気・電子・情報分野における世界最大の技術専門職組織であり、IEEE計算知能学会が主催するCIFErは、金融工学および経済学への計算知能の応用に特化した国際会議です。機械学習や生成AIを含む高度な技術の金融・経済への応用に関する、世界中の査読済み研究が集結します。
会議ウェブサイト: https://cifer2026.mhirano.jp/
採択論文一覧: https://cifer2026.mhirano.jp/accepted_papers
採択論文1:日米間の株式情報フローに関する研究
1本目の論文「When Nikkei Leads: Persistent Japan-to-U.S. Equity Information Flow」は、「米国株式市場がグローバルな価格発見を主導している」という金融経済学における通説に一石を投じるものです。
本研究では、情報理論的手法(KSG法による伝達エントロピー)を用いて、2022年から2024年におけるS&P 500と日経平均株価の間の情報の方向性フローを定量化しました。その結果、日経平均株価が3年の全期間を通じて一貫してS&P 500をリードしていることが判明し、そのシグナルは東京市場の閉場からニューヨーク市場の開場までの1日分のウィンドウに集中していました。
2024年8月の世界的株価急落は、その震源というよりも、すでに存在していた方向性パターンの増幅であったことが示されており、相関ベースのリスク指標ではこの構造を捉えられないことも明らかになりました。これらの知見は、円キャリートレードや日本銀行の金融政策が構造的な伝達チャネルとして機能していることと一致しています。
本研究のコードは以下で公開されています。
https://github.com/KambizHoma/nikkei-spy-transfer-entropy
採択論文2:制約保証型OHLCVデータ合成に関する研究
2本目の論文「Constraint-Guaranteed Synthesis of OHLCV Data」は、バックテストや執行シミュレーションで使用されるバー単位のOHLCVデータ(始値、高値、安値、終値、出来高)の生成に関するものです。
OHLCVデータは、高値が始値および終値以上、安値が始値および終値以下であるべきという厳格な幾何学的制約を満たす必要があります。既存のAIベースの手法ではこれらの制約を強制することが困難でしたが、本研究では各バーを5つのコンポーネントに再パラメータ化する「constraint-by-construction」手法を導入し、制約違反を構造的に不可能にしました。
生成された1,255,500本のバーすべてにおいて違反は一切記録されず、学習の品質や乱数シードに関わらず数学的に保証されていることが示されました。本モデルは、QuantGANを5チャンネルのジョイントジェネレーターに拡張することで、バー内レンジ分布を8%の平均誤差で再現し、同時刻の出来高とボラティリティの相関関係を捉えています。ボラティリティ・クラスタリングについては未解決問題として残されており、具体的な解決策の提案とともに議論されています。
本研究のコードは以下で公開されています。
https://github.com/KambizHoma/HardConstraints
今後の展望
これらの研究は、ニポティカが金融機関向けに提供する金融工学およびリスク測定技術の基盤となるものです。同社は今後も金融・経済における計算知能の研究開発を推進し、学術界への貢献と、自社製品・サービスのAI機能の深化を図っていく方針です。
ニポティカ株式会社について
ニポティカ株式会社は、東京都を拠点とするディープテックベンチャーです。フィンテック(Nippofin)とコンピュータビジョン/フィジカルAI(Algotechniq)の2つの事業を展開し、日本の金融機関や社会インフラにAI技術を提供しています。
ウェブサイト: https://www.nippotica.com/
AI Workstyle Lab編集部コメント
ニポティカの今回の発表は、金融機関や投資家にとって、市場の動向をより深く理解し、リスクを正確に評価するための新たなツールを提供するものです。特に、日経平均株価とS&P 500間の情報フローに関する知見は、グローバルな投資戦略を再考するきっかけとなるでしょう。また、制約保証型OHLCVデータ合成技術は、バックテストやシミュレーションの信頼性を飛躍的に高め、より堅牢な取引アルゴリズムの開発を可能にします。これらの技術は、金融分野におけるAIの応用範囲を広げ、最終的には収益機会の拡大と運用の効率化に貢献すると期待されます。
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本記事は、各社の公式発表および公開情報を基に、AI Workstyle Lab編集部が 事実確認・再構成を行い作成しています。一次情報の内容は編集部にて確認し、 CoWriter(AI自動生成システム)で速報性を高めつつ、最終的な編集プロセスを経て公開しています。

